レースのエントリーを前日に済ませていたので、本日は丸一日、スケジュールが自由になった。ローソンのオーナー会の皆さんと、昨夜は遅くまで飲んで別れた。何度か復活しようと試みたが、起床は午後になってしまった。12時半から活動を開始。ようやく起き出してシャワーを浴びる。
フリーの乗車券パスを持っているので、市内観光で乗り降り自由なトローリーバスに乗ることにした。行き先は、世界一小さな水族館、ワイキキアクアリウム。本当かどうかはわからないが、JALパックの案内の女性がそう話していた。
大通りに出て、ダイヤモンドヘッド行きのバスを待つ。しかし、待てど暮らせど、一向にトローリーバスが現れる気配がしない。JTBもJCBも、やって来るのはアラモアナショッピングセンター行きのバスばかり。じっと堪えて10分後に、私たちはバスに乗るのを諦めて1.5kmほど歩くことにした。
空港到着後の説明会で、ワイキキビーチの地図を入手している。地図にしたがうと、芝生の生えている海岸線に沿って歩いていけば、動物園の先に水族館が見えるはずだ。芝生のところどころには、ハワイの州の木、コアの木が群生している。コアは、英語でKOA WOODと綴る。ハワイ原住民にとって、コアウッドは聖なる木だ。
コアの木は、アカシア属の樹木でハワイ固有の植物。高さは約30メートル、幹の太さは約15メートルにも成長するという。海岸に沿って生えているコアの木は、高さが10メートルほどだろうか。先住民たちは、この木の林を、「プルクプルという神のものであると信じ畏れていた」という言い伝えが残っている。世界中に存在する自然への畏敬心、アニミズムのプロトタイプだ。
ところで、耐水性に優れているコアの木は、カヌーやサーフボードに用いられている。材料として切り出すときには、たくさんの供物が捧げられ崇められてきた。精霊が宿る木だからだろう。ちなみに、ウクレレの材料もコアの木である。高価な家具や宝石にも用いられている。いまや絶滅種らしい。
コアの木を何本か潜り抜けて、大通りに出ると、明朝6時のスタートを待つハーフマラソンのゴール地点に到着した。銅像が立っているのが目印になっている。ポリネシアン風の音楽を奏でるバンドが、ステージの上で演奏をしているらしい。らしいというのは、大木の影になって、舞台そのものはよく見えないからだ。
その先に門塀が見えた。ワイキキ動物園。これも、もしかして世界で一番小さな動物園かもしれない。動物園の敷地より、隣のサッカー場の方が圧倒的に大きそうだからだ。動物園のゲートの前には人影もほとんどしない。
ハワイのオアフ島まで来て、動物園や水族館に来る観光客は、よっぽどの動物マニアか、時間を持て余しているファミリーくらいだろう。ここに、その老夫婦がひと組みいたわけだが。
水族館までたどり着いたところで、ダイヤモンドヘッド行きのトローリーバスが私たちを追い越して行った。しかし、あのバスを待っていれば、30分は停留所で待たされていたことになる。コアの精霊木の霊気を浴びただけ、私たちはワイキキの浜辺で有意義な時間を過ごせたわけだ。
フロントには、若い女の子が二人。入園料は、大人一人12ドル。カップルだと20ドル。ところが、わたしが66歳のシニアだと申告すると5ドルになった。かみさんはプラス8ドルで、合計13ドル。水族館博士の原澤くんが調べた資料では、日本の公営水族館の入園料はほぼ500円から800円だった。物価の高いホノルルで、二人1500円は儲けものだろう。
お土産物やさんは帰りに寄ることにして、洞穴のようになった館内に入る。展示の始まりは、見慣れたクラゲ。すみだ水族館を見慣れた観覧者には、少し物足りないだろう。種類も少ないし、ライティングもやや暗め。動画を撮影したが、単調なクラゲの乱舞はちと冴えないダンスにしかならない。
それでも、狭い洞穴の横穴に入ると、熱帯魚が泳いでいる。特別な種類には見えないが、小さいながら、子供達が歓声を上げている。英語と日本語が交互に聞こえる。ということは、日本人の観光客もそこそこここの水族館を訪れていることがわかる。やや騒々しいアジアからのお客さんは皆無だ。だから、狭い空間ながら、何とは無しにまったりしているのだろう。
ここの水族館の売りは、どうやらタツノオトシゴらしい。ドラゴンフィッシュ。龍魚?小さいのから大きいのまで全部で5種類くらい。次々に、別の水槽に分かれて現れた。あとは、優雅に泳いでいたアロワナ。サメやマグロなど、大きな魚は展示されていない。水槽は小ぶりだからだ。餌をあげるのも大変なんだろう。
30分ほど洞窟の中を歩いた。横穴が四ヶ所。全部で20メートルほどの通路を抜けると、その先は海になっている。出口には、池があって、子供達がヤドカリと遊べる池になっている。学芸員さんが、子供にヤドカリの生態を説明している。英語の説明なので、わたしにはよくわからない。
アザラシは、どこかに行ってしばらくショーはお休みと見える。オットセイも以前はいたようだが、保全の目的で海に離してしまったのか?当然のことながら、イルカのショーもなさそうだ。
それでも、30分覗いてお楽しみは十分に5ドルの価値はあったと思う。30分はの海底の魚の生態を覗いて楽しめだ。終わってみると、重たい二日酔いはいつの間にか去っていた。コークを買って、往復2時間のウォーキングのおかげだろう。
夕飯は、カーボローディング兼ねたカリフォルニアロールとマグロの漬け丼。シェフのおまかせサラダをサラダファーストで。場所は、燦鳥レストラン@ハワイアンセンター。サントリーの海外事業の店。オーストラリアに行った時、シドニーでもサントリーのレストランに入ったことがある。
本当は、すし匠ハワイ店で夕食にしたかったのだが、当日の予約は無理で取れなかった。お店の方に、月曜日なら空いてますが、と言われたが、月曜日は成田行きの飛行機の中だ。
このお店は、ネットで調べてみると、食べログの点数で4.8点。滅多にない評価ですごい。早めに予約をすべきだった。残念だが、帰国したら、四ツ谷にお店があるそう。