ソフトバンクから、auに乗り換えた。理由は、孫正義社長がインド人副社長に165億円を支払ったからだ。グーグルから引き抜いた将来の社長候補(47歳)への移籍契約金は法外だ。その事実を知った瞬間、J-Phone時代からお世話になってきた白い犬をリリースすることに決めた。
ソフトバンクを解約する理由は、わたしにとっては明快だ。
そもそも日本の携帯市場は、3社寡占で利用料金が高すぎる。とりわけ高額なスマホの月額使用料は、平均1万円弱。われわれから過分に徴収したお金が、インド人の懐に入ってしまった。そう思うと、これ以上、犬にエサを提供したくなくなった。しかも、密かに隠しておいたことが、有価証券報告書の記載で露見した様は、いかにも恰好が悪い。
二番目に、携帯ショップで働いている社員たちの姿が、すぐに目に浮かんだ。ショップでの顧客対応は、利用客から厳しく評価されている。サービス産業のなかで、携帯3社(ドコモ、au、ソフトバンク)のCS(顧客満足)のスコアは最低レベルである。
ちなみに、2014年のJCSI調査では、各社とも50点台(100点満点)である。他のサービス産業ではほとんど見らないくらいに悪いスコアである。ふつうのサービス小売業は、65~70点の水準。優れたCS経営企業は、70点台である。
カウンターで、うるさい客に接しなければならない女性たちには、心から同情する。一生懸命に働いていても、サービス内容が複雑なため、説明に長い時間を要する。しかも、わたしのような初めての来店客は、短い時間では契約内容がよく理解できない。操作手順もよくわからないので、初期設定でつまづいてしまう。その対応に時間がかかる。
昨日、わたしが乗り換えに利用したauショップ(@市ヶ谷店)のカウンターでは、携帯のパスワードの入力をめぐって、来店客の女性とカウンター内の若い男性社員が、口論になってしまっていた。
スマホという商品は、契約も操作もストレスフルなサービスなのである。だから、毎日使う商品なので苦情や不満が出やすく、CSのスコアは低くなりがちである。だから、それを改善するようにサービスや接客を工夫すればよいのだが、顧客がよくわからないことをいいことにして、無駄なサービスオプションを提案してくる。
長時間の対応(わたしの場合は二時間超!)疲れて、オプションがたくさんついたサービスを選ばされてしまう。手続きをもっとシンプルにしたほうがよいと思うのだが、その改善の兆しは見えない。このことは、ソフトバンクに限ったことではない。
さて、現場で厳しい仕事をしている接客従業員と、165億円の移籍支度金をスカウト人事で獲得してしまった副社長との間で、時給で10万倍の違いはあるのだろうか?トップ(取締役会)が人事・報酬に関して下した判断は、社会的に正当なと言えるだろうか?
ソフトバンクの従業員や中間管理職は、完全に働く気を失ったのではないだろうか?わたしがソフトバンクの上級社員ならば、その場で辞表を提出するだろう。
長々と書いてきたが、とにかく、以下の記事に我慢がならず、わたしは、最後のガラケイを捨てることにした。関連記事を引用する。
「ソフトバンク、アローラ氏に報酬165億円 孫氏後継候補」(日経オンライン、2015/6/20)
ソフトバンクが昨年9月に米グーグルから招いたニケシュ・アローラ氏(47)に対し、2015年3月期に165億円余りの報酬を支払ったことが19日提出した有価証券報告書で分かった。アローラ氏は同日付で副社長に就任した。孫正義社長が「最重要の後継候補」と表明しており、破格の巨額報酬で迎え入れた。
有価証券報告書によると、アローラ氏には総額165億5600万円の報酬が支払われた。このうち株式による報酬が19億9500万円で、総額には入社に伴う契約金を含んでいる。孫社長の前期の役員報酬は1億3100万円で、これとは別に保有する自社株から100億円の配当を受け取った。