徳江倫明氏との再会:食の安全性への取り組み

 昨日、4年ぶりに徳江倫明氏と再会した。徳江さんとは、99年に刊行した『当世ブランド物語』誠文堂新光社刊で、「らでぃっしゅぼーや」(有機食品の宅配事業ブランド)のインタビューをお願いしたことがきっかけで知り合うことになった。98年春ごろであったと記憶している。


その後、2000年になって、「らでぃっしゅぼーや」の店舗部門として運営された「マザーズ藤が丘」(現、夢市場運営)の店頭面接調査を実施するにあたって、仲介をお願いした。その間、徳江氏自身は、「農業食品監査システム」(AFAS)で、食の安全性を守るためのオープンな仕組みを構築することに力を注いできた。基準認証とマネジメントシステムの設計である。
 徳江氏曰く、「”らでぃっしゃ”や”大地”(大地を守る会)で行ってきた、クローズドなシステム(設計)にはほぼ目処が立った。これからは、オープンなシステムを作るのに、自分がどのように係わることができるか。方向性が見えてきたので、手応えはある」
 BSE問題が起こって、課題についての重要さと将来なすべきことについては、世間の感覚が追いついてきた。その分、徳江さんにとって、仕事はやりやすくはなっているという。しかし、大手企業も実態を見てみれば、本当に社会的な事業システムとして方向が完全に見えているわけではない。IY(顔のみえる野菜)やイオングループ(グリーンアイ)の取り組みは、アドバルーンを上げて外向けに大々的に宣伝されているほど、実際的は生産段階や供給システムでの課題を解決してうえで、目標設定がなされているわけではないらしい。
 筆者たち(横国大・阿部周造先生、筑波大・西尾チヅル先生、玉川大・青木道代先生、東京都・酒井理氏)は、今年から3年間、文部科学省の科学研究費補助金をいただいて、「有機野菜の流通システム」と「食の安全性」の問題を、消費者行動の観点から取り組むことになった。今後、徳江さんとは、実務の世界で接点を持つことになりそうである。そのリスタートが昨日の再会であった。
 国内視察だけでなく、中国・ドイツなどで調査を協同で実施することができそうである。いつか一緒に、「食の安全性」をテーマに共著を仕上げきましょうよ、という約束が果たせればいいなと考えている。