【遅すぎる決断】 高島屋、2020年に中国・上海から撤退

 高島屋が上海から撤退を決断した。出店(2012年12月)の直後に、ほとんど客がいないフロアを、JFMAの松島専務理事と歩いた。たくさんの読者に読まれたブログ(2013年4月17日)は、「この事業は惨めな結果に終わるだろう」と経営陣に向けて警告を発したものだった。

 

 旅の途中で書いた6年前のブログは、つぎのような書き出しで始まっている。
 上海ツアーで高島屋上海の視察に同行した松島さんが、「先生、そこまで書いて大丈夫ですか?」と心配してくださったものだ。しかし、わたしには高島屋の社内に知り合いがたくさんいた。事業関係者には親しい友人もいたから、目の前の惨状を書かずにはいられなかった。
 
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メニュー:Day Watch | 2013.04.17 Wednesday
 
 「2013年4月17日(火)午後5時20分。上海高島屋に客の影がない!」
個人のblogにこれほど直裁な印象を述べてよいのだろうか。一晩、おおいに迷ったのだが、意を決して事実を明らかにすることにした。本当に申し訳ないのだが、この街に進出を決断した高島屋の責任者と現経営陣は、同社にとって歴史的な失策を犯してしまったようだ。
 小売業関係者のかたがこのblogを読まれているならば、新興市場へ進出する際にやってはいけない過ちのひとつとして覚えておいてほしい。2012年10月(12月暫定オープン?)に開業した「上海高島屋」のことである。
 先ずは結論を述べる。この場所から即座に撤退すべきである。あるいは、テナントと商品コンセプトを抜本的に変えるべきである。選択の余地はない。(後略)
 
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 そして、今しがた、『日本経済新聞』(オンライン版、有料読者限定版)から配信された記事を読んだ。
 <https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46540920V20C19A6TJC000/>
 長い6年間だった。つい最近も、高島屋の上海店に出店している日本企業の方と話をしていた。「どんな条件なら、自社のテナントをあそこから撤退できるか」と。その決断が不要になったようだ。
 

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「高島屋、中国から撤退 20年にも上海店閉店」(2019/6/25 15:30)

 

 高島屋は25日、中国の店舗運営から撤退する方針を固めた。中国・上海の店舗を2020年にも閉める方向で地元自治体などとの調整に入る。売上高が想定を下回り採算が悪化しているほか、米中貿易摩擦の影響で中国の消費は減速しており、今後の回復も見込みにくいとも判断したもよう。海外事業では成長が見込める東南アジアに重点的に投資する。
 中国・上海の店舗は子会社の上海高島屋(上海市)が運営し、12年に開業した。売り場面積は4万平方メートルと日本の基幹店級の広さを持ち、高級ブランドなど現地の富裕層向けの品ぞろえを充実させていたことが特徴だ。
ただ、開業直前に中国全土で大規模な反日デモが起きるなど、想定通りの売り上げを確保できなかった。足元でも現地でネット通販の拡大などもあり売り上げが伸び悩んでいた。19年2月期の営業収益は32億円と前の期比0.7%増にとどまり、営業損益は9億円の赤字と7期連続の営業赤字となっていた。今後、閉店について地元自治体などと協議する。
 一方で、高島屋は中間層や若年人口の拡大が見込まれるベトナムへの投資を加速する。開業3年目の「ホーチミン高島屋」は家族向けの日用品の品ぞろえを充実させる。増床のほか、同国内での新規出店も検討する。
 高島屋はシンガポールとベトナム・ホーチミン、18年秋に開業したタイ・バンコク店舗を含め海外で4店舗を展開している。シンガポールは不動産と店舗を組み合わせたビジネスモデルが奏功し、高島屋全体の営業利益の2割弱を占める規模となっている。高島屋は上海を除く海外3店舗に経営資源を集中させ、国内店舗で増加している東南アジアからの客向けに現地でリピーターとして取り込む戦略にカジを切る。