「週に一度は、ベジタリアン」。この標語は、いまから25年前に、不二製油の清水洋史社長が提唱した概念である。さらに厳しい戒律(動物性たんぱくは一切摂取しない)を要求するのがヴィーガン食である。先週、わたしも一日ヴィーガンになるため、表参道のエイタブリッシュに出向いた。
先週、オーガニックライフスタイルEXPOでご一緒した際(9月22日)、JFMAの松島事務局長から、「先生、ヴィーガンレストランに行くと予告しただけで、食事の感想がブログには載ってませんね!」とのご指摘をいただいた。たしかに、9月19日のブログには、「これから表参道に行ってきます!」と書いたきりになっている。
以下は、松島さんの興味・疑問に対する回答でもある。ただし、印象が微妙だったので、すぐには感想を書けなかった。ヴィーガン料理が微妙なのには、二重(三重)の意味がある。味と健康、雰囲気と気持ちの問題。この点については、順次に述べていくことにする。
当日は、大学院生の重松美奈子さんのアドバイスにしたがって、標準的なコース料理を頼んだ。ビールとワインを一緒に頼んだのだが、一人あたりは6000円弱だった。ヴィーガン食と聞くと特殊なもののようには聞こえる。かなり高くなるのではと思っていたが、結果はリーズナブルな値段だった。
彼女はフレキシテリアンである。まちがいのないチョイスだった。個人のインスタグラムに、当日出された料理を数枚アップしてある。このレストラン(エイタブリッシュ)の提供する料理は、見た目のデザインが素敵である。店内にいるお客の約70%は、外国人(欧米系)である。食事内容もさることながら、おしゃれなライフスタイルとして、「週に一度、表参道でヴィーガン食」はありだと思った。
味について。おそらく、肉肉した食事に慣れた人には、ちょっと物足りないかもしれない。野菜(たぶん有機)と大豆ベースの材料が主なので、いわゆる”肉汁がしたたる”プレートが好きな向きには不満が残るだろう。
わたしを含む研究者4人は、年齢的に50歳を超えている。味については、けっこう満足度が高かったのではないだろうか?すこしばかり年を重ねた人たちにとって、充分なボリュームとカロリーだったと思う。
それよりも、デザインセンスのよい料理が魅力的だった。わたしは、週に1度くらいは、ヴィーガン料理でもよいかと感じた。ランチかディナーか、どちらかで。
一緒に食べる相手によるが、たいていのひとは、「これはヴィーガン料理です」と言わなければ、もしかしてわからないだろう。それくらい、疑似的な肉(ソイミート)のレベルは上がってきている。
健康面のことについて触れてみたい。ちょっと野暮な話だが、翌日のお通じが非常によろしい。当然と言えば当然なのかもしれないが、野菜と穀物を中心に調理してあるから、料理は繊維質が豊富だ。消化に時間がかかる肉を使用していないから、胃腸には負担がかからない。
そして、料理全般がライトに仕上げてあるところがよい。わたしも近頃は外食が多くなっている。外食は基本的に脂っこく、味つけが濃厚だ。わたしの年齢の消費者にはきびしい。ヴィーガン料理は、どちらかといえば味づけも薄めになっている。ここもプレミアムで加点ができる。
というわけで、今後もチャンスがあれば、エイタブリッシュに行ってみたいと思う。別のヴィーガンレストランで、面白いところがあれば、紹介していただきたい。