「花き物流プロジェクト=ゲートウェイ構想」『JFMAニュース』(2018年1月20日号)

 わが国の花き物流システムを根本から変えるプロジェクトが始動した。JFMA新春セミナーで、小川(法政大学)が基調講演を、花き物流プロジェクトリーダーの三和陸運の井上社長が「ゲートウェイ構想」の意義と具体的な提案をプレゼンした。以下に、「ゲートウェイ構想」について概説する。


(1)切花専用の物流拠点を全国5カ所(西から、福岡、大阪、東京、仙台、札幌)に作り、
(2)その間を大型トラックの定期便を走らせる。将来的には、自動走行の連結型トレーラーを想定している。
(3)物流拠点内はほぼ無人に近い状態で、自動仕訳装置とRFIDタグを導入する。
(4)ダンボール箱は規格を統一し、産地と店舗間は物流拠点を経由してコールドチェーン共同配送システムを確立する。

 この構造改革によって、都市部だけでなく地方の顧客に対しても、必要とされる品種と数量の花がタイミングよく届くことが実現する。その目指すところは、(1)物流費を半分に低減させ、(2)配送時間も半分に短縮し、(3)花の品質を2倍にアップさせることである。但し、このプロジェクトを実現するためには、課題が二つある。
 第一に、全国に4~5か所の物流拠点を建設するために、およそ50~80億円規模(暫定的な推定)の投資が必要になる。そのための出資者と資金を集めるための組織が求められる。もちろんそうした協力体制を築くためには、互いの利害を超えた調整が不可欠になる。
 第二に、このプロジェクトは短時間で実現する必要がある。なぜなら、事態は差し迫った状況にあるからである。物流費の高騰と人手不足は深刻である。輸送経路が確保できないために、国内で生産された花が全国津々浦々に届けることができない。需要はあるのに、花が届かない状態が現実としてある。5年計画や10年先のプランでは悠長すぎる。従って、私からの提案は次のようになる。

1.業界内での協力体制を「半年以内」(2018年の夏まで)に確立すること。そして、
2.実現のためのプランを「1年以内」(2019年1月まで)に策定すること。更には、
3.提案から「2年以内」(2020年春まで)に事業主体を構築すること。
4.最終的には、 2020年の10月に操業を開始すること。

 このプロジェクトと並行して、取引コードの標準化、ダンボール箱の企画統一も狙うことで、合理化が推進できるだろう。オールジャパンで取り組まなければ、この構想の実現は不可能である。皆様の積極的なプロジェクト参加とご協力をお願いします。