今年、法政の志願者数は10万人を超え、関東地区では一位になった。ただし、上位には、関西の雄、まぐろの近畿大学がいる。法政は、志願者数で明治の後塵を拝して、長らく早稲田を抜くこともできなかった。しかし、今にとうとう早稲田と明治を志願者数で抜くことができた。
人気の秘密を、ダイヤモンドオンラインでは、「女子の志願者増」と「田中裕子総長の就任」(二期目)に求めている。その通りなのだが、もっとも大きいのは、「物理的な要因」(新しいきれいな校舎)と「長い間の改革効果」(6学部の増設)。生命科学部(植物科学科)や航空操縦専修(パイロット操縦コース)、海外留学制度(国際文化部やGIS)などである。
総合力で、ユニークな取り組みが他大学を上回ったということだろう。実は隠れた理由としては、「偏差値が中位にあること」が、志願者急増への貢献が大きい。つまり、ちょっと魅力的だけれど、それでも受かる可能性がある大学。それが法政大学なのだ。そのマスを取り込めるポジションが大きい。
近畿大学も似たような位置づけにある。成績正規分布の平均値より、10点程度上の大学。みんなが受けられる大学。それが法政と近大の共通項である。
総合力で、ユニークな取り組みが他大学を上回ったということだろう。実は隠れた理由としては、「偏差値が中位にあること」が、志願者急増への貢献が大きい。つまり、ちょっと魅力的だけれど、それでも受かる可能性がある大学。それが法政大学なのだ。そのマスを取り込めるポジションが大きい。
近畿大学も似たような位置づけにある。成績正規分布の平均値より、10点程度上の大学。みんなが受けられる大学。それが法政と近大の共通項である。
記事を読んでみよう。80%は正しいが、20%の真実は偏差値のレベルにある。早稲田と明治は、偏差値が高すぎるので、もはや一位にはなれない。
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「法政が早稲田超え!関東の人気トップ大学に下克上できた理由」
ダイヤモンド・オンライン
井沢 秀
井沢 秀
キャンパス改革や大幅な学部・学科の改組、さらに女性総長誕生や留学制度充実など、法政大が女子学生を惹き付けた理由はいくつもあります
長らく男子学生比率が高く、「男の大学」と思われてきた法政大。しかし、女性総長の誕生や、さまざまな改革が奏功して、近年は女子学生志願者が増加し、今年春の総志願者数では、私大激戦区・東京でナンバーワンに躍り出た。(「大学通信」 情報調査・編集部部長 井沢秀)
「男の大学」だった法政大に女子志願者が増えた理由
早稲田大、慶應義塾大、上智大…。受験生に人気が高い私立大学の大半は東京に一極集中している。その激戦区・東京で今春の志願者が最も多かったのは、実は法政大だった。
前年に初めて10万人を超え、今年は過去最高の11万9206人となり12万人に届く勢いだ。これまでは早稲田大の志願者数を上回ることができず2位が最高だったが、初めて東京の大学の中でトップになったのだ。
法政大の躍進を支えた一因は女子の増加。代々木ゼミナール教育総合研究所の坂口幸世氏は、こう話す。
「20年前は“男の大学”というイメージでしたが、近年は女子学生がとても目立つようになりました。法政大に注目する女子が増えることにより、全体の志願者数が増えている側面があります」
少子化で受験人口が減る中、有名大学であっても優秀な女子をいかに取り込むかが生き残りの条件となる。そうした中、法政大の女子の志願者数は、1997年の1万3410人から2017年は4万1158人に増え、総志願者に占める女子の割合は、22%から34.5%に上がっている。20年前に女子が総志願者の2割だったのなら、坂口氏が指摘する、“男の大学”というのもうなずける。では何故女子が増えたのだろうか。
早稲田大、慶應義塾大、上智大…。受験生に人気が高い私立大学の大半は東京に一極集中している。その激戦区・東京で今春の志願者が最も多かったのは、実は法政大だった。
前年に初めて10万人を超え、今年は過去最高の11万9206人となり12万人に届く勢いだ。これまでは早稲田大の志願者数を上回ることができず2位が最高だったが、初めて東京の大学の中でトップになったのだ。
法政大の躍進を支えた一因は女子の増加。代々木ゼミナール教育総合研究所の坂口幸世氏は、こう話す。
「20年前は“男の大学”というイメージでしたが、近年は女子学生がとても目立つようになりました。法政大に注目する女子が増えることにより、全体の志願者数が増えている側面があります」
少子化で受験人口が減る中、有名大学であっても優秀な女子をいかに取り込むかが生き残りの条件となる。そうした中、法政大の女子の志願者数は、1997年の1万3410人から2017年は4万1158人に増え、総志願者に占める女子の割合は、22%から34.5%に上がっている。20年前に女子が総志願者の2割だったのなら、坂口氏が指摘する、“男の大学”というのもうなずける。では何故女子が増えたのだろうか。
「市ヶ谷キャンパス(東京・千代田区)にタワー型の高層校舎を設置するなどの改革によりキャンパスがきれいになり、授業以外の時間もくつろげる場所になったことが女子受験生をひきつけたのでしょう。さらに大幅な改組により、女子も含めた多様な受験生が集まりやすい学部・学科構成になっていることも影響しています」(同上)
法政大の女子志願者の推移を、1997年当時、女子志願者の実数が1万4000人前後で拮抗していた明治大と比較してみよう。
前述の積極的な改革が奏功して、99年から2003年までは法政大が上回った。その後、横ばいとなり明治大を下回っていたが、15年から17年にかけて右上がりの弧を描き、女子志願者は14年と比べて1万人近く増加している。その結果17年は明治大を上回り、総志願者数も逆転した。
法政大の女子志願者の推移を、1997年当時、女子志願者の実数が1万4000人前後で拮抗していた明治大と比較してみよう。
前述の積極的な改革が奏功して、99年から2003年までは法政大が上回った。その後、横ばいとなり明治大を下回っていたが、15年から17年にかけて右上がりの弧を描き、女子志願者は14年と比べて1万人近く増加している。その結果17年は明治大を上回り、総志願者数も逆転した。
女性総長誕生が寄与留学制度も充実
キャンパスリニューアルでは、00年に市ヶ谷キャンパスにボワソナードタワー校舎を建て、多摩キャンパス(同・町田市)と小金井キャンパス(同・小金井市)に新校舎を建築した。さらに、1999年から2003年にかけては現代福祉学部やキャリアデザイン学部など数多くの学部や学科が新設されている。
法政大は14年に生命科学部を改組して以降、学部(学科)の新設など、大きな改革をしていない。それなのにどうして女子の志願者が増えたのだろうか。答えは総長にありそうだ。首都圏の大規模総合大学の中で、初の女性総長である田中優子総長は14年4月に就任して現在に至る。まさに、女子志願者が増えた時期と符合しているのだ。代ゼミの坂口氏は、こう話す。
「初の女性総長の就任により、“男の大学”というイメージを払拭できたこと。さらに古いものにとらわれていない、先進の気風を感じる受験生が増えたのでしょう」
大規模な学部・学科組織やキャンパス改革などにより下地ができたところに、女性総長が就任した影響力は大きい。受験生の保護者は言う。
「これまで子どもが通う大学の総長に興味を持つ母親は周りにいませんでしたが、テレビ出演などメディアに露出することで田中総長に親しみを持つ母親が増えています。娘に法政大を勧めるケースも増えているのではないでしょうか」
もちろん、大学自体の魅力も大きい。奨学金制度を含む充実した留学制度に裏打ちされ、法政大は全国の大学でもトップクラスの留学生派遣数を誇る。文部科学省によってスーパーグローバル大学に採択されたことで国際性が際立ったことにより、男子より積極的で留学に前向きといわれる女子が反応するのは当然ともいえる。ちなみにスーパーグローバル大学の採択は14年。この点も、その後の女子受験者の増加と符合する。
キャンパスリニューアルでは、00年に市ヶ谷キャンパスにボワソナードタワー校舎を建て、多摩キャンパス(同・町田市)と小金井キャンパス(同・小金井市)に新校舎を建築した。さらに、1999年から2003年にかけては現代福祉学部やキャリアデザイン学部など数多くの学部や学科が新設されている。
法政大は14年に生命科学部を改組して以降、学部(学科)の新設など、大きな改革をしていない。それなのにどうして女子の志願者が増えたのだろうか。答えは総長にありそうだ。首都圏の大規模総合大学の中で、初の女性総長である田中優子総長は14年4月に就任して現在に至る。まさに、女子志願者が増えた時期と符合しているのだ。代ゼミの坂口氏は、こう話す。
「初の女性総長の就任により、“男の大学”というイメージを払拭できたこと。さらに古いものにとらわれていない、先進の気風を感じる受験生が増えたのでしょう」
大規模な学部・学科組織やキャンパス改革などにより下地ができたところに、女性総長が就任した影響力は大きい。受験生の保護者は言う。
「これまで子どもが通う大学の総長に興味を持つ母親は周りにいませんでしたが、テレビ出演などメディアに露出することで田中総長に親しみを持つ母親が増えています。娘に法政大を勧めるケースも増えているのではないでしょうか」
もちろん、大学自体の魅力も大きい。奨学金制度を含む充実した留学制度に裏打ちされ、法政大は全国の大学でもトップクラスの留学生派遣数を誇る。文部科学省によってスーパーグローバル大学に採択されたことで国際性が際立ったことにより、男子より積極的で留学に前向きといわれる女子が反応するのは当然ともいえる。ちなみにスーパーグローバル大学の採択は14年。この点も、その後の女子受験者の増加と符合する。
全国ではトップの近畿大にどこまで迫れるか?
法政大のブランド力アップも見逃せない。法政大は30年に創立150周年を迎えるにあたり、長期ビジョン「HOSEI2030」の策定を進めている。それに先立ち、16年に「法政大学憲章」を発表した。「自由を生き抜く実践知」と題された宣言の中には、「多様な視点と先見性を備えた研究に取り組むとともに、社会や人のために自由な志向と行動を貫き通す自立した市民を輩出する」とある。この宣言のブレのなさは、先の「軍事研究を行わない」とする法政大の意思表明にも現れている。
同年には性差や国籍、障がい、民族などを意識せず、学び、働けるキャンパス環境の構築を目指す「法政大学ダイバーシティ宣言」も発表されている。こうしたリベラルな姿勢が、総長の効果もあり受験生や保護者に届き、受け入れられているのではないか。
さて、女子受験生の増加に加え、入試制度の充実やキャンパス改革などの影響もあり、東京の志願者数ランキングでトップになった法政大だが、全国に目を向けるとただ1校、近畿大が上にいる。同大は学部改組やキャンパスリニューアル、効果的な広報活動などにより4年連続で志願者数日本一。17年の志願者は14万6896人。近年の18歳人口ピーク時の1992年に早稲田大と日本大が記録して以来の14万人超えとなった。
では、法政大は近畿大を抜いて志願者数日本一になれるのだろうか。法政大同様、97年当時は、女子志願者が少なく“男の大学”だった明治大は、法政大より早く、2006年から10年にかけての女子の志願者増と連動して総志願者数が増え、10年から4年連続で志願者数日本一になった。
明治大に遅れて女子の志願者が増え、17年に東京の大学でトップになった法政大は、この先、志願者数をどこまで伸ばすのか。近畿大を抜いて志願者数日本一になる日は来るのか、注目したい。
法政大のブランド力アップも見逃せない。法政大は30年に創立150周年を迎えるにあたり、長期ビジョン「HOSEI2030」の策定を進めている。それに先立ち、16年に「法政大学憲章」を発表した。「自由を生き抜く実践知」と題された宣言の中には、「多様な視点と先見性を備えた研究に取り組むとともに、社会や人のために自由な志向と行動を貫き通す自立した市民を輩出する」とある。この宣言のブレのなさは、先の「軍事研究を行わない」とする法政大の意思表明にも現れている。
同年には性差や国籍、障がい、民族などを意識せず、学び、働けるキャンパス環境の構築を目指す「法政大学ダイバーシティ宣言」も発表されている。こうしたリベラルな姿勢が、総長の効果もあり受験生や保護者に届き、受け入れられているのではないか。
さて、女子受験生の増加に加え、入試制度の充実やキャンパス改革などの影響もあり、東京の志願者数ランキングでトップになった法政大だが、全国に目を向けるとただ1校、近畿大が上にいる。同大は学部改組やキャンパスリニューアル、効果的な広報活動などにより4年連続で志願者数日本一。17年の志願者は14万6896人。近年の18歳人口ピーク時の1992年に早稲田大と日本大が記録して以来の14万人超えとなった。
では、法政大は近畿大を抜いて志願者数日本一になれるのだろうか。法政大同様、97年当時は、女子志願者が少なく“男の大学”だった明治大は、法政大より早く、2006年から10年にかけての女子の志願者増と連動して総志願者数が増え、10年から4年連続で志願者数日本一になった。
明治大に遅れて女子の志願者が増え、17年に東京の大学でトップになった法政大は、この先、志願者数をどこまで伸ばすのか。近畿大を抜いて志願者数日本一になる日は来るのか、注目したい。