先週の「キリンの凋落」(前編4月24日・後編27日)に続いて、インタビュー・シリーズの第2弾は、百貨店のミニ店舗出店について。公開は来週を予定している。記事内容を詳しく書けないが、百貨店が自社施設外にセレクトショップを展開する理由は、百貨店という業態の衰退に原因がある。
戦後一貫して都心部で「場所貸し業」(不動産業)を営んできた百貨店が、他社が開発した商業施設に、中小型店を出しはじめている。興味深いのは、その出店場所が、東京都心部、地方都市の駅前、郊外SCを問わずなことである。
たとえば、三越伊勢丹HDGSは、衣類・雑貨の小型セレクトショップ(「イセタンサローネ」の一号店)を東京ミッドタウン(六本木)にオープンしている。高島屋も、食料品店の「タカシマヤフードメゾン」を駅ビル(岡山駅のイオンモール)などで展開しはじめた。その他の百貨店でも、自社の物件ではない大型商業施設内に、中小型のセレクトショップを開業する動きを見せている。
百貨店が「ミニ店舗」に挑戦する狙いは何なのか。そして、そこから得られる成果はいかほどのものなのか。この二点について、『日経ビジネスオンライン』(5月12日号)のなかで、中野目副編集長のインタビューに応えている。
読者のみなさんは、この現象についてどのようにお考えになるだろうか?
わたしの知る限りでは、かつて地方都市(人口50万人~100万人)に、大手百貨店の中型店(ミニバージョン)が出店していた。いまでも、浦和や仙台などにそうした店舗を見かける。
しかし、大手百貨店の地方店舗は、品揃えを圧縮した店である。よく名前が知られた全国百貨店のブランドをベースに、地方に住む富裕層を狙ったものである。ギフト対応が主であろう。現在のように、食品や雑貨、衣料品などのカテゴリーで、売り場の一部を切り取って出店する「セレクトショップ」とは出店の狙いが異なっている。
しかも、こうした百貨店の圧縮バージョンは、海外店舗(たとえば、パリの三越)の撤退に典型的にみられるように、数的には縮小傾向にある。そうした中での小型店の出店は、現状の百貨店の経営にとってどのような意味をもっているのだろうか?
公開日の5月12日をお楽しみに。