先日のCSフォーラムで、通販化粧品会社「オルビス㈱」のCS部課長、野部祥子さんに講演をいただいた。講演録は数週間後に、ブログにアップする。Q&A後に対談をまとめた小川のコメントをアップしておく。何気なく運営されてはいるが、顧客対応面でオルビスは畏怖すべき組織である。
わたし自身も驚いたのだが、初年度(2009年)は「アマゾン」が、2年目(2010年)は「ファンケル(オンライン)」が、通販業界でCSトップの座を射止めた。ところが、昨年度(2011年)は、はじめてリスト企業に入ってきた「オルビス」が、ファンケル(3位)をおさえてトップになった。
株式上場しているので、ご存知の方も多いのだろうが(わたしは知らなかった)、オルビスは、ポーラ化粧品の子会社である。当初はそのことを隠して(「ブランド隠し」)、25年前にカタログ通販企業として創業された。2011年度の売上高は、約350億円である。
親会社の「ポーラ化粧品」は、高級化粧品メーカーのイメージが強い。ブランドとしては別の展開を考えたのだろう。オルビスの方は自然志向で、肌に負担をかけない素材を使用することに重点を置いている。オイルカット(無油分)スキンケア商品が特徴で、パッケージを簡素化したり、リフィル方式を採用している。
中断: この続きは、面談(植村さん)のあとで、、、、(2時以降に)
講演タイトルは、「オルビスの約束」であった。商品(ナチュラル)、価格(リーズナブル)、サービス(お試しサンプリング、まとめ買い割引、送料無料)が基本特長である。
しかし、わたしが感動したのは、コア顧客の離脱率(一桁)と従業員の離職率(120人中、わずか!年間で3人)の低さである。オペレーターをたくさん抱えている通販企業で、このような低い離職率は聞いたことがない。また、顧客の離脱に関しては、ふつうならば20%~30%程度はある。
その秘密は、コールセンターのオペレーションにある。顧客対応をしているフロントのオペレーターに入ってきたクレームなどは、CS推進室(カスタマー・コミュニケーション推進室)を通して、すべて機能部門(マーケティング、商品開発など)と共有される。
そして、3つの会議体で、商品やマーケティングの課題が、迅速にかつフレキシブルに対応がなされる。経営トップ層は月2回、CS推進室と機能部門のチーフの会議は月一回。オペレーターとCS推進室とは、ほぼ毎日ミーティングを持っている。
オペレーターの離職率の低さは、優秀な顧客対応の「表彰パーティ」を主宰するなど、組織としてのモチベーション維持が上手だからである。顧客の離脱が少ないのは、以下の3つの理由による。サービス良し、価格良し、品質良し。プレミアムブランドではないが、品質と価格とサービスのバランスが良くとれているからである。
なお、CS(顧客満足度)の高さは、82.2点である。それ以上に印象的なのは、知覚価値(価格への納得感)の高さ(80.3点)である。例えば、業界中央値は72.5点、3位のファンケルが75.4点である。