『プレジデント』に拙稿「マクドナルド凋落の真因」が掲載された。ふつうならば、在庫が払底した時点で、深夜にかけて売上ランキングは落ちていくものだ。しかし、今回はちょっと様相がちがっている。アマゾンのランクが3桁から落ちていかないのだ。今朝8時の時点で、まだ690位。
発売からほぼ半年が経過している。平常ならば新刊本の売上カーブは、半年もたてばフラットになる。ところが、これだけマック本が売れてしまっているのは、とにかくマクドナルドの業績が恐ろしく悪いからだ。
今年に入ってからでも、6か月連続で既存店売上高が-20%を割り込むことが続いてる。そろそろゆるやかな回復軌道に向かうと思っていたが、今月に入ってからも、マック復活の予感を感じさせない。「フランチャイジーの反乱:6月危機」と言われていたが、それどころではないらしい。
根本的なところ(開発と調達のビジネスモデル)に、手を付けていないからだろう。もともとの顧客だったファミリー層を呼び込むには、商品も店舗環境も魅力的とは言えない。信頼性を回復しないと復活はなさそうだ。
売上高の推移を見てみる。今年(2015年)の全店売上高と既存店の売上対前年比、客数・客単価の対前年比。
2015年 1月 2月 3月 4月 5月 6月
全店売上高 -38.6 -28.9 -29.5 -21.7 -22.3 -23.5
既存店売上高 -38.6 -28.7 -29.3 -21.5 -22.2 -23.4
客数 -28.5 -19.1 -23.5 -15.3 -14.2 -10.4
客単価 -14.1 -11.8 -7.5 -7.3 -9.3 -14.5
ふつうの企業なら、とうの昔に倒産している。なんとか生き延びているのは、長い間に蓄えてきた潤沢なキャッシュと米国本社が背後に控えている資金的な支援体制。FC(加盟店)がどうにか持ちこたえているのは、本部からの支援によるものだろう。
昨年以来(2014年)の業績もデータとして残しておく。米国本社は、すでに月次発表をやめているはずだ。いつ何時、日本マクドナルドも月次データを公表しなくなるかもしれない。
2014年 7月 8月 9月 10月 11月 12月
全店売上高 -18.0 -25.7 -17.0 -17.5 -12.4 -21.3
既存店売上高 -17.4 -25.1 -16.6 -17.3 -12.3 -21.2
客数 -9.6 -16.9 -15.6 -16.5 -12.0 -14.2
客単価 -8.6 -9.8 -1.2 -1.0 -0.4 -8.2