南房総の紫陽花(ハイドランジア)農家、青木園芸訪問

 ユリ農家のFF平出さん(栃木県)以来のことになります。昨日は、紫陽花の農家さんの生産現場を見せていただきました。南房総の青木園芸さん。しかも、お昼のランチとお土産(大きなハイドランジアのブーケ)付きの取材になりました。遠くとも、やはり現場に足を運んでみないと生産者の実際はわからないものですね。

 

 ご主人の青木良平さんと奥様のとも子さんの大学時代のなれそめから、ランチタイムでのインタビューがはじまりました。美味しいお寿司とデザートのアイス、そして仲の良い夫婦の会話、ごちそうさまでした。

 おふたりは、わたしも大変にお世話になった東京農大・樋口研究室の同期生でした。お人柄なのか、おふたりは樋口先生にとてもかわいがられていたようです。農大では研究室の所属が三年生からようですが、とも子さんは二年生から研究室に属していたようです。その理由はなんとなくわかる気がします。

 奥様は、長野県上田市のご出身で、ご実家はたねやさんでした。卒業後は東京の花屋さんに6年間勤められています。28歳の時に、良平さんと結婚。2002年のフローリヤード(オランダ)の派遣から戻って、お父様がやっていた青木園芸に入りました。オランダ駐在の経験を活かしてはじめたのが、日本では皆無だった切り花用のハイドランジア栽培でした。

 

 2004年から2010年までは、商売にならなかったようです(製品化率が初年度10%!!)。しかし、あきらめずに、苦労しながらハイドランジア市場を創造することができました。いまや「ハイドランジア」と言えば、青木園芸の名前が浮かびます。この分野で断トツのトップ生産者です。

 最近取り組んでいるグリーン(ハーブゼラニウムやユーカリなど)について、詳しい話はJFMAのトップインタビューで、取材に同行してくれた野口弥生さん(JFMA事務局)がまとめてくれるはずです。たぶん、10月号と11月号になります。

 途中で知ったのですが、樋口研究室の後輩には、JFMAの会員でアンディ松井(カリフォルニアの花き生産者)の薫陶を受けた宮川洋蘭園の宮川将人君がいます。樋口研究室は、千葉大の園芸学部と並んで、日本の花き産業を人材面で支えてくれています。

 ひとりの研究者(研究室)の存在が、どのような産業でもけっこう大きいことがわかります。先輩たちの学生への影響力の大きさを知ると、そしてご本人からのそんな話を聞かされると、研究者の端くれとして身が引き締まる思いがします。

 

 青木さんからは、これまで出会った人的ネットワークの話を伺いました。いつの段階で誰と出会い、誰からアドバイスをもらったかがとても重要だと感じます。それにしても、青木さんの「前向きさ」(前向キングさ?)には参りました。紫陽花の製品化に成功するまでは6年間。

 ふつうの生産者ならば、5年間赤字が続けばほとんどあきらめると思います。途中で投げ出さなかったのは、奥様の後押しと本人の確信があったことは確かです。「うまく生産できなかった花でも、全部、がだめということはなくて、どこかで誰かが買ってくれる花もある」(とも子さんの言葉)。

 花屋さんの経験があるとも子さんと、常に楽観的で研究熱心な良平さんの組み合わせが、青木園芸の強みだと思います。「2011年以来、毎年一棟ずつ温室を増やしています」(青木さん)に対して、お父様はややご心配をなさっていました。でも、さらなる成長で「AOKIブランド」が確率することでしょう。

 

 弥生さん! それにしても、葛飾区高砂から南房総丸山町まで、往路3時間半のドライブ、ご苦労様でした。二回ほど道に迷い、一回では木更津方面のアクアラインに乗れず、川崎から引き返すアクシデントにも見舞われました。

 インタビューの後も2時間超のロングドライブ。大井町駅までお付き合いいただき、ありがとうございました。これに懲りずに、また生産現場に取材に行きましょう。お子さんのシッター役をお願いした旦那様、長時間お待たせしてすいませんでした。