花き産業の総合環境認証(MPS)をはじめて10年近くになる。事業的にはきびしいものがあるが、その派生で、15年前から手掛けてきた「切り花の日持ち保証」が業界に浸透を始めている。ありがたいことに、農水省の支援があったおかげで、この運動は大きなうねりになった。
この流れの中で、さらに実現してみたいことがふたつある。それは、公園のMPS(環境認証)と、鉢物の日持ち保証だ。MPSのおひざ元のオランダでは、チューリップで有名なキューケンホフが、この認証を取得している。正確な情報は確認できていないが、5~6年ほど前のことのはずだ。
農薬や肥料をなるべく使わない「安心・安全な植物園(公園)」に対する認証である。これを、日本にも導入できないかと10年ほど前から考えてきた。最初のアイデアは、東京都立川市にある国立昭和記念公園への導入(東京花博と一緒に)だった。次にチャレンジしてみたのは、東京ディズニーランドである。
TDRを運営しているOLC(オリエンタルランド)に、知り合いが何人も勤務している。知人にこの話(MPSーPARK)をしてみたが、いまだ具体化はしてはいない。興味は持つのだが、具体的に話が進まないのは、トップではないからだろう。ハウステンボスも同じである。澤田さんあたりが、金の匂いがしないと動かないのだろう。
もうひとつの鉢物の日持ち保証は、たまたま本日送られきた「社長通信」(インパック守重社長)に書かれていた。IKEAとカインズの話を引用しながら、自社の商品[チャコボール]に絡めて、実施の方向を検討していると報告があった。
MPSはもともと、植物のトレーサビリティを確認できる仕組みである。なので、日持ち保証とは相性がよい。日本での切り花の日持ち保証は、MPSーABCと流通が土台になっている。その延長で考えると、鉢物でも導入は難しくないだろう。
問題は、販売に耐える製品の開発と保証制度にどこが責任をもつかだろう。IKEAのように、率先して流通が責任を持つことが一番の近道だが、その前に、メーカーが責任体制を確立することがベースラインになる。その意味では、インパックさんが問題提起してくれている意味は大きい。
ふたつの提案を、いつか実現したいものだ。いやきっと、10年もたてば、世の中では「ふつうのこと」になっているだろう。多くのことが、いままでもそうだった。