花き物流プロジェクト=ゲートウエイ構想@新春セミナー

 わが国の花き物流システムを根本から変えるプロジェクトが始動した。昨日のJFMA新春セミナーでは、小川(法政大学)が基調講演を、三和陸運の井上社長が”ゲートウェイ構想”の意義と具体的な提案をプレゼンした。18年間のJFMA花きセミナーで、歴史に残る内容だったと思う。

 

 物流プロジェクトの内容については、次回のJFMAニュースで紹介することになっている。また、新春セミナーに出席できなかった関係者の方には、別途に「ゲートウェイ構想」の提案書を送付させていただきたいと思っている。

 ここでは、関係者各位に対して、JFMA会長のわたしからお願いをさせていただきたい。

 

 この物流プロジェクトは、日本の花き市場を根本から、しかも参加者全員にとって良い方向に変えていくモメンタム(きっかけ)になる可能性をもっている。業界内では何かにつけて利害が対立することが多いなかで、物流改革プロジェクトは、ほとんどの関係者にとって結果はWinWinとなるものと確信している。

 都市部の消費者だけでなく、地方に居住する顧客に対しても、必要とされる品種と数量の花がタイミングよく(素早く)届く仕組みを実現するためのシステム改革である。目指すところは、(1)物流費を半分に低減させ、(2)配送時間も半分に短縮し、それでいて、コールドチェーンと共通サイズの箱に規格を統一することで、(3)花の品質を二倍にアップさせることである。 

 

 ただし、このプロジェクトを実現するためには、課題が二つある。

 第一に、全国に4~5か所の物流基地(TCセンター)を建設するために、およそ50~80億円規模(暫定的な推定)の投資が必要になる。そのための出資者と資金を集めるための組織が求められる。もちろんそうした協力体制を築くためには、互いの利害を超えた調整が不可欠になる。誰かが中心にならざるを得ないが、オールジャパンで取り組まなければ、この構想の実現は不可能である。

 二番目に、このプロジェクトは、短時間で実現する必要がある。なぜなら、事態は差し迫った状況にあるからである。物流費の高騰と人手不足は深刻である。輸送経路が確保できないために、国内で生産された花が全国津々浦々に届けることができない。需要はあるのに、花が届かない状態が現実としてある。5年計画や10年先のプランでは悠長すぎる。

 

 したがって、わたしからの提案は次のようになる。

1 業界内での協力体制を「半年以内」(2018年の夏)に確立すること。そして、

2 実現のためのプランを「1年以内」(2019年1月まで)に策定してしまうこと。さらには、

3 提案から「2年以内」(2020年春)に事業主体を構築すること。

4 最終的には、2020年の10月に操業を開始すること。

 プロジェクトの実現のために、皆様からご協力をたまわりたく、お願い申し上げる次第です。

 

 

<補足>:ゲートウエイ構想の概要

 JFMA新春セミナーで提案した「ゲートウエイ構想」とは、つぎのようなアイデアと目的をもったプロジェクトです。

 「ゲートウェイ構想」とは、

(1)花き専用の物流拠点を全国5カ所(西から、福岡、大阪、東京、仙台、札幌)に作り、

(2)その間を大型トラックの定期便を走らせる。10トントラックで将来は、自動走行の連結型トレーラーを想定。

(3)物流センター内はほぼ無人に近い状態で、自動仕訳装置とRFIDタグを導入。

(4)ダンボールは規格統一して、産地と店舗間は、物流センターを経由して共同配送システムを確立する。