昨日のニュースで、「止まらない馬の死、渦中の競馬場が殿堂入り調教師を出禁に」という記事を見かけた。もともとが【AFP=時事】からの配信(6月23日)で、米国カリフォルニア州の名門競馬場で、競走馬が相次いで死亡しているという事件の報道である。いわゆる「予後不良」が増えているというニュースだった。
あまり競馬に詳しくない方のために説明すると、「予後不良」とは、競走馬がレース中に故障(骨折など)をして、そのまま殺処分になることを指す。競走馬が何らかの理由でレース中に骨折して転倒したとする。
しかし、鞍上の騎手を振り落としたあとでも、競走馬は本能的に前に進もうとする。その姿を見ていると、なんともいたたまれない気持ちになる。馬券を買った私たちに、故障した競走馬が殺処分になることがわかっているからだ。
どうやら、調教師(ホーレンドーファー氏)の馬に対する薬物の過剰投与あるいは不適切な投与が原因ではないかとみられている。カリフォルニアの名門競馬場が、しばらくの間、閉鎖されていたらしい。
ニュース報道の冒頭は、「米カリフォルニア州の競馬場サンタアニタパーク(Santa Anita Park)で競走馬の予後不良が相次いでいる問題で、昨年末以降で死んだ馬の数が30頭になったことを受け、同競馬場の保有企業が22日、殿堂入りも果たしている調教師のジェリー・ホーレンドーファー(Jerry Hollendorfer)氏を出入り禁止とする処分を発表した」という説明で始まっている。
実は、長年事故があったことは知られてしたらしい。今回は、具体的に調教師が処分されたわけである。しかし、「予後不良」は、競走馬がもっているある種の宿命でもある。
わたしは、若いころ(学部後期から大学院時代かけて)、勝ち馬投票券を頻繁に購入していた。いわゆる、週末の馬券買いである。トータルでは負けが多かったが、いわゆるクラシックレース(皐月賞、ダービー、有馬記念)で、大穴を当てたこともある。テンポイント、グリーングラス、ハイセイコー、クライムカイザーの時代である。
本郷からつぎに移り住む場所をさがしたとき、中山競馬場の近くに住まいを決めたくらいの競売好きだった。ところが、ある時から馬券を買うことをやめた。ある重賞レースで、最終コーナーでひいきの牝馬が転倒して予後不良になった。その後、殺処分になることを知ったからだった。
レースを放映していたテレビの映像では、振り落とされる騎手と、骨折して跳ね回る馬の姿がリプレイされていた。その後のわたしは、勝ち馬投票券を買うことがなくなった。予後不良。久しぶりにその言葉を聞いた。