「講話:オーガニックを超えて」(第4回NOAF総会、小川のレジュメ)

 先週の9月20日、第4回NOAF総会が法政大学経営大学院(新一口坂校舎)で開催されました。総会では、小川がNOAF代表幹事として、短いスピーチを行いました。そのときの講話のレジメをアップします。一部は、NOAFのHPにも転載されています。ご興味ある方には、配布資料(♯1~#4)をお送りします。小川までリクエストを。

  
1 はじめに:千葉の台風15号被害に思う
 ・『北羽新報』2019年9月23日号、巻頭コラム(配布資料#1)
 ・自然災害は、19世紀の産業革命と20世紀のグリーン革命がもたらした産物
 ・安い電力と交通インフラに依存する大規模農業と施設園芸
  → NOAF(創設3年目)は、オーガニック農産物の普及だけに注力していいのか?
 
2 農業と農産物流通をどのように組織すべきか?(配布資料#2)
 ・農産物流通のフロンティア
 ① 菊池紳氏(プラネット・テーブル) SENDの仕組み
 ~ 農業と農産物流通が乗り越えるべき4つの壁(『食品商業』2018年)
 新規に就農した若者が農業の現場で直面した4つ壁(菊池氏の経験)
 (1)畑ではおいしい、熟した野菜が市場には出荷できない。
 (2)地方の出荷団体で共撰共販をすると、誰が作ったものかわからなくなる。
 (3)小売店や飲食店からフィードバックが全くない。
 (4)農産物を作る側には、最終的な価格決定権がない。
 ② ローソンファーム(農業フランチャイズシステム)
 ③ 金沢大地、井村辰二郎氏(6次化からフードビジネスへ、そして農産加工品の輸出)
 ④ アグリ・フードツーリズム(海の京都、京都府『海の京都 2018年報告書』)
 ・サービス産業化する農業、地域活性化とインバウンド
   
3 新しい食品流通の動き
 ・バーバラ・カーン教授の「小売戦略の成功マトリックス」
  フリクションレスなショッピング環境の整備と体験型消費
(『販売革新』2019年10月号のドラフト、配布資料#3)
 ・ローソンの取り組み
 ① 食品廃棄ロス削減の取り組み(拙著『値づけの思考法』日本実業出版、2019年)
 ② 夜間無人営業実験(顔認証、キャッシュレス決済、無人レジ)
 ③ 社会貢献(沖縄シングルマザー世帯へ「子ども食堂」の支援)
 ④ 働き方改革、加盟店オーナーは、独立企業家か?従業員か?
・プラスティック素材のサーマルリサイクル
 ① 包装資材をプラスティックから植物性素材に(ストロー問題)
 ② 廃棄衣料品を重油に変換するプロジェクト(800℃で廃棄衣料を“溶かす”技術)
 
4 気候変動と植物性タンパク質の消費
 ・「植物の時代」の到来(エイキング博士の著書、配布資料#4)
 ① 農業生産で発生する窒素循環を極力抑え込むこと(有機農業のメリット)
 ② 生物多様性の喪失に対する対策
 ③ 食生活の転換(動物性から植物性タンパク質への転換)
 ・食物の供給に関する社会的な優先順位
 表1 西側諸国で食事の摂り方で環境負荷を改善するための方策(優先順位の高い順)
  優先順位1: たんぱく質の過剰消費を削減すること
  優先順位2: カロリーの過剰消費の削減すること
  優先順位3: 家庭での食品ロスの減らすこと
   優先順位4: 動物性から植物性タンパク質へ転換すること
  出典:Aiking and de Bore (2019), “The Next Protein Transition,” Trends in Food Science and Technology, p.4.
  
5 おわりに:わたしたちはどこに向かうべきか?