【学生感想文】『CSは女子力で決まる!』小川孔輔(2014)

 学生達が隔月で提出してくれている感想文の中から、優秀作品を掲載する。今回の課題図書は『CSは女子力で決まる!』だった。2人分をアップする。


「CSは女子力で決まる!」37期 戸松和明

 私がこの書を読んで全体的に感じたことですが、女性従業員に対する内部マーケティングを充実させることが、いかに重要か!ということを思い知らされました気がします。確かに女性は我々男性よりも優れた感性を持っていると思いますし、女性ならではのアイデアや「女子力」というものが、顧客に対して有効な武器になることはアルバイトをしていても感じます。
 先日、スターバックス軽子坂店で、この書を読んでいたときのことです。ドリンカーを務めていた女性スタッフ(社員なのかアルバイトなのかは不明)の様子を観察していたのですが、ドリンクを作りながら、または作り終えたドリンクを手渡すときに、一人一人のお客さんと欠かさずに会話をしていました。もちろん女性のお客さんも会話をしていましたが、特に男性客は楽しそうに会話をした後、笑顔で店を出て行きました。これも顧客の心をガッと掴む「女子力」なのでは?と感じました。
 この「女子力」という武器を最大限引き出し、有効に活用するために、会社が内部マーケティングの充実化に努力すれば、自ずとCSにも影響する。非常に納得できる話だと思いました。
 今回この書を読んで、特に気になった会社の事例をピックアップして、感想を述べたいと思います。

①クロスカンパニー
 まずは、「earth music & ecology」を有する株式会社クロスカンパニー。
 ここで驚いたことは、一風変わった「シスター制度」でした。最も社歴の浅い社員から店長まで、順番に担当の「お姉さん」が変わって行くことに魅力を感じました。例えば、入社二年目のシスターが新人に教育をすることで、そのシスター自身も早い段階から教育のノウハウを学ぶことができ、また自身では気付くことができなかった盲点を新人から吸収できるメリットもあると思い、非常に有効的であると思いました。
これは、以前先生から少し伺っていた話ですが、研修制度でも紹介されていた「CS研修センター」にも感心しました。確かに、いくら通常の講義などの座学研修を受けても、配属された店舗でいきなり接客やオペレーションをこなすには、新人にとってもプレッシャーだと思います。事実、アルバイト先(例によるグリルド・エイジング・ビーフですが。笑)で最近になって入ってきた新人は、軽い座学を受けることは出来ても、ロールプレイングを行う時間がなく、いきなり本番の営業に飛び込んでいます。私はオープニングスタッフとしてオープン当初から働いていたので、オープン前にしっかりとしたロールプレイングを受けてから、営業に臨むことが出来ました。しかし、先ほどの新人のように、いきなり営業に出されると不安やプレッシャーで思うように仕事ができないと思います。ですから、クロスカンパニーが所有している「CS研修センター」のような模擬店舗を使って、しっかりとロールプレイングを行うことが出来れば、新人も多少の不安を解消して初めての営業に臨めると思いました。これも有効だと思います。

②ロック・フィールド
続いて、株式会社ロック・フィールド。
女性社員や、パート、アルバイトの子供を預かれるように企業内保育施設を開設したことが、他社ではないような試みだと思いました。それだけ女性社員を戦力と捉え、育児で離職しないように企業が努力していることに感心しました。

また、この書を通して共通して気づいたことが二点あります。
まず一つ目。カインズの「グレード制度」「社員区分変更制度」「ジョブ・リターン制度」やクロスカンパニーの「社長塾」、呉ベタニアホームの夜勤時間短縮などなど、この書では様々な施策が登場してきました。これらの制度は、女性従業員側と会社側の双方にメリットがあると思います。従業員側としては、育児や家庭と仕事を両立しながら、安心して仕事ができること。それに、しっかりとした会社側の制度に乗っ取って仕事をしているので、短時間勤務で育児のために早く帰宅しても、周りの通常勤務の社員から冷たい視線を浴びることもないはずです。精神的にも安心して仕事ができると思いました。逆に会社側にとっては、失いたくない人材を妊娠・出産のために失わずに済みます。離職が抑えられるということは、有能な女性の人材を多く雇用し続けることができますし、新たな採用にかける時間や労力が削減されますので、会社側にとってもメリットがあり、やはり内部マーケティングを充実させることはかなり有効的だと思います。
そして、二つ目。これは、「女子力」の話ではありませんが、CSを向上させるためには店舗や会場を小型化することが有効的だということです。クロスカンパニーの「earth music & ecology」の店舗や劇団四季の劇場もコンパクトに作られ、顧客との距離を縮めることでCSを向上させていることに納得しました。目先の利益にのみ目が行きがちだと、大型化してしまいそうですが、あえてコンパクトにすることでCSを向上させ、リピーターを増やす。この手法にも感心しました。

もし来年度から内定先の会社に就職してから、人事や経営に関わる仕事に携わったら、この書を読んで得た様々な内部マーケティングを実践したり、応用してみたいと感じました。
 また、余談ではありますが、今回先生が書かれたこの本は内容的に読みやすかったですし、非常にお洒落な演出で感動しました。

「CSは女子力で決まる!」37期 油井香緒梨

『CSは女子力で決まる!』では、様々な企業の取り組みを述べている。各企業ともに実際に働いている社員の方にインタビューを行っており現状に満足しているかなどを知ることができる。

 私はこの本の中の2つの企業のことに書かれていることに注目した。企業はクロスカンパニーとヤオコーである。クロスカンパニーでは職場の雰囲気のこと、ヤオコーではサービスに焦点を当てる。

 クロスカンパニーの短時間勤務社員である町田さんは、出産を経験した後に職場に戻ると雰囲気が変わった、と思ったと書かれていた。私も就職活動を行っている時にアルバイトを休んでいた。
就職活動が終わりアルバイト先のタリーズコーヒーに行くと、今まで一緒に働いていた主婦の方に「雰囲気が変わりましたよ」と言われた。話を聞くと、洗い物の担当になろうとする人が多く、レジの仕事をしようとしない人もいるということだった。お客様と対面で接するレジを敬遠し、お客様から見えない所で仕事をする方を優先したがっているようだった。

 復帰してからは、働きにくいと思ってしまった。その理由は2つある。1つめは人材確保の困難である。私の店舗は、従業員20名程でお店が成り立っている。今年の3月に卒業した先輩が5名おり、そのうちの1名は、ほぼ毎日出勤をしていた。その先輩のおかげで上手くお店が回っていた。同じ人数の5名を雇うことができ、教育も進めばお店を回すことができた。しかし、私が休んでいる間に新人の何人かは数日仕事をして、辞めた人がいたようだった。
2つめは教育が進んでいなかったことだ。レジの仕事が一通りきちんとできるようになれば、カフェラテなどを作る方法を教わる。しかし、レジの仕事できちんとお客様に説明できないまま、商品を作る仕事を教わっている人がいた。レジ担当の人が説明すればいいことをできないため、商品を作っている人に助けを求める。そのため、オーダーを聞くのが遅くなり、お客様を待たせてしまう。そして、スムーズに商品を提供できなかった。与えられた仕事をこなすことができない新人が多い状況だった。

 人手不足の影響などで、社員さんを含め従業員皆が疲れており、元気のない状態だった。社員さんは休みを取れない状態になったため、体調不良になり1か月程休暇を取ることになった。
もう少し前もって何人か新人を採用することができれば、このような状況にならなかったのではないかと思う。また、町田さんのように自分からアクションを取る従業員がいなく受動的になってしまっていた。
次はヤオコーである。ヤオコーは顧客に対してとても親切だと考える。昨年ヤオコー狭山店に何度も行った。土日など2日間行くことが多かったため、常連の方は一日に3回くらい来店していた。
ヤオコーにはパン売り場の横に椅子が置いてあり水も飲めるため休憩することができる。休憩のところへ行くと何人かのお客様が座っているのをよく見た。休憩の場所があることは偶然買い物中に会った友人とお話などすることができる。そのようなカフェのような空間を提供するところからも、常連の方は沢山来店するのではないかと思う。また、従業員と来店客の距離が近いように感じる。お客様は何かあると店員さんに聞いている様子をよく見た。

 私の住んでいる近所にダイエーがある。小さいころはダイエーの地下の食品売り場に休憩所のようなところがあった。そのような休憩する場所が今ではない。休憩所のスペースはパン屋さんに変わってしまい、椅子に座りゆっくりする空間はない。また、従業員と来店客が話している印象はない。ダイエーでは常に店内アナウンスが流されており特売や広告の品などを教えている。そのため、店内はヤオコーよりも賑やかである。

 クロスカンパニーもヤオコーも当事者意識があり、工夫を凝らしている。2社は与えられた仕事以上にパフォーマンスを披露する場がある。そのようなところから従業員が生き生きと働き、お客様のことを考え商品などを提供できるのではないか。