2016年1月、読書感想文の優秀作品をアップします!7人は学部ゼミの4年生です。これで、彼らの読書感想文の提出は最後でした。二年間で10本の感想文を書きました。ご苦労さんです。多少は、文章がうまく書けるようになっただろうね。
『「ザクとうふ」の哲学』 愛場 瞳
次の課題図書は相模屋さんの「ザクとうふ」だよ。と、先生から伺ったとき、「やった!」と思った。豆腐が大好きな私は、本書にも登場した、「ひとり鍋シリーズ」の大大大ファンだ。低価格さと低カロリーゆえにカップラーメンを凌いで選ばれる私のお昼ご飯の定番である。
そのため、まず絹豆腐と木綿豆腐に絞って商品ラインを作ったという文章に、はじめは、おやおや?と思ったが、その後、鳥越さんの並々ならぬ努力で様々な商品が流通するに至ったのだと感動した。私が美味しい相模屋さんの豆腐を頬張れるのは、鳥越さんのおかげだと思うとただただ感謝である。本書の表現を真似るのであれば、私は鳥越さんに足を向けて眠れないのだ。
本書は私にとって、企業の成功の秘密はもちろんだが、一社会人の仕事に対する姿勢が学べたと思う。その点で、特に教訓になった・共感した内容を述べたいと思う。
まず、教訓になったのは、『知っている強さ』と『知らない強さ』だ。
経営者の貪欲な探求心を、今までの課題図書「きものの森」や「福島屋」「小さくて強い農業をつくる」などからも強く感じた。何かビジネスを行う上で、その業界の仕組み・歴史・現場すべてを知ろうとすることは、まず大前提であることを本書を通じてさらに強く実感した。鳥越さんが日本最大級の製造工場を稼働させることができたのは、豆腐を誰よりも熟知している土台があってこそだ。
最近も身近でこのことを感じることがあった。それは12月のゼミの授業に、元フォルクスワーゲン社長、庄司茂さんに講演をおこなっていただいたときのことだ。講演後、先生と庄司さんが「現場を見ない経営者が増えましたね。」「僕からしたら信じられないけどなあ。」と会話をしているのをたまたま耳にした。ビジネスを成功させる人は「すべてを知らなければならない」というよりは、むしろ、「知らないことがあると不安だ」という感覚を共通して持っているのだなと知ることができた出来事である。
しかしそれとは一方、本書に書かれていたのは『知らない強さ』というものもあるということだった。豆腐の業界にとっては常識になっていることが、他の業界の人間にとってはそうではないため、見方が変わったり発見が多くあるということが書かれていた。
私は、4月から入社する企業で、業界について勉強をして膨大な知識を蓄えなければならないだろう。しかし、それと同時に、業界の常識を「本当にそうなのか」と疑い、違う視点からも見つめてみることが大切なのだと思った。そしてそれは、むしろ社会人一年目の空っぽな頭だからこそできることなのではないかと、強く気持ちが引き締まった。
つぎに、共感した点については、本書の文章を抜粋する。
“今だから言えることで、あくまで私の感覚ですが、「これは五割の確率で成功する」と直感したなら、すぐにもやってみる価値があると思います。そして、全力で取り組むことにより、確率を八割まで持っていく。残りの二割は何とかなります。何とかするのです。”
話が大きくなるが、現代の人々は『いかに正解の選択肢を選ぶか』に捉われすぎていると、よく思うことがある。特に就職活動を通じて、それを顕著に感じていた。「失敗しない業界選び」「自分に合った会社選び」など、『選択肢から正解を選ぶ』ことにしか視点は向けられていないのではないだろうか。
しかし、私が大切だと思うのは、選択肢を選んだ後に、『選んだ選択肢が正解になるように努めること』だ。鳥越さんが製造工場の稼働を成功させたのは、新工場を作るという選択をした後に、恥をかきながらも愚直に新工場と向き合ったためである。自分が選んだ選択肢は100点の正解であるのだと慢心するのではなく、選んだ選択肢を自分にとって120点のものにするために努力するべきであると強く感じた。
本書は私達4年生にとって最後の課題図書である。本書は今までの課題図書の集大成とも言える本だった。今まで課題図書にしていた本はどれも、働くということに希望を持つことができる本だったと思う。その中でも、本書は特にそう思わせてくれる本だった。
私は今まで、仕事とはどこか無機質で残酷なものだと感じていたと思う。しかし、本書からは、豆腐の流通のうらで、鳥越さんが様々な人と繋がりを持って、楽しみながら仕事をしていることが伝わってきた。私も鳥越さんのように「人」と「業界」に真摯に向き合える社会人になれるよう、何度も本書を読み返していきたい。
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『「ザクとうふ」の哲学』を読んで 河西 右登
本著では、古い体制の蔓延していた豆腐生産の手段や考え方を変えて、設定した目標に向かって、今尚止まることの無い鳥越さん率いる相模屋食料の歩みがまとめられていました。その内容について自分の現状を踏まえてまとめさせていただきます。
私が一番印象に残ったことは目の前の現状から考えるのでは無く、自社の進む道、妄想を実現させる考え方です。歴代の経営者である、ひささん、寛一さんと同じように最も大切にされている味への妥協はせず、生産過程の改善できる所を時代に適応させていることがとても良く分かりました。
鳥越さんは「業界No. 1」というゴールを設定し、それを実現されました。その成功要因はその道中にあった多くの無理とされていたことを一つずつ解決していくことで、ゴールに一歩ずつ近づいたからだと感じました。またその躓きが機械のことでも、製品案のことでも、熱意を持って取り組んで解決すれば多くの人は応えてくれるのだと伝わりました。
そして現在も攻め続けてピークをまだまだ迎えていないことも、忘れてはいけない重要なことだと強く感じました。特に181頁の「そのときは、既に遅い」という言葉はかなりゾッとしました。家業の工場が改善期であるからです。
私事ではありますが先日、内定を頂いた企業をお断りして、四月から家業である鉄工所の手伝いをすることに決めました。昨年の後半に祖母が亡くなり祖父もまた体調が優れません。度々、帰省して家の手伝いをしている内に腹を括りました。現場と管理と営業の修行からスタートします。
本文を元に考えてみると、相模屋が私にとっては工場で、近い未来に問題となるのは機械や労働者の高齢化です。この時期はおそらく重なっており、今やらなければ突然問題に直面してしまうと考えます。ただその模索もゴールの設定が無ければただバタバタしてだんだんと縮小していくだけなので、家の製品技術やルーツと取引先のことから始めて、業界の流れを勉強し続けます。そこから目標と必要に応じて変化させます。
おもしろいことに、機械化による効率化する部分を考えることも該当します。大企業こそ大量の製品や部品の生産ラインを持っていますが、私の家を含め、鉄鋼の中小企業はまだまだ手作業でのオーダーメイド製品や部品を作るところが多いです。今よりも効率よく生産するにせよ、同じ技術でまた異なる製品や部品を作るにせよ、目標を設定しなければ、ごひいきにして下さった方々に挨拶回りをすることになってしまうでしょう。この課題は多くの企業が抱えているので、新たなスタートのチャンスです。
また、核に職人さんがいるため王道・邪道という概念も根強いと考えています。結果を出せば、お客様も仲間も応えてくれるので必要とされているものに素直に、貪欲に向き合うことを身につけられる様に頑張ります。
拡大、そして業界の常識を変えた商品を作ることに成功してもなお、相模屋は間を置かず、現在も様々な製品を出して、お客様を魅了し続けています。勢いを殺さず、常に戦い続けることで仲間と共に身につく勝ちグセを保ち続けることができ、見極めが早くなると本文にありました。
自ずと挑戦することが止まらなくなって、勝利の連鎖が繋がっていくのは必然かもしれないと感じます。その勝利は周りの人々を巻き込んで、その道中でザクとうふの様なおもしろい考えが生まれたのだな、と感じました。最初はわけのわからない商品と思われても、お客様にとって、とてもシンプルで伝わりやすいことでとても多くの消費者に刺さったこの事例はとても刺激を受けました。
私の地元はこの本の3章の状態とそっくりです。
まずは環境を学んで、創設者である祖父と現社長である父の最も大切にしている考えを自分に刻みます。そして目標を決めてそれに向かって素直に取り組みます。不安だらけですが、まだまだ行動し放題なので、失敗も学びのチャンスとして動き続けます。
取引先の方々とも関係を強くし、何が刺さっていてどうすればさらに良くなるのかを追求し続けます。単純かもしれませんが一歩ずつ進んでいかなければいけません。
それと父と母を早く休ませてあげたいです。そのためにも私は猛スピードで成長します。
今回の決断は私にとってかなり勇気のいるものでしたが、もう迷うことは無いです。
この本の著者である鳥越さんに学ぶと同時に負けない様な挑戦する人生を送ります。
最後の読書感想文がこの本で良かったです。2年間お世話になりました。
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『「ザクとうふ」の哲学』を読んで 丸山 えり
本書は、「ザクとうふ」開発秘話、営業時代の経験、日本最大級の工場を稼働させるためにとった手段など、6年間で売上4倍と快進撃を続ける相模屋食料は何を考え、成熟産業をどう変えたのか、企業の秘密に迫る一冊である。
相模屋食料は、おとうふの基本である「木綿」と「絹」を徹底的に追求している。更に、おとうふを面白くする、おとうふのマーケットを広げていくということに取り組んでいる。その中で、世間をあっと驚かせた商品が「ザクとうふ」である。
相模屋食料は、ザクとうふのヒットで伸びた会社というイメージを持っていたがそれは間違いで、基礎を圧倒的に磨き、主なビジネスがしっかりしているからこそ徹底的にユーザー目線のチャレンジができたのだと知った。
おとうふには他の商品とは異なり、明確にターゲットを絞るというのは無いものだと思っていた。しかしザクとうふでは、ガンダムのファン層である30代40代の男性をターゲットに絞っている。このターゲットを絞ったおとうふがヒットしたことで、セグメンテーションをしたカテゴリーを創出できるきっかけ作りにもなったと思う。特に「ナチュラルとうふ」は私の母のお気に入りであり、スーパーで見つけると必ずまとめ買いしている。そして鳥越社長の考えの通り、自分のお気に入りのオリーブオイルをかけスプーンで食べている。
この成功は相模屋食料のターゲットを明確に絞り、万人にうけるものではなく、ターゲットの人たちだけに焦点を当て商品開発を行った結果であろう。私もフィールドワークで商品開発を行った際、いろんな人に合うように行ったことで、ターゲットが誰なのかわからなくなり上手くいかなかった経験があるのでこの大切さを学んでいる。
また、鳥越社長はあらゆる場面で小川ゼミ七か条の一つでもある「現場主義」を徹底していると感じた。やはりその現場に立たないとわからないことは多くあり、解決するためのヒントを得ることができると改めて現場主義の大切さを実感した。
相模屋食料は日本一のとうふ工場を作ったり、通常はあり得ないパッケージデザインであるザクとうふを作ったりと飛躍した構想を立て、普通なら相手から断られそうなことを実現してきた。そこをどうやって突破してきたかといえば、本書を読んでいても伝わってくる「熱意」で押すことであった。何でも最初は断られるものであり、普通なら断られてしまえば凹むし、取引先からみんなの前で怒られれば心折れそうなものだ。しかし熱意を失わず押していけるのは「メンツなどというものは初めからない」からだと鳥越社長は述べている。私は熱意というものは必ず人に伝わるもので、関わった人たちの熱量が注がれた商品やサービスは、その熱が伝播してヒット商品になるのだと思う。
高校時代にチアダンスをしていたが、踊りでも熱意があるかどうかで一体感や見ている側からの印象が大きく変わってくる。もちろん思いだけではやれないことが少なくないことも事実である。しかし、少なくともこの社会で活動している以上、携わったものには熱意や愛情を注いでいくべきだと感じた。
また、鳥越社長は「できない」と言われても、できない理由を1つずつ聞いてそれを潰していけば「できる」になると述べている。その生き方に共感し、私自身も実践していこうと思った。必死に考えてやると決めたことをやり抜く、そうすれば道は開けるし、自分の力をそこに集中し注力していくことで自分の負けない領域である「自分の城」を作ることができると感じた。
このように個人だけではなく会社も、独自の領域や商品を持っている会社は強い。相模屋食料が目指しているのもそこであり、事業の柱となっているベーシックな絹と木綿の安定供給能力についてはどこにも負けないようにしていると感じた。だからこそ、他の商品にも資源を集中して開発でき、高い評価が得られるのであろう。
おとうふという「ありふれた」「伝統的な」「手間のかかる」商品。これらを改革していくことで、相模屋食料は業界一位になった。これらの成功の全ては、鳥越社長の哲学があってこそ実現できたことである。今後社会人となるうえで鳥越社長の哲学を心に留め、新たなことにチャレンジしていきたい。今後のおとうふの世界を広げる取り組みが楽しみである。
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『「ザクとうふ」の哲学』を読んで 宮本 康平
本書、「ザクとうふの哲学」では、著者・鳥越淳司氏の経営する相模屋が衰退の一途を辿っていた豆腐メーカーの中で、どのように革命を起こし成長してきたかがわかる。本書を読み進める前に、ザクとうふという商品を連想して思ったことは、アニメガンダムとコラボを行い奇をてらおうとした、かえってどこにでもありがちな商品ではないだろうかという疑問であった。しかし、本書を読み進めるに連れて、とうふをザクのような複雑なフォルムでパッケージングし、かつ皿に出したときにそのままの形ででてくるようにすることが、とうふの製品性質上、いかに難しいことかがわかる。そして、とうふをザクの形にさせたように、業界の常識では不可能と思われることを可能にしてきたからこそ、相模屋は人々が真に求めるとうふメーカーまで発展してきたことがわかる。
私のようにとうふに対して何の知識のない読者でも、とうふメーカーの現状から、とうふの生産の難しさまで、著者の経験に基づいた丁寧な解説によって理解できる。これにより、相模屋が豆腐業界でいかに大きな功績を成し遂げたかが理解することができるのがこの本の特徴だ。
しかし、著者が相模屋のとうふ業の成功について語る一方で、本書の中で最も読者に伝えたかったことはどんな業界であるにしても、まずやってみたいと思ったことを実現させていくことが大きな成功につながるということではないかと思う。相模屋はこれまでにはなかった圧倒的なとうふメーカーを目指し、工場の大規模化、オートメーション化を行った。これによって日持ちが伸び、大量生産が可能になり、ついには不可能とまで呼ばれていた木綿豆腐の3パック化にも成功する。
これらの成功はやってみたいを実現させたことが発端である。しかし、ただやりたいことをやろうとするだけでは失敗も多いのではないかと思うだろう。著者に成功を導いた更なる要素としては、常識のアップデートであると考える。工場拡大当初、設備投資額は大きくリスクが伴うものでもあった。生産拡大に伴い、新たな販路の確保の必要性に頭を悩まされたこともあったようだ。ここで筆者のいう『常識のアップデート』がピンチをチャンスに変えている。
工場の拡大によって生産数は大きく伸び、オートメーション化で人による手が触れないことで雑菌の繁殖を抑えられ日持ちも伸びた。これによって製品を出荷できる地域も広がり、その需要にも応えることができる。全生産工程をオートメーション化することにより、これまでには無理といわれていた木綿豆腐の3パック販売を可能にさせた。わかりやすくいえば、工場拡大に伴って常識が変わり、できることも増えた。できることを行っていく中で更に常識が変わり…というように相模屋の成長の鍵となる重要な考え方であったことがわかる。
既に亡くなっているが、私の祖父の経験から考えても鳥越氏の主張は説得力があった。時代や環境に合わせられなかったり、投資や事業拡大のタイミングを見計らいつつも躊躇してしまい、そのときには既に遅いという主張だ。祖父は生前、鉄骨関連の建設会社を経営していた。
祖父の死後に、祖母から聞いた話だが、祖父は会社を成長させていたが、歳をとるに連れて時代の潮流を読み取ることができなくなり、事業を拡大させることを恐れるようになったそうだ。会社はこれまでの蓄えからバブル崩壊を乗り越えるも、リーマンショックのころには閉めることとなった。相模屋のように決心を固め、やりたいように事業を拡大すれば、リスクヘッジや、企業としての耐久力強化をできていたかもしれない。そして、常識をアップデートして、さらなる進化を遂げ、今も続いていたのかもしれないと思った。
少々、重苦しい内容になってしまったかもしれないが、祖父の例と照らし合わせて考えられるように、本書はただのとうふ職人の話ではない。経営者として事業に対してどのように取り組み、どのようにすれば成功するかというヒントを詰め込んだ著作である。できるのであれば、生前の祖父にプレゼントしたい一冊であった。
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『「ザクとうふ」の哲学』を読んで 江頭 菜摘
今回「ザクとうふ」の哲学を読み、著者の営業スキルに圧倒された。著者は自分がやってきたものに誇りを持ちながら、臨機応変に頭を下げる事もできるようだ。営業マンとして当たり前なのかもしれないが、これは学生ではなかなか体験しないように感じる。学生は甘い世界に生きているからである。
本文を読んでいるうちに営業職として、プライドをどの程度持つのがベストなのかという問いが頭に浮かんだ。今回はその問いについて、自己の経験を踏まえながら考えてみる事にした。
生きていく上で、本文でいう自分のメンツ、つまり誇りは大事にすべきだと思っている。自分の中のメンツ、誇りを「全て」捨ててしまったらつまらない人間になってしまいのではないだろうか。
とはいえ、自分の言動「全てに」プライドを持つのもどうかと思う。特にビジネスの世界ではそう思う。自己のプライドが高いあまりに、頭をさげる事の出来ない営業マンは優秀とは言えないであろう。しかし、プライドが「全く」なさすぎるのも優秀とは言えないだろう。つまり、ここだけは譲れないといったプライドを持って生きていくのが人として良いのではないだろうか。
このように、営業職として、プライドをどの程度持つのがベストなのかという問いは、なかなか回答するのに難しいものである。臨機応変にプライドを調整する事が大事なのであろうが、この臨機応変の具合は実際に働いてみないと分からない事なのかもしれない。
話は少しズレてしまうが、この問いの答えを考えているうちにふと思った事がある。2番目に好きなものを仕事にするのが良いのではないだろうかと思ったのである。なぜか。それはこれまで長々と言及してきたプライドに関する事である。
一番好きなものに対しては、自分のプライドをとことん高め、我が道をいくべきである。だから、これを仕事にしてしまったら、ビジネスは成立しないであろう。株式会社という営利組織で仕事をする以上、会社は利益を求めていかねばならない。会社の利益のために自己のプライドを捨てることができるか、できないか。自分のプライドを捨てる事が出来ないぐらい好きなものは仕事にしてはいけないと思ったのである。
こう思ったのは自分自身の経験からでもある。当時は言葉に出来なかったが、今回ザクとうふの哲学を拝見し、自身の経験も踏まえ、文字に起こす事ができそうである。
私は一番好きな事を仕事にしようとして断念した経験があるのである。私の一番好きな事はダンスなのたが、一時期ダンスを本業にしようと活動した。ダンサーとしてアーティストのバックで踊ったり、振付け師としてアイドルの振りや構成を提供するのが主な仕事内容である。
断念したのは、もちろん自分自身のスキル不足も要因にあるが、なによりプライドを捨て切れなかったのが最大の要因である。プライドを捨てきれず、好きな事をしているのに心が病んでしまったのである。好きなことを仕事にしているのに、なぜ心が病んでしまうと感じたか。それは、やはりビジネスが絡むからである。
あるアイドルの振付け師として仕事をした時があった。バックダンサーとして来る仕事はほとんどなく、振付けの仕事で生計を立てるのが一般的である。裏方の仕事だが、それでも好きなダンスの振り付けを作ってお金をもらうという事はダンス好きにとっては有難い事である。しかし、引き受けてみて落胆した。
渡された曲とそのアイドルをイメージして振り付けを作り、作った振り付けをアイドル本人達や関係者達に披露した。結果、「そんな変な振りは踊れない」とアイドル達に非難された。また、関係者達にはアイドル達に聞こえないように「あの子達のダンススキルではそれを踊るのは難しいですよ」と遠回しに作り直しを要求されたのである。とにかくムカついた、の一言に尽きる。
趣味でダンスをしている時はとにかく自分が楽しい、観ている人が楽しいをモットーに活動している。楽しさを踊りで表現するのがダンスであり、その踊りに誇りを持っている。だから、大人気ないとは思うのだが、私はムカついたのである。もちろん仕事のために、お金のためにその時はちゃんと言われた通り、作り直しをし、「必死のニコニコ笑顔」でやり通したが、お金を稼ぐ大変さ、1番好きなものを仕事にする事の困難さを体感した。
私は4月から2番目に好きなことを仕事にする。広告業界でのマーケティング職である。大変なこと、ムカつく事はこれから沢山あるであろう。でも私はそれを乗り越える事ができると思う。なぜなら1番好きな事を非難された時以上にムカつく事はないであろうからである。1番好きな事以外には臨機応変にプライドを調整できる自信がある。もちろん、実際にやってみないと分からない部分もあるが、最初から気持ちで負けてしまったら元も子もない。
入社後も、小川ゼミや本書で学んだように、固定概念に囚われず、自分の足で現場に行き、自分の目で見て、自分の手で仕事をしていきたい。そうした現場主義に徹した行動は、お客様のプラスになるだけでなく、自分にもプラスに働くであろう。そして「良い意味で誇り高き」営業ウーマンになりたい。
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『「ザクとうふ」の哲学』を読んで 松村 沙耶
業界の常識を打ち破り、多くの人に反対される中、工場新設や豆腐製造の機械化に取り組んだことで大成功した熱いストーリーが描かれた本でした。本文では「今、目の前にあるものが永遠に続く」という世界観の中にこもって生きるか「今、目の前にあるものは今だけのものにすぎない」と考えながら生きるかによって企業や人間の未来が変わると描かれています。
このように出来ない言い訳や、やらない言い訳ばかりしているのではなくリスクがある中でも挑戦し続けることが大切であると改めて感じました。またお豆腐屋さんが続々と廃業しているという現状にこの本を読んで気づきました。
本にも書かれているように街のお豆腐屋さんは、自分で作った豆腐を自分のお店に並べる家族経営がほとんどです。私の家の近くのお豆腐屋さんも家族できりもりしています。
原材料の大豆の高騰と、大豆を煮る際にかかるコストを考えると一丁100円ほどの豆腐を売るために、朝早くから家族総出で休みなし、365日働いても利益が沢山でるような商売ではないと思います。また、さほど儲からない商売なら子世代への跡継ぎ問題もあるだろうし、これらが廃業を余儀なくされるのが現状なのだろうと思います。
この本を読むまであまり気にしていなかったのですが、近所のお豆腐屋さんが5年ほど前からお豆腐だけでなくひじきや揚げ出し豆腐、おからドーナッツなどお惣菜やデザートを売り始めました。これもお豆腐屋さんの商売の厳しさゆえのことなのかなと思いました。
私はこの本で共感できたことがありました。「こんなお豆腐屋さんなら喜ばれるだろうとモデルを想像し、現実にはどうすればいいか考えた」という部分です。今あることから考えるのではなく今までにない視点から理想の像を描くのが大切であるということです。
私はスターバックスコーヒーのアルバイトで同じようなことを経験しました。私の働く店舗は渋谷にあり繁忙店です。繁忙店ゆえサービスを重視することよりもオペレーションを最優先する働き方が当たり前でした。入社当初からオペレーションを重視する店舗だった為、サービスをもっと良くしようという考えはなく繁忙店だから仕方ないと割り切っていました。
しかしこの考えはある日突然変わりました。それは他店にヘルプに行った時です。同じ渋谷地区で売上は私の働く店舗の半分のお店でした。この時の衝撃は凄かったです。なぜならお客様のことを名前で呼び、また働いている人たち皆がお客様を歓迎していたのです。
私の店舗では「こんにちは。ありがとうございます。」で終わる接客が他店ではお客様のことを名前で呼び、あらゆるところで会話が繰り広げられていたのです。私はこの光景を見たときにオペレーションが全てではないと強く感じました。そして私は他店で経験したことを店舗に持ち帰り、サービスの質の向上を目標に改善を図りました。
まず私は従業員1人1人と対話し問題点を探しました。そこで気付いたことは、私の働く店舗では1日の取引件数が多いため常連のお客様でさえ認識出来ていないことでした。改善策として、50人いるアルバイトそれぞれが常連客だと思うお客様に名前を伺い、また店舗として把握するために名前とドリンクを載せた常連客のファイルを作成し共有することを発信しました。名前を呼ぶことでお客様との距離が縮まり、店員に親しみやすさが生まれやすいのではないかと考えたからです。
しかしながら企画を提案した当初、現状のサービスの質に満足している従業員が協力してくれず、苦労しました。この本にも書かれていましたが、新しいことを実行する時は反対の意見を理解して説得する時間が必要であると思います。
そこで私は企画実行を強制せずに企画の意義を理解してもらう努力をしました。その結果、従業員全員が企画に参加してくれるようになりました。全員がファイルを活用することにより、店員がお客様の名前を呼び会話が始まる光景を多く見るようになり、また把握した常連のお客様は約50人まで増えました。その結果、忙しい環境でもお客様を歓迎するサービスが店舗に根付くようになりました。常連客ファイルを通じて皆の意識が変わったことが良い成果を出すことに繋がったのです。
鳥越さんが行ったことに比べ私が経験したことは小さなスケールでまたリスクもあまりないものでしたが、今までの考えを覆して新たなことに挑戦することの大切さを感じることができたものでした。本文で妄想が大事と書かれていたように、私も「今しか機会がない」「良い結果がうまれそう」と思うものであれば、反発がありながらも自分を信じ実行することが良い結果に繋がると思います。社会にでてもこの本に書かれたことや自分が経験した挑戦する気持ちを持ち続けていきたいと思います。
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『「ザクとうふ」の哲学』 福園 ちさと
私は「ザクとうふ」の存在を、本書を手渡されるまで知りませんでした。読み始める前に「ザクとうふ」を検索し、相模屋が提供しているページにたどりついたのですが、正直な感想として「なんだこれ、おもしろい、みつけたら買ってみよう」と思いました。
また、相模屋のホームページにとんでみると、「チョコ味のトリプル・ドムとうふ」「マスカルポーネ味のとうふ」など同じ感想を抱くようなお豆腐がズラリと並んでいました。
これらのような奇抜で惹かれる商品はどのように開発されたのだろう…とわくわく感を抱きながら本書を読み始めました。読み進めていくと、惹かれる商品を多く生み出しているのは、単発の発想ではなく相模屋鳥越さんの考え方・生き方があってこそなのだと本書を読んで理解しました。その中でも特に、私の中でなるほどな、参考にしたい、と感じる考え方が2つありました。
1つめは「なぜかを考える。理由を知れば未来が見える。」という考え方です。ここで鳥越さんは、厚揚げの製造工程を改善するにはどうしたらいいか の答えを探していました。「どこをどう変えたら、効率良く厚揚げを製造できるか」と先のことを考えがちですが、「なぜいま厚揚げは人の手でいちいち冷ましているのか」という現状を捉える考え方で答えを導き出していました。
また、スーパーマーケットの売り場に関するお話でも、「理由を考える」ことが大切だと書かれていました。“この売場はどうしてこうなっているのだろうと考える→客層が若いからだ→このお店は活気ある店舗にしたいんだ→じゃあとうふの売場はこうするべきだ”という考え方です。
この考え方になるほどと思った理由は、就職活動の際に無意識に実践していたからです。「あなたは会社に入ってどう活躍したいの」「なんでうちの会社を選んだの」などどんな質問に対しても、“今(今まで)こういう人生だったから→こう考えている”という答え方をして説得力を持たせるようにしていました。選考会場では、イスの並びや社員の配置を見て、「あ、こういうところをチェックしてるのかも」と考えながら選考を受けていました。このような頭の使い方をしていた就職活動中は、細かい気づきが多く、発想の転換もできていました。であるから、普段からこのような考え方で生活している鳥越さんは成功を手にしたのだと、すごく自然に理解することができました。
2つめは「常識にとらわれすぎないで、逆から考えること」という考え方です。「邪道は無い、売れたものが王道である」の絹厚揚げの商品開発のエピソードでは、製造ラインを変えずに厚揚げに加えられるものが“でんぷん”だったから、従来では考えられないが、入れてみちゃえ!という発想でした。他にも、私が本書を読む前に相模屋のホームページで見ていた「マスカルポーネのようなナチュラルとうふ」の開発も、逆から考えられていました。“とうふはおつまみや食事として食べられる→他には何が合うだろう”という考え方ではなく、“F1層向けのとうふをつくりたい→ヘルシーでおしゃれなおいしいとうふがいいな”という順番でした。
ここで私は、昨年度に取り組んだ妊婦向けおやつのレシピ開発の段階を思い出しました。“妊婦の方々はつわりや味覚の変化など悩みが多い→その悩みに対応するおやつは何だろう”と考え、既に市場にあるようなものしか思いつかず、アイデアもなかなか出てきませんでした。その後の調査で、妊婦の方々はおやつに対して悩み解消は求めておらず、気分転換になるおいしさを求めていることに気づきました。“妊婦の方々向けのおやつをつくりたい→ストレス解消になるのがいいな”こんな発想に変わり、袋を開けるときにものすごい音が出てスッキリするものや、一口サイズでボリボリ食べられるものなど、今までとは真逆の、「そういうのはやったことがないからできないな…」と協力企業様に言われるほどの奇抜なアイデアも出てきました。
私たちがこれらのアイデアを実現することは時間や予算の関係でできませんでしたが、鳥越さんのような発想をする段階を一度経験できていたのだな…!と嬉しくなりました。
総じて、元からある型どおりの考え方や生き方をしていても大きくは成長できないのだな、と思いました。社会人スタートの手前で本書に出会えたことで、周囲より高い意識で仕事に挑めそうだと感じています。