中棚荘滞在記#1: 5年ぶりの初恋りんご風呂

 酷暑から逃れて、信州小諸の中棚荘に来ている。詩人の島崎藤村ゆかりの宿として知られる名湯だ。最後に来たのが福尾が秘書のころで、あれからかれこれ5年になる。山口くん、青木さん、福尾さんとわたしの4人でやってきた。りんごがお風呂に浮かんでいたから、秋口だったのだろう。

 

 この宿には、マラソン練習のために何度か投宿している。いちばん長期滞在したのは、2012年の夏で、二回に分けて12連泊している。あのころは、2月の東京マラソンに向けて、山の中をトレールで走っていた。小諸だけではなく、妙高高原でもひとり合宿したものだ。

 この頃は、基本的に走る距離が減っている。月間でせいぜい120KM。当時は180KMから多い時で月に200KMは走っていた。年間では1800~1900KM。その結果は、フルマラソンは常に4時間前後で完走できていた。わたしのランナーとしての黄金時代は、55歳から62歳までだった。海外マラソンもたくさん参加してきた。

 

 2016年からは長距離走の低迷が始まった。加齢とそれにともなう練習不足が原因だ。そこから脱しようと、今年は小諸合宿を復活させることにした。当初は、25日から29日まで4泊5日を計画していた。思うようには事が運ばず、結局は、原稿や講演資料の締め切りに間に合わず、小諸合宿は昨日(26日)からのスタートになった。

 昨日は渋滞の中、午後3時半に中棚荘に到着。笑顔の小林さんにお出迎えしていただいた。早速、白樺湖方面の坂道を往復6KM走ってきた。ただし、久しぶりに坂道で足を使ってしまった。今朝のランニングは、その疲れもあって無理をせず中止とした。

 いまの時間はちょうど12時。午後には、標高1000Mの林道を御代田方面に走ろうと思っている。たしか往復で2時間かかるはずだ。東京は35℃の猛暑が続いているらしい。少なくともここは、東京にいるよりは涼しげだ。山の中に入れば、もっと気温は下がるだろう。

 

 もっとも、まだ夏場なので、お風呂にリンゴは浮かんでいなかった。小林さんからのひとこと。「お風呂の場所は昔のままですが、衛生的な理由で、お風呂がヒノキから石造りに代わってます」とのこと。そう言われなければ、気が付かなかったかもしれない。微かに硫黄の香りがする源泉かけ流しの湯、天然のブナや樺に囲まれたた露天風呂は、昔のままだ。

 板前さんは変わっていないとのこと。今回は3泊するのだが、わたしのような長期滞在者は、料理人泣かせなのだそうだ。毎晩、同じ料理は出せない。今回は、どんなお食事の構成(攻勢)になるだろうか?

 昨夜が、中棚荘の次男さんがはじめたワイナリーの熟成ワインを、ボトルキープした。どうせ3夜泊まるのだろうからと。一日でボトルを半分は空けてしまった。