年間を通して、20~30人の女性に花を贈っている。年末年始やクリスマスという場面もあるが、ほとんどが彼女たちが誕生日を迎えたときのプレゼントである。住んでいる場所(国)、年齢は実に多様である。
FTDのネットワーク(ワイヤレスサービス)があるので、留学後に帰国した中国人の留学生や、米国・オランダでしごとで知り合った女性にも誕生日に花束を贈っている。例外無く、花を受け取った女性からはお礼の感激メールが戻ってくる。それがうれしくて、また花を贈り続けている。われながら、単純な人間である。
花を贈る習慣をはじめたのは、約10年前である。ゼミ生の誕生日に花を贈ることを思いついたことがきかっけであった。業界団体のトップ(JFMA会長)の責任感から、花の消費を増やすために、個人でできる手軽な方法としてはじめたことである。年間10万円以上を花束のプレゼントに費やしている。もっとたくさん、お金を使っているかもしれない。というのは、その辺のお店で購入したブーケの領収書は、アシスタント(兼会計係)の大関に渡した覚えがないからである。
大関にたずねてみるとよい。小川先生は、会社の金ではない、正真正銘、自分のポケットマネーで花をプレゼントする日本人男性として、お花に対する支出額は確実に上から1%には入るはずである。ちなみに、日本人の平均切り花消費額は、一人当たり年間約4千円である。
花を贈ることのメリットをひとつ。女性に誕生日や住所を聞くのは、一般には禁じ手である。しかし、わたしは明白な理由があるので、誕生日と一緒に、どんな女性からも堂々と住所や電話番号を聞き出すことができる。断っておくが、携帯電話の番号を入手するのに、この手を悪用してはいけません!
いままで拒否されたケースは一例だけである。同僚のある美人教授、ただひとりである。わたしは性格があっさり目なので、しつこくその後におねだりはしなかった。教えてくれなかったのは、まったく別の理由からだと手前勝手に解釈している。
とくに、ゼミの4年女子には、卒業の年には全員にお花をプレゼントする。メルヘンローズ(大分)の小川先生命名のブランド(Mーヴィンテージ・コーラル)が四女へのプレゼントである。娘たちの誕生日に、香りの良いピンクのスプレイバラ(しかも先生の命名!)が届く。実は、花束をプレゼントされて一番喜ぶのは、彼女たちよりもその母親たちであるという発見をしたことが、わたしには新鮮なおどろきだった。
花束を受け取ったゼミ生たちからは、翌日に必ずメールが帰ってくる、例外なく、その感謝メールの中に、「母親がうれしそうに、自分がプレゼントされたかのようにニコニコしています」という一文が付け加えられている。ほとんどの日本の母親たちは、男性から花束を贈られた経験がない。おそらく、母親たちを感激させる感情の根っこには、ゼミの指導教授が花を贈ってくれるほどに、自分の娘が先生からかわいがられている。その満足感と安心感が、娘さんたちに伝わるのだろう。その感情の反映が、私への感謝のメールや手紙をさらににこやかなものにしてくれている。
手前味噌になるが、誕生日に花を贈ることは花の消費を増やしているだけでなく、親御さんたちに対しては大学の評判を高めることにも貢献しているち思っている。花が持つ特別な力に感謝するとともに、最初はちょっと気恥ずかしいのだが、フラワーパワーの威力を他の男性にも試してみることを薦めてみたい気がする。