駅前やスーパーの入り口、駐車場などで、野菜や果物を安値で販売している風景を見かける。それでは、花のアウトレット的な販売は可能なのだろうか?よくよく考えてみると、、、
地方の野菜直売所では、サイズが短かったり、葉っぱが少し痛んでいたりする「規格外品」の切り花が売られていることがある。わたしなどには、見た目でどこに問題があるのかわからない微妙な品質差なのだが、花市場ではセリ値がつかない商品らしいのだ。当初は、卸市場で処分ができない分を直売所で販売するようになったのだろう。しかし、房総半島や東北地方の直売所などでは、いまや春先などには観光の目玉にもなっている。販売数量もばかにならないだろう。
昨年、九州・四国地区の大きなバラの生産者の温室を回ったときに、この規格外品のバラが出る比率を教えてもらった。年間平均では全出荷量の2割程度にもなる。実際には、「畑で捨てられているもの」もあるから、数量はもっと多いのかもしれない。捨てたり処分したりするのはもったいないとは思うのだが、インタビュー先の経営者が、正式契約で販売するには、ふたつの課題があることを指摘していた。
季節によって天候の具合で、規格外品の出る比率が一定しないのが第一の理由である。品質的に問題はないとはいっても、数量の予測ができないのでは買うほうが困る。直接仕入れる側としては、売り場を構成することができないのである。とくに、複数の店舗を運営している量販チェーンでは、52週間のMD(商品計画)に規格外品は組みこめないことになる。二番目は、取引形態の問題である。規格外品は、市場を通さないで直接店舗や加工センターなどに納品するほうがよい。しかし、帳合いの関係で、仲介に入る花市場は直取引をきらう傾向がある。物流上も課題が残る。直接納品が必ずしも効率が良いとは限らないのである。市場をロジスティックのハブとして利用するほうが、トータルで物流コストが下がることが多いのだ。
それでは、直売所以外に、こうした規格外品の流通システムを作ることは不可能なのだろう?わたしはその可能性があると感じている。答えのひとつが、「花のアウトレット販売」あるいは「アウトレットモール」を作ることである。
花の専門店の一部店舗では、むかしから直送による大量販売が行われている。ただし、それは正規品に限ってのことである。従来の大量販売と「アウトレット販売」の違いは、アウトレット(食品スーパーやホームセンターを想定)では、花の旬の時期(たとえば、7月であれば、ヒマワリとかカスミソウ)に、通常の販売場所とは異なる所で一時的に花の売り場(アウトレット・サイト)を設置することである。そして、仕入れる商品は、規格外で安価だが、新鮮な旬の花を対象とするのである。売り場としては、賑わいのあるイベント・フェアのイメージである。
アウトレットの場所は、できれば来店客が必ず通過する正面玄関などが理想的である。通常の花売り場とは、位置的に離れていることが望ましい。なぜなら、アウトレット・サイトでは、ふだんはあまり花を買わない顧客の「衝動買い」を誘いたいからである。また、比較的安価な規格外品を販売するアウトレットが、正規の花売り場と顧客を奪い合うことを避けたいからでもある。
毎月一回、開催されるアウトレットで花を購入してくれた顧客が、次回は花売り場に足を運んでくれるかもしれない。そうなれば、通常の花販売の実績向上にも寄与するだろう。店舗の側からみれば、季節商品を安く顧客に提供できるメリットもある。