ドイツワインについて、坂崎さん(IPM視察ツアー講師:JFMA顧問)から正確な情報をいただきました。そのままHPにアップします。「第二次世界大戦で敗れた日独(伊)同盟国が、お酒については最近同じようなトレンドになっていますね」というコメント付きです。
お酒は、もともと伝統的でローカルな食文化の中核部分を形成していたものです。全国ブランド、場合によっては、ビールに見られるように、グローバルブランドによって、特徴ある地方ブランドが駆逐される傾向にあったわけです。
世界大戦の勝者による消費文化の世界制圧の方法が、日本とドイツへの米軍駐留と米国ブランドの世界制覇キャンペーン活動だったわけです。しかし、最近の傾向としては、世界中で食に関係した地域ブランドが復権しています。米国流のマーケティングと金太郎飴的なブランドマーケティングが転換期を迎えつつあります。
酒文化の変化には、Back to the basics or returning to your traditional cultures という意味もあるようです。
それでは、坂崎節を・・・。
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小川先生、
HPを拝見しました。
いくつか適当ではないところがありますので参考までに・・。
>> その坂崎さんが今回のディナーで選んだのが、Franken Wine であった。フランケンワインは、ドイツ統合前の東独地方で生産されていた辛めのワイン(の総称)である。マイン河とその支流の丘の斜面で栽培されていて、Würzburg(ウムラウトがあるために、変換不可能!)が主産地である。
->フランケンは旧西ドイツのワイン生産地区のひとつでStein Wein(石のようなワイン)という独特な味わいを持つ。Wuerzburgが中心都市。
>> もともとドイツの伝統的なワインは、白の甘口であった。いまでこそ赤もずいぶんと良くなったが、モーゼルワインのような甘めのワインが、ドイツ人の一般的な好みであった。最近になって、旧東独地方の辛めのフランケンのようなタイプが好まれるようになった。安くて(一本10~20ユーロ)、それなりにおいしいからである。
ところが、フランケンを日本に持ち帰って飲んでも、ドイツで感激したことが嘘のようにまずく感じる。それはなぜなのか。
坂崎さんによると、それは人間のカラダの作りによるものだという。ドイツワインをおいしく飲むためには、ドイツ人の食事にカラダがあっていなくてはいけない。彼の経験によると、ドイツに来てから一週間くらいすると、食べ物でカラダの構成物(血液、細胞など)がドイツ風に変わる。そのときになったからドイツワインを飲むと、とくに辛口のランケンを飲むとおいしく感じる。しかし、日本に帰ってから、刺身や豆腐などの日本料理を食べていたのでは、カラダがフランケンをおいしく感じられないのだという。
->ドイツワインの伝統的(1500年前から)なワインは、特別な製法の甘口のワイン(貴腐ワイン等)以外はもともと辛口でした。第二次世界大戦後、ブドウ果汁を醗酵・腐敗させないで保存する技術や、醗酵を途中で止めて無菌ろ過する技術が確立されてからフルーティーなやや甘口のワインの製造が容易となり、また消費者をそれを求めたためそれが主流となり、私たち日本人がドイツワインというと甘くてフルーティーなものしか思い浮かべなきうなったのです。30年ほど前から辛口のワインに戻ろうとする動きが始まり、この10年ほどで驚くほど美味しい辛口ドイツワインが一般化しました。これは、日本酒の戦後の甘口化と最近の辛口化ととてもよく似た動きで興味深いです。フランケン地域のワインは現地で本当にうまい、日本に持って帰って嘘のようにまずく感じるというのはちょっと大げさで現地で味わった感激が再現できないというくらいです。
ところで私も、免税店でフランケンワインを買ってきてしまいました。5ユーロほどで安かったのですが、なかなかうまいワインでした。もう一度現地を訪ねて、あの最初の感激を再発見したいものです。
有限会社フローラトゥエンティワン 坂嵜 潮