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【セミナー記録】「国内オーガニック小売業最先端はどこに?」(オーガニックライフスタイルEXPO2016)
 先週の金曜日と土曜日、東京有楽町の国際フォーラムで開催された「オーガニックライフスタイルEXPO(2016)」で小川がセミナーのコーディネーターを務めた。登壇した三人の講師の許可を得て、セミナーの記録をブログにて公開する。

 

 

「国内オーガニック小売業最先端はどこに?」

 (オーガニックライフスタイルEXPO2016)

 

日時:2016年11月18日15時〜16時30分
場所:有楽町国際フォーラム 会議室
講師:有本幸泰氏(イオントップバリュ株式会社マーケティング本部ブランドマネジメント部)
   渡邊厚子 氏(同上)
   竹下太氏(株式会社ライフコーポレーション近畿圏生鮮・食品本部 担当課長)

コーディネーター:小川孔輔教授(法政大学経営大学院)

 

要 旨

 

ご挨拶
(小川教授)まず、今日のセミナーの開催意図を説明する。オーガニックのマーケットは、この35年から40年の間、有機宅配の数社がクローズなマーケットを提携で開拓して牽引し、街の中小の有機・自然食品店などがその周辺にあるという状態が長らく続いていた。ところが、昨年あたりから、急にオーガニックマーケットが動き始めたように思う。
 大手流通も変わり始めた。イオンは、PB「トップバリュ」の「グリーンアイ」ブランドで、オーガニック、ナチュラル、そして、気になる添加物などを使わない「フリーフロム」(Free From)という3つのサブブランドを立てて、マーケットの構造を変える方向に舵を切った。イオンでは、フランスのビオセボンと提携で、オーガニックスーパーを始める動きもある。
 関西では、ライフコーポレーションがナチュラルスーパーとして、「ビオラル」という新しい業態を始めた。ローソンも、「ナチュラルローソン」を中心に、ナチュラルで健康に配慮した商品開発に力を入れている。
 今日のセミナーは、大手の流通がどういう方向に進んでいるのか、業態開発をテーマにしている。最初、「トップバリュ」の取り組みについて有本さんから、そしてこれからのトップバリュの展開については、渡邊さんからお話を伺う。その後、ビオラルの企画開発について、担当の竹下さんからお話しいただく。残りの時間は、4人のディスカッションと質疑(要旨割愛)に当てたい。

 

「イオン トップバリュ」

講師:イオントップバリュ

   マーケティング本部ブランドマネジメント部
   有本 幸泰 氏

 

1.イオン トップバリュについて
(1) 自己紹介
 私は、イオンで「トップバリュ」を担当して、もう14年になる。これまでの取り組みについては私から、「トップバリュ」の未来については渡辺さんから説明する。

 

(2)「お米企画」を続けて10年目の変調
 イオンでは「お米企画」というプロジェクトを立ち上げ、秋田、佐賀、滋賀県と岩手県で、特別栽培米のお米で子供たちの農業体験の企画を続けている。滋賀と秋田では、始めてからもう10年経つ。秋田県大曲の大仙市は、花火で有名なところだ。ここで「グリーンアイ」の特別栽培米のあきたこまちを栽培している。教育委員会の指導で、キャリア教育という地域と一体化した活動の一環として、協和小学校の5年生の子供たちが田植えやゴミ拾いの授業に参加している。
 始めてから10年目に、衝撃的なことが各地で起こった。手伝っている子どもたちの中に、一人、ゴーグルを付け、活性炭のマスクと手袋をしている子がいる。この子は稲アレルギーがある。こんなことはかつてはなかったのだが、調べると他にも稲アレルギーの子が何人もいることがわかった。秋田という米どころ、あきたこまちが生まれた土地で、こんな姿を見て、私は大きなショックを受けた。秋田だけでなく、他の地方でも稲アレルギーの子はいる。稲刈りも、この子達にとっては命懸けだ。
 稲アレルギーについて調べてみてさらにショックだったのは、親がお米を食べることでアレルギーになると思い込んでいて、子供にお米を食べさせない家庭があるという事実だ。米アレルギーは、稲の花粉が原因で症状が出る。お米を食べることとは関係ない。

 

(3) 小売業の使命:当たり前の買い物ができる平和な暮らしの提供
 10年前にはまったくなかったこういう変調を目の当たりにして、オーガニックをはじめとして、体にいいものが必要な時代になってきたと実感した。
 お客様に当たり前の買い物ができる平和な暮らしを提供し、それが持続可能であること、これが小売業の使命だと改めて感じている。

 

(4) トップバリュ
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 「トップバリュ」は、お客様の安心安全を担保するという目的で、イオンが1970年代に立ち上げたPB(プライベート・ブランド)である。お客様の要望では、最近、アレルギー物質、農薬の問題が増えてきている。イオンとしては、「トップバリュ」は、PBとして「消費者代位機能」を果たすべきと認識している。お客様の要望を汲み取り、お客様に代わって我々が作るということだ。

これからの企業の考え方
 企業の環境保全や社会との関係として、昔はCSR(企業の社会的責任)が中心だったが、いまはCSV(Creating Shared Value)、つまり、皆が共に価値観を合わせることが、これからの企業の価値観の軸になりつつある。そういう姿勢で商品開発をして、企業として売っていくこと、これが「トップバリュ」の考え方の基本である。

 

(5) これからのトップバリュ:「ヘルス&ウェルネス」
 これからの「トップバリュ」は、すこやかな暮らし、「ヘルス&ウェルネス」を焦点にしていく。
食生活に潜む毒素、ある日突然発症するアレルギー
 「ヘルス&ウェルネス」を掲げる背景には、今、僕たちの生活の中にはいつアレルギーが発症して、食べ物が食べられなくなるかわからない状態が潜んでいるという認識がある。ここで、化学物質過敏症だった村田知章さんの話を紹介したい。
 村田さんは現在、神奈川県の真鶴で町会議員をしている(2009年9月当選)。もともと農業をしていた。農薬も撒いていた。そして、ある日突然、化学物質過敏症を発症して、たった60種類の食べ物しか受け付けなくなった。すべて無農薬、ネットで注文していた。都心には住めない。隣室の洗濯の匂いでやられてしまう。僕とホテルで待ち合わせた時、彼が意識を失って救急車で運ばれたことが何度もあった。ホテルにある噴水のカルキで、やられるのだそうだ。僕は、彼と会うときは、洗濯もせず、何日か髪も洗わないようにしていた。
 いま、彼のような病気は増えている。アレルギーで、取ってはいけない物質をとると発症する。彼は回復したところで、いま真鶴の小学校の給食をオーガニック化するために奮闘していて、環境汚染に弱い体質の人たちに、真鶴に移ってきていただこうという構想を抱いている。

 「トップバリュ」のウナギがきっかけとなって、僕は村田さんに会った。村田さんは、「イオンさんのおかげで、17年ぶりにウナギが食べられた」とお礼を言ってくれた。普通のウナギの蒲焼には、抗生物質や成長ホルモンが使われている。「トップバリュ」の「グリーンアイ」のウナギには、抗生物質、合成抗菌剤の類は一切入っていない。
 村田さんから、「これから自分と同じような症状を持つ子が出てくるでしょうから、イオンさん、商品開発がんばってください」と言われた。彼のこの言葉が、僕の励みになっている
 アレルギーの原因となる体内の毒素は、デトックスしない。体内に溜まるばかり、閾値を超えて溢れると、突然発症する。こうしたアレルギー発症のプロセスは「コップの理論」と言われている。いつ発症して食べられなくなるのかわからない状態が、僕たちの食生活の中に潜んでいるということだ。大人だけでなく、6歳くらいで発症してしまう子もいる、

 

2.グリーンアイのブランド刷新
(1) トップバリュ「グリーンアイ」の歩み
 「グリーンアイ」は、「トップバリュ」の中でも特に「安全・安心」と「自然環境への配慮」にこだわった商品を取り扱うために立ち上げたプライベートブランドで、1993年に立ち上げ、今に至る。イオンの店頭で、グリーンの「トップバリュ」のマークを付けた「グリーンアイ」の商品を見たことがある方も多いと思う。
実は、イオンでは、この11月10日から「グリーンアイ」を刷新した。渡邊厚子さんが、ブランドマネジャーの立場から、「グリーンアイ」を3つのシリーズに分け、パッケージも担当している。本人の口から、未来の今の「グリーンアイ」のコンセプトについて話してもらう。

 

(2) グリーンアイのブランド刷新
 ブランドマネジメント部 渡邊厚子氏

 私は「トップバリュ」の部門に加わって1年になる。今は「グリーンアイ」に携わっているが、もともとはデザイナー出身で、その観点からブランドの認知度の向上に取り組んでいる。
「グリーンアイ」では、有機栽培や減農薬、カテゴリーも農産物から始まったが、加工品や畜産品のラインが増え、だんだんブランドがわかりづらくなってきていた。
 イオンでオーガニックを売っていることを知らない消費者も多い。これからそのことをもっと消費者の方々に知っていただき、手軽にオーガニックや体にいいものを使っていただきたい。そういう思いから、ブランドを3つのシリーズに分けた。

 

グリーンアイ・オーガニック(Organic)
 「グリーンアイ・オーガニック」は、オーガニックの農産物はもちろんのこと、調味料、加工食品だけでもおよそ150品目展開している。手軽にずっと続けられるオーガニックということで、幅広い商品を提供している。

グリーンアイ・ナチュラル(Natural)
 「グリーンアイ・ナチュラル」は、畜産物・水産物が中心で、抗生物質や化学品が使われていない。ウナギの蒲焼は合成抗菌剤なし、タレにも保存料や合成着色料は使われていない。タスマニアビーフも、成長ホルモンや抗生物質、遺伝子組み換え飼料を投与せず、自然の穀物で育てられた牛の肉である。魚はASC(環境に配慮した養殖水産物の認証)のような認証品を導入している。

グリーンアイ・フリーフロム(Free From)
 新しく導入した「フリーフロム」は、お客さんが購入時に気にされる添加物や原材料合計109種類を配慮したシリーズである。合成着色料や保存料は、「グリーンアイ」では従来から使っていなかったのだが、これに加えて、アミノ酸調味料や核酸調味料、酸化防止剤、トランス脂肪酸が含まれることの多い原材料であるマーガリンなども使わない。

 「グリーンアイ」では、以上の3つのシリーズでブランドを刷新した。ロゴの色や書体を変え、パッケージも変え、ビジュアルでもわかりやすくして、それぞれのブランドについてお客様にもっとよく知ってもらえるよう、新たな展開を始めたところである。


3.これからの小売業のテーマ「共存」
(有本氏)こうして、小売業として、お客さんに正しい情報を発信していきたい。お客様にわかりやすく伝わるよう、3つのブランドにした。食品以外にも、オーガニック。コットンで、ベビー用品とタオルの製品を出しており、これも売れている。
 日本には八百万の神がいる。日本人の心の中には、お米にも木にもあらゆるところに神様がいるという感性が息づいている。誰も取り残さず、皆で共に発展していこう、「共存」していこうという考え方がある。世界との共存は、これから小売業も考えていかなければいけないテーマである。これからも、地球と共存していくための農業、商品づくりに取り組んでいきたい。


ライフの新業態ナチュラルスーパー「ビオラル」
 講師:螢薀ぅ侫魁璽櫂譟璽轡腑
    近畿圏生鮮・食品本部 担当課長
    竹下 太 氏
1.はじめに
(1) 自己紹介 
 私は大阪出身、現在48歳である。ライフに入社後、最初はコロッケを揚げていた。2013年に、社内の公募で、ナチュラル系ストアを提案し、以来、3年かけて準備して、今年「ビオラル」をオープンした。
 個人的動機として、9年前に米国西海岸の店舗視察でホールフーズを見て強く印象に残ったことと、妻がアトピーで食品添加物表示を気にしていること、子供が生まれたことが、ビオラルの構想につながった。もっとたくさんの人たちに、オーガニックに関心を持ち普段の生活に取り入れてもらって、オーガニックの裾野を広げたいと思った。
(2) ライフとビオラル
 ライフは1961年に大阪で開店したスーパーで、現在近畿148店、首都圏113店、この2大商圏のみでチェーン展開している。
「ビオラル」は、ライフの新業態のスーパーで、2016年6月に大阪でオープンした。ライフ靭店を改装した店舗で、1階250坪に食品、2階はイートインスペースとセリアが入っている。
 ライフには「ライフナチュラル」というPBもあり、首都圏の一部のライフでも購入できる。
2.新業態ビオラル
(1) ライフがビオラルを計画した理由
 ライフがビオラルを計画した背景には、いくつかの理由があった。
ナチュラルへのトレンド
 ビオラルを構想し始めたころ、大阪でも、自然食のカフェレストランや、オーガニックコスメの店が次々オープンし、賑わっていた。世間のお客様のニーズや環境は大きく変化しつつあるという肌感覚があった。
新たなお買い物の魅力を提案し、地元商圏でシェアを上げる
 まず、店舗から1km圏内の地元のお客さんに来店いただくこと。地元商圏でライフのシェアは10%程度と言われているので、これを新業態で上げていけないかという課題があった。既存店舗と棲み分けつつ、地域の方にお買い物の魅力を提案することを考えた。
自社競合を避ける
 1996年頃のライフの店舗分布と、現在の分布をマッピングするとすぐわかるが、場所によっては、500m以内で自社店舗の商圏が重なるようになった。自社競合をどう避けるかが、課題になっていた。
第5 次中期3か年計画
 こうした状況の中、会社として、中期3か年の経営計画策定のタイミングで、「ライフ」、「セントラル・スクエア」に加え、新業態のナチュラルスーパーを立ててやっていこうという方針になった。
(2) ビオラル立地概要:ライフドミナント
 「ビオラル」は靭店を改装した店舗で、周囲には阿波座、土佐堀、西大橋の3つのライフの店舗がある。
立地は大阪都心の一般的な住宅街立地で、24~44歳の層が厚く、単身者比率が高い一方、ニューファミリーで子供が生まれる家庭も多い。こういう立地で、ナチュラルスーパーという特異な業態が支持されるかどうか、1つの実験だったが、ここでうまく既存店と新業態店舗が棲み分けに成功すれば多店舗展開できるのではと考え、立ち上げた。
(3) コンセプトとターゲット
コンセプト:「自然を感じる暮らし、もっと身近に」
 オーガニックは、これまでは百貨店、ネットなどでの扱いが多かった。スーパーマーケットとして扱うことで、生活でオーガニックに触れる機会がなかった人にも、選んでいただけるようにと考えた。「自然を感じる暮らし、もっと身近に」というコンセプトで、「オーガニック」、「ローカル」、「ヘルシー」、「サステナビリティ」という4つの価値を重視している。
ペルソナ
 キー・ターゲット層として、「ナチュリータ」、「働く女子」、「ゆとりーぜ」という3つのペルソナを想定し、コンセプトをMDと店舗づくりに落とし込んでいった。
 「ナチュリータ」はナチュラル系で安心志向の強い母親、「働く女子」は多忙な生活の中、時々健康なものを折りまぜつつ、トレンドを取り込むことの積極的な女性、「ゆとりーぜ」は世帯年収が高く、「高質」なものを好む主婦である。
(4) MDと店づくり
品揃えの50%が特徴的な商品
 店舗は1階がスーパー、2階は「Seria」(「セリア」、百円ショップ)とイートインで、1階で買ったお弁当などを食べることができるようになっている。
 店内には、「農家の直売所」という産直コーナーや、産直素材で作ったジェラートショップもあり、お客様に好評をいただいている。
 水産品は、近所の中央卸売市場からの直送品、畜産物は無投薬の「えばらハーブ豚」や、「ライフナチュラル」という健康・自然志向のPBブランドのウィンナーなどもある。
 惣菜は、薬膳の知識のある木村緑さんにお願いして、家庭料理に近い優しい味わいのお惣菜開発に協力していただいた。店内で精米して作っているおにぎりも、お客様に好評である。
 お酒は、近辺に強力なリカーショップがあるので、「ビオラル」ではオーガニック中心に取りそろえている。
 品揃えは、50%がビオラルの特徴的な商品である。食品は、棚のラベルで3パターンに色分けしている。緑はオーガニック(ライフでは、オーガニックは基本的に有機JAS認証品)、普通のライフにもあるEDLP、定番品、この3種類の商品が混在している。
店づくり
 水素水や店内精米のコーナー、その場で豆から砕き、搾って作るピーナッツバター、近隣の農産物を使ったジェラートなど、「ビオラル」で新たに始めたコーナーは、皆、お客様から好評をいただいている。オーガニックだけでなく、マクロビ志向のお客様からも応援の声が寄せられている。
 近畿のライフでは、「自然大好き」というテーマで、オーガニックは品ぞろえの一つになっている。「ビオラル」の場合、品揃えも陳列量も多く、バラ売り対応も行っている。農産品のうち、オーガニックの構成比は2割くらいを占める。「ビオラル」をやってみて、「売り方次第でオーガニックも売れるんだ」という自信がついた。
これからは、有機の説明もしながら、52週MDを回していく。
(5) 教育研修
 「ビオラル」では、オーガニックを知るために、さまざまな研修を開いてきた。「有機農業塾」もその一つで、ビオマーケットの協力で、月1回、店舗の管理職や売場担当者たち皆で農場に出かけて、農作業やたい肥作りなどを実践する。店長は、「ビオラル」を始めるにあたって、ヘルスフードカウンセラーなどの資格も取得した。
(6) 開店から現在の状況
店数と客層
 来店客数は、6月25日の開店直後のピークから徐々に減っていったが、9〜10月は同数で、そろそろ底を打った感じである。
客層についてエリア分析をしてみた。開店前は、店舗から500m以内の来店客が7割、1km圏で2割くらいではないかと予想していたが、ふたを開けてみると、3割のお客さんが1km圏外から来てくださっていた。言い換えれば、足元が弱い半面、遠方からの来店客が多いということがわかった。
来店パターン
 来店時間帯を分析すると、ライフ靭店の時代とまったく同じだった。ただし、「ビオラル」はライフより開店時間を1時間遅らせ、チラシも月1回しか打っていない。
 「ビオラル」では、平日も週末も客数には大差がなく、ほぼ同じである。
来店客をクラスター分析して9種類に分けているが、調査結果を見るとほぼ狙い通りで、「健康志向」、「品質重視」、「高級志向」のクラスターのお客さんが多い。
3.課題
(1) 客数アップ
 今後の課題だが、魅力ある売場作りのため、商品改廃とMD進化を進める。これからは、販促も考えている。単品をブラッシュアップするのと同時に、カテゴリー全体としても、たとえばハチミツならハチミツと重点を決めて、MDに力を入れる。
 11月25日に「ビオラルマルシェ」を開催する。クラフトビールでこだわりの惣菜を食べていただいたり、ライフのキャラクターのララピーちゃんを呼んだりして、イベントを盛り立てる。チラシも作った。
(2) 有機農業講習
 スタッフの講習も、継続してやっていく。講義とともに、畑で畝作り、堆肥場作りに取り組み。12月8日の「有機農業の日」には、特設売場を作る予定である。「有機農業塾」の畑で育てた農産物を使う。こんなふうに、これからも地道に手探りでやっていく。

 

 

ディスカッション
コメント 法政大学経営大学院  小川 孔輔 教授

 

(小川教授)私は開店直後に一度、その後も2回ほど「ビオラル」に行った。訪問していいなと思ったことがある。孫が小麦粉アレルギーで、生まれてから冷やし中華やスパゲッティを食べたことがなかった。「ビオラル」でグルテンフリーの麺を買って届けると、孫は生まれて初めて焼きそば食べ、とても嬉しそうだった。惣菜も店内精米でおいしい。

 

<ブランド論から見たグリーンアイのリニューアル>
 イオンのPBのトップバリュ「グリーンアイ」は1993年に発売されており、すでに23年の歴史がある。トップバリュは、ブランド論でいえば親ブランド、マスターブランドに当たる。「グリーンアイ」はレンジブランド、範囲をくくったブランドである。
 従来のイオンのPBは、マスターの下にレンジブランドをぶら下げる形で展開されてきた。しかし今一つ飛ばない理由は、消費者にとってわかりづらいからだろう。わかりやすくするには、記名ブランドを下に付けたり、書体と色を変えて、クリエイティブで対応する方法がある。今回の「グリーンアイ」のブランドリニューアルでは、イオンさんは、各ブランドを色、書体、コンセプトでくくる手法を採用されている。刷新してまだ1週間だが、今のやり方はスマートでわかりやすく、クリエイティブでうまくいくと思う。MDを組むときも、このくくりでできるので、売れのではないか。

 

<イオンにおける「ローカル」の位置づけ>
 イオンさんに質問がある。「ビオラル」のコンセプト(オーガニック、ローカル、ヘルシー、サステナビリティ)のうち、「ヘルシー」、「オーガニック」、「サステナビリティ」については、イオンの「グリーンアイ」のPBと重なる。しかし、「ローカル」という観点については、「ビオラル」は打ち出しているが、イオンさんにはない。
 そこで、ローカルのところをどうされる方針なのか、イオンさんに伺いたい。今回のオーガニック・ライフスタイル・エキスポでも、展示は、オーガニック、ナチュラル、サステナビリティ、ローカル+その他という形になっている。

 

(渡辺氏)そこは、社内できちんと議論されていない。そもそもローカルとは何か。地産地消という意味もあるが、単に特産品であって、あまり意味がない場合もある。ローカルの定義がまだ曖昧だ。イオンは、トップバリュ全体で、ヘルス&ウェルビイングの方向に向かっている。ブランドを整理する中で、ローカルがどこに属すべきか見えていない。

(有本氏)「グリーンアイ」では、今、ブランドをわかりやすくしようとしている。ブランドの再構築では、まず、今の枠組みをきっちりやっていきたい。
 イオンでは、イオンアグリ創造という会社で農場を持ち、オーガニックの野菜の生産も手掛けている。ローカルというコンセプトを出していくとすれば、「グリーンアイ」で展開するのか、アグリ農場でやるのか、それともメインストリームにするのか、イオン全体の中での役割も考えなければいけないので、審議しているところだ。
ただ、「グリーンアイ」の中にも、地域のものは入っている。トップバリュにはセレクトも入っている。

 

<ビオラルの独自品揃えは、チェーンストア理論から見て、革新>
(小川教授)「ビオラル」の品揃えについてだが、自社店舗の商圏が重なる中、「ビオラル」独自のものが50%、通常品あるいはEDLPの品揃えが50%ずつの比率になっているというお話だった。開店から5か月経ったところで振り返って、この品揃えはどうだったか。

(竹下氏)50対50というのは、アイテム数だ。売上で見た場合、通常品の比率は6〜7割くらいになるかと思ったが、実際には、売上高でもほぼ同じ50:50の比率だった。
 今後どうするか。50%の通常の商品についてもランクを付けて提供したが、お客様からは「いろいろ、置いていないものがある」という声が寄せられた。売れ筋のAランクの品だけでなく、他の商品も付け足しながら、お客様の声を聞いて少しずつ調整していく。
 「ビオラル」の店長は、商品が好きだ。お客さんの要望も汲みながら、お店発信の商品をどんどん入れていっている。

(小川教授)「ビオラル」のやり方は、実は革命的だと思う。チェーンストア理論では、品揃えは全店共通で揃えるのが原則だ。私は「ビオラル」に何度か足を運んでいるが、お客様の要望で、開店時と4か月後とを比べると、お店の店頭が動いていることに気づいた。
 「ビオラル」の展開が意味しているのは、単にナチュラル系の扱いが増えたということだけではない。そのことで、仕入れから物流のやり方まで、すべて変えなけれればいけないということだ。

(竹下氏)ジレンマはある。ロットの問題もあり、どうしてもできないものは切り捨てざるを得ないが、それでも、もがきながらやっている。

 

<イオンのオーガニック業態「ビオセボン」について>
(小川教授)イオンは、フランスのビオセボン(「Bio c' Bon」)と提携して、12月に東京でオーガニック業態の店「ビオセボン」をオープンする。このセミナーで皆さんの関心が高かった話題の一つだが、有本さんから何か話せることはないか。

(有本氏)イオングループは300社もあり、なかなかグループ会社の情報は入ってこないのが実情だ。12月9日に東京の麻布十番に一号店がオープンする。ビオセボン・ジャポンの土谷美津子社長の話では、フランスの「ビオセボン」の商品が中心で、我々イオンのPBを売ることはあまり考えていないようだ。
 「ビオセボン」は、パリでドミナント展開しており、100m圏内にも複数出店している地区もある。麻布十番の立地も、フランスのメンバーが決めたらしい。日本でも、パリのようにドミナント戦略で、一気に出店していく可能性もあるようだ。
(了)

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