【JFMAニュース・巻頭言】「花業界も“草の根ネットワーク”を活用する時代へ」(2015年7月号)

 7月17日に、「花の国日本協議会」(FJC)の理事会と総会が開かれた。総会後は引き続き、フラワーバレンタインの2015年度報告会が開かれた。プレゼンターは、小川典子プロモーション担当マネジャー他、3名だった。2月初めから局番をフラワーバレンタイン一色にしてくださったJ-WAVEの橋本ディレクターの話も面白かったが、際立っていたのは地方からのふたつの報告だった。


「フラワーバレンタイン香川2015」の真鍋佳亮さん(香川花卉園芸協会)と「九州花き卸売市場連合会青年部、フラワーバレンタイン2015活動報告」の古藤茂さん(福岡花市場)である。「昨年からようやく全国的にも認知率が上昇して、フラワーバレンタインが地方にも広がり始めている」(小川典子さんの報告から)。真鍋さんも古藤さんも地方組織の旗振り役ではあるが、彼らの活動に共鳴した地方の組織(若手のメンバー)が、フラワーバレンタインの運動をきっかけに大きく動き始めている。草の根のプロモーション活動が立派に機能していることを示す、ユーモアあふれる報告だった。

 このところ成功しているマーケティングキャンペーンの特徴は、地方組織が自律的に動くことがポイントのようだ。本部(東京)が主導して支部(地方)がそれにつき従うような運動はあまり盛り上がらない。5年目のフラワーバレンタインのように、地方にいる若者たちがリードして、いつのまにか地方全体が活性化しているのが理想だ。
なお、花の国日本協議会では、2015度の新しい活動として、「Weekend Flower」を展開することになった。いまから25年ほど前に、当時のダイエーが、「金曜日に食卓に花束を!」というキャンペーンを展開していたことを思い出した。しかし、当時と比べるとスーパーの花売場も変わってきている。フラワーバレンタインが定着しつつあることで、次なる業界キャンペーンは、「ホームユース需要の創出」になった。このWeekend Flowerの運動も、本部主導では動かないだろう。

 新しいテーマのもとで、花屋さんが自律的にホームユースに取り組んでほしいものだと思っていたところ、さっそく実例を示してくれたのが、ゼントクコーポレーションの伊藤瞳さん(JFMA副会長)だった。インパックの守重知量社長が、FJC総会の翌々日に、社内向けの報告で伊藤さんたちの活動を紹介してくれている。引用させていただくことにする。

 「ウイークエンドフラワーの委員会では年間52週の中でMDが打てるため、かなりの関心事でした。事前に行動したゼントクコーポレーションの伊藤さんは5ヶ所の小売り店舗で実行した生花を発表されました。五人の店長にすべて任せたそうです。素晴らしい内容でした」(『社長通信』7月20日号より)。

 Weekend Flowerの活動では、このように、各店の店長さんや現場の店員さんたちがアイデアを出し、いいアイデアが組織内や花業界に広まっていくことが予想される。チェーン店でも、かつてのように本部主導ではなく、各店が創意工夫する時代に突入している。新しいキャンペーンを業界内で広げようとするならば、いまや社会的なインフラとなったSNS(まとめサイトやYou-Tube)などを便利な道具として活用できる。ビジネスの世界でも、情報的な「草の根の民主主義」が一般化してきている。また、それを賢く利用することが会社の事業や業界あげてのキャンペーにとって必要なことだと感じる。