次世代コンビニをめざすローソン、ラストワンマイルへの挑戦

 ローソン(竹増貞信社長)が生鮮品をコンビニで受け取れる「ローソン フレッシュ ピック」の事業開始を発表した。朝8時までにスマホで予約すると、その日の夕方18時以降に実店舗で生鮮品などをピックアップできる仕組みである。神奈川県(川崎と横浜)と東京西地区(渋谷と世田谷)の約200店舗で、昨日からサービスが開始されている。

 

 新しもの好きのわたしは、早速、「ローソン フレッシュ ピック」(以下では、LFPと略称)のサイトにアクセスしてみた。商品を注文して、アプリの基本的な機能をチェックするためだ。スマホからの会員登録は、とてもスムースだった。

 わたしの購入体験(まだ途中段階、注文完了は午後以降)は、つぎのような流れになっている。

 

 1 スマホからアプリをダウンロード

   グーグルなどの検索サイトからで、簡単に入手可能

 2 個人会員情報を入力

   カタカナ名、スマホのアドレス、携帯電話の番号など

  *個人情報を送ると認証番号(4桁)がスマホに送られてくる

 3 商品を受け取る店舗を検索

   エリア/路線・駅名か店舗名でサーチする  

 4 ピックアップ店舗を指定

  *法政大学からなるべく近い「千駄ヶ谷店」を指定

 5 購入対象商品の選択

  トップ画面のカテゴリーは、

  ①野菜・果物、②お肉、③成城石井、④ミールキット、

  ⑤毎日の食品、⑥今週のおすすめMENU、⑦便利なソース・調味料、

  ⑧和の朝食、⑨洋の朝食、⑩お弁当のおかず、⑪専門店グルメ

  となっている。

  *絞り込まれた食品スーパー(成城石井)の品ぞろえ?

 6 商品選択後のバスケットに投入

  *わたしが食べる2つの商品(内緒です!)がバスケットの中に。

   午後には、かみさんからのオーダー品を追加注文して送信の予定

 7 店舗ピックアップ

   明日の午後6時以降に、千駄ヶ谷店に訪問の予定

 

 ここまでのLFP体験は、とてもユーザーフレンドリーだった。ここからは、ローソン広報部からの「リリース資料」(添付)にしたがい、わたしが試みた「注文テスト」について、個人的な感想を述べてみる。

 

(1)取り扱いカテゴリー(狭い)

 ローソンが複数の関連事業(業態)を持っていることが、シナジーとして活きている。「ネットスーパーのライスワンマイル」を担うことで、事業的なシナジーが有効に機能するように見える。

 リリース資料のサブタイトルには、「成城石井やオイシックスドット大地の商品も」。品ぞろえの中核を担っているのは、スーパーと自然系の食品宅配ネット。セブン‐イレブンがオムニチャネルを狙って事業を展開してきたが、ローソンは、「食品特化型のオムニチャネル」を構築するために一歩前進したように見える。

 ところで、実際に商品画面を開いていくと、ローソンの基本品ぞろえにプラスして、ナチュラルローソン、らでぃっしゅぼーや、銀座若菜、サンクルーゼ、叙々苑、鈴廣かまぼこ、にんべんなどの商品がリストアップされている。食品スーパー+総菜キットと一緒に、健康美容食品、調味料やスイーツなどが品ぞろえを補完してている。

 取扱商品(約500種類)は、現状ではかなり絞り込まれている(標準的なコンビニの6分の一)。しかし、これはあくまでも、品ぞろえ的には、標準的なコンビ二の商品(3千アイテム)に付加されるものである。スマホで注文した商品を受け取るときに、店舗においてある商品を組み合わせることができる。また、将来的にはもっと幅を広げることができそう。まだ実験段階とみられる。

 

(2)決済(@店舗)

 スマホで注文はするが、支払いは店舗で行われる。ネット完結(カード決済)にしなかったことには二つの意味がある。

 一番大切な点は、売り上げが店舗に帰属することだろう。店舗決済でFCの側は大きなメリットを享受できる。レジではついで買いも生まれ、客数・客単価ともアップするだろう。

 二番目は、業務的な側面である。決済(支払い)が店舗で行われるので、①注文のキャンセルを受け取り時まで引き延ばすことができる(返金など不要)。②プロモーション面でも、スマホ経由でネットとリアルがシームレスに連動できる。この点が将来的にはローソンの強みになるだろう。

 

(3)物流ネットワーク構築

 コンビニのドミナント商圏は、約200店舗。物流の基本単位も、この200店舗単位で組み立てられている。たとえば、ひとつの弁当工場で作られる商品は、この基本単位の200店舗に配送されている。実際に、LFPの最初の物流ネットワークは、川崎地区と東京西地区のドミナントで始まった。物流の中心に位置しているは、「川崎のデポ」である。

 商品を補充するために(チャンスロスをなくすために)、川崎のデポで在庫を保有するのかどうかはわからない。しかし、商品を供給する関連事業体(成城石井、オイシックスドット大地など)とは、このデポがカバーする基本エリアで、情報物流的にはひとつのユニットを構成する。今回は、そのパフォーマンス実験とみられる。

 川崎でこれがうまくいけば、あとは首都圏から関西圏に、事業が広がっていく可能性がある。楽しみな事業がスタートしたものだ。次世代コンビニモデルに、また新しい地平が広がったと思える。

 

 いまの時点で、LFPの「MYバスケット」には、二つの商品が入っている。夕方まで、発注をかけるつもりではいる。場合によては、夜中になるかもしれないが、ともかく、このアプリはとてもユーザーフレンドリーだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 なお、ローソン広報部からいただいた、ニュースリリースは、以下のようになっている。

 

「スマホで予約、コンビニで購入・受け取り 生鮮品もコンビニで買う時代に 既存の物流システムをフル活用したローソン型ラストワンマイル (成城石井やオイシックスドット大地の商品も)」

 

 株式会社ローソン(本社:東京都品川区、代表取締役 社長:竹増 貞信、以下「ローソン」) は、朝 8 時までに予約し 18 時以降店舗で購入できる新しいローソン型ラストワンマイル「ロ ーソン フレッシュ ピック」を、3 月 6 日(火)より、東京都世田谷区、渋谷区、神奈川県 川崎市、横浜市の一部地域(約 200 店舗)で開始いたします。
「ローソン フレッシュ ピック」での取り扱い商品は、野菜や果物など青果、豆腐や納豆 など日配食品、調味料など食品のみ合計約 500 種類となります。食材と調味料などがセットに なったミールキットが約 20 種類と豊富で、さらに成城石井などスーパーや専門店の商品の取 扱いも行います。
 2011 年と 2016 年の比較では、女性の社会進出により主婦の方の炊事と自由時間の減少が顕 著になっています(※1)。宅配時間にしばられず、お客様が好きな時間に指定のローソン店舗 で商品を購入することができます。また、今回のサービスは既存コンビニエンスストアの店舗 網と物流網を活用しており、新たな物流の構築は行いません。

(※1)総務省統計局 社会生活基本調査(2011 年、2016 年)より
  
(サービスの流れ)*オリジナルの図表を文字化

 ①スマホで決済

   当日8時まで

 ②EC物流センターで商品をピックアップ 
   当日9時に出荷

 ③チルド配送センターで商品を積み替え

   当日昼頃に出荷

 ④指定の店舗に納品・保管

   当日午後納品

 ⑤指定の店舗でご購入・お受け取り

   当日18時以降(翌日、21時まで)

  
 今後、展開エリアを首都圏に拡大し、さらに全国展開を検討してまいります。
 【この資料に関するお問い合わせ先】 株式会社ローソン 広報室 TEL:03-5435-2773 東京都品川区大崎 1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー