「石川県からお花が入った段ボールが届いていますよ。」一階の事務室から研究室に電話が入った。わたしの研究室は、経営大学院の同じ建物の6階の東南角部屋にある。
事務室のカウンターで、横置きの段ボールを受け取った。表面に貼ってあるヤマト運輸の出荷ラベルを見ると、石川県農林総合研究センターの村濱稔さんからだった。村濱さんは、農学博士でフリージアや葉ボタンの著名な育種家だ。1月の欧州ツアーでは、一週間ばかりご一緒させていただいた。3月には、JFMAのアフタヌーンセミナーに登壇していただいた。いまや親しいお仲間さんである。
1月の旅行では、フランスの展示会「メゾンエオブジェ」を見学したり、パリの町では花屋さんを12軒も一緒に巡ったりした。いつも一緒に視察旅行をするデザイナーや花屋さんとは全然違ったところを見ている。その行動を見ているだけでとてもおもしろい。ちがう仕事を持っている一人でもツアー参加すると、異種混合の効果が出て、旅の楽しみがまた俄然増すものだ。
さて、一階の事務室に届いていた段ボール箱を開けると、フリージアのいい匂いが部屋中に飛び散った。わたしは球根切り花が好きだ。この季節は、わが家の庭でもチューリップ、ムスカリ、スイセン、フリージアが咲いている。春を告げる花には、球根切り花が多いのだ。とくにフリージアは、花と茎の形が楚々としている。花そのものがあまり強く自己主張しないので好感が持てる。
事務室中に、すてきな甘い香りが広がった。新種の花が混じっているのだろう。見たことがない色彩の花が開いている。全部で200本近くに入っているだろうか。一人で楽しむにはもったいない。事務室には女性が5人いる。ここは、当然のことながら、お裾分けだろう。わたしからの申し出は、「どうぞ、好きなだけ持ち帰ってください。よろしいですよ。」
バレンタインの時も、この5人にはお花を配っている。小川先生が「花配り名人」であることは、今やよく知られている。だから、フリージアの箱を開けた瞬間、事務室の女性たちが、フリージアの花束に向かった熱い視線を感じた。ひとりに20本ずつ、フリージアを持って帰ってもらった。わたしは、研究室に50本ほど。
今回は、花をいただいたのだが、こんな風に、花市場で200本を「箱買いして」、お裾分けするビジネスはないだろうか?例えば、わが義姉(妻の姉)などは、しばしば「コストコ」で飲料やパンをまとめ買いして、わが家に送ってくる。ありがたくいただくのだが、この買い方は、お花でもあってもおかしくない。
<お知らせ>2014年のIFEX・GARDEXは、JFMAが「リード・ジャパンとの共催」から、IFEXの後援団体に立場が変わります。これまでと同様に、IFEX・GARDEXを支援していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。