2月14日のバレンタインは、週末に当たると客数が減る傾向があります。近頃の若い男性がしっかりフラワーバレンタインのキャンペーンに乗ってくれるからです。バレンタインは、基本的に「オフィス需要」になりかけています。
一方で、母の日は基本的にファミリー需要があてにできます。自宅の近くの花屋さんや、ショッピングモール内で花売り場を展開しているチェーン店にとって、「週末の物日」は集客面では有利に働く傾向があります。ところが、今年の母の日は、全国的に悪天候の予報が当たってしまいました。午後からは小雨がぱらつき、関東地方では夕方から雨脚が激しくなり、客足が途絶えてしまったようです。私が一週間で入手できた情報によると、昨年対比で売上は微減のようでした。平均すると、昨年対比で3%~5%のマイナスのようです。
皮肉なことに、控えめに仕入れをしたお店は商品がすべて売り切れたおかげで、利益をきちんと稼ぐことができたようです。「昨年対比で売上はマイナス5%ですけど、利益だけはしっかり稼げました」という地方の花屋さんが多かったのが印象的でした。無理せずに仕入れをして、「売り切れ御免」の商売に徹した店主さんが、無難に母の日を終えたようです。それでも最後に一言、「儲かっても、やっぱり売上が減ったら元気はなくなりますけどね」と電話の向こうからは寂しそうな気持も伝わってきました。
もちろん商品カテゴリーによっては、企画商品のアレンジや目新しい植物では売上が好調だったようです。しかし、定番のピンクのカーネーション、とくに鉢物のカーネーションを多めに仕入れたフラワーショップは、在庫の山に埋もれてしまったようです。一昨年辺りは売れていたアジサイの鉢なども、以前ほど勢いはなくなっているようです。結局は値段の問題ではなく、商品企画力が好不調の分水嶺のようです。
花業界に限らず、物日の商売は難しくなってきています。節分の‘恵方巻’や年末の‘クリスマスケーキ’を販売するコンビニでは、今や予約販売が主流です。かつてのように本部が主導して店頭を商品で埋めつくすことは、フードロスの観点から社会的な批判を受けます。なお、ECの予約販売では、在庫を持たないメリットを享受できます。JFMAの会員で、店舗販売からECに商売をシフトさせている某フラワーショップは、不調だったはずのカーネーションの鉢物で、売上を倍に伸ばしたそうです。母の日もまだやりようはあるようです。
そんな母の日でしたが、最後に、わたしの周囲でどのようなプレゼントが行きかっていたのかを紹介したいと思います。インスタグラムがふつうになった母の日なので、以下のアイテムはすべて写真つきで送られてきたメールからの情報です。
京都在住の友人の女性(55歳)は、義理の娘さんからミニ胡蝶蘭の鉢物とドライフラワーのリースをいただいたようです。わが妻へ義理の娘が贈ったプレゼントは、黄色のストールにミニブーケが添えられてしました。その反対に、わが妻が実母(84歳)にプレゼントしたのは、どうやら下着だったようです。欲しい物を尋ねたところ、残念ながらお花は選ばれなかったようです。
さて、私は地元の花屋さんに直接電話して、秋田の実母(89歳)にアジサイの鉢植えを届けてもらいました。夕方になって、母親からお礼の電話がきました。母の日というプレゼントの機会があるので、花好きの母親と私は年に一度は花について会話を弾ませることができます。