2020年東京オリンピックの開催を、日本のサービス産業の転換点に

 東京ステーションコンファレンスで、昨日の午前中、「SPRING(サービス産業生産性協議会)」の定例会があった。会長はキッコーマン名誉会長の茂木友三郎さん、議長は良品計画の松井忠三元社長。産業界と学界からそうそうたるメンバーが参加していた。その席で、わたしは次のような提案をした。

 

 SPRINGができて約10年になる。「日本サービス大賞」の創設、「日本版顧客満足度(JCSI)」の事業化など、いくつかの目立った成果を上げている。この先も、「JETRO大賞」で、アジア地区に進出して成功している日本の優秀サービス企業を表彰するアイデアが出ている。

 しかし、サービス産業の生産性の低さが、経済の足を引っ張っているという言説が、私たちの周りでは通説になりかけている。事実かどうかは、実は科学的には証明されてはいない。それでも、みんさんがそれを信じ始めている。先日のヤマト運輸労組からの荷物受け入れ制限の提案も、それに輪をかけて社会問題視されている。

 それでも、日本経済の活性化のために、サービス産業の生産性を高めなければならない。その主張自身はもっともなことだと思う。どうしたらよいだろうか?

 

 従来のSPRINGの活動に欠けている視点は、歴史に学ぶことだろう。日本経済が最初の転換期を迎えたのは約50年前。1964年、第一回の東京オリンピックが開催された。

 この年に、日本のサービス産業がにわかに活気づいた。ある年代の人々は覚えているだろう。東京都内に洋風のホテルが立ち並び、レストラン業界で多くの有名シェフが生まれた。辻調理師学校なども、このころに脚光を浴び始めたのではないだろうか?

 これがのちに、藤田田氏のマクドナルドや横川兄弟のすかいらーく(ファミリーレストラン)の創設につながっている。そして、1970年代は、総合スーパーやドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストアなどの移植がはじまり、わが国の小売チェーンの中心になっていく。

 

 ということは、二回目の東京オリンピックが開かれる2020年は、日本のサービス業が生産性向上という視点から、新しく出発する転換のタイミングになりうるのではないか。そのための仕掛けを、SPRINGで提案してみてはどうだろうか?

 ちなみに、わたしたち(NOAF)は、農水省生産局の協力をえて、2020年を「日本のオーガニック元年」にしようとしている。日本の有機エコ農産物の市場を拡大するため、オリンピックのキャンプ地や選手村で使用される食材の調達基準(推奨基準)に、「オーガニック」を採用してもらおうと働きかけている。

 同様に、サービス産業の生産性を高めるために、何らかの運動(IT活用やロボットなどの仕組み革命、モデル事業など)を2020年を目標に設けたらどうだろうか?

 以上が、私からの昨日の提案だった。茂木さんも松井さんも、熱心に耳を傾けてくれていた。あとは経産省が動けば、、、