秋田の地元新聞『北羽新報』に「帰省を自主規制する心理と論理」というコラムを書た。午前中に原稿を渡して、午後にはゲラが上がってきた。ゲラの段階で、親しい友人たちに原稿を見てもらった。複数の知人からはコメントが戻ってきた。自分の経験を綴った文章である。この夏の「コロナ帰省」に関して、結構深刻な事態が全国で発生していることがわかる。
三人からの返信を紹介してみたい。きっとこれらは、氷山の一角である。水面下では、もっとひどい差別や失礼な行動や言動が行われている気がする。いったい、この国のひとたちは、どうなってしまったのだろう。フラストレーションがたまっているのはわかる。わたしもそのひとりだから。
最初の文章は、地方の花屋さんからである。娘さんは、皆さんがよくご存知の某私立大学生の1年生である。
1 先生、記事を読ませていただきました。大学側も色んな障壁があるのですね。大学での勉強を辞めても、金銭面でならしかたないとこかもしれませんが、辞めたあとに、働く場所はあるのでしょうか。
コロナだけにフォーカスした世の中になって、
今回、娘が帰って来て、一部のスタッフが私との接触を遠回しにですが一緒にお店に立ちたくないとのこともありました。
でも、娘が帰省してたくさんの経験や考えなどを20日あまりの時間を一緒に過ごすことで、ポロポロと色んな話が出来ました。
コロナパニックに陥っておる人に何を言っても、なかなか受け入れる余裕は無さそうです。
今回、娘が帰って来て、一部のスタッフが私との接触を遠回しにですが一緒にお店に立ちたくないとのこともありました。
でも、娘が帰省してたくさんの経験や考えなどを20日あまりの時間を一緒に過ごすことで、ポロポロと色んな話が出来ました。
コロナパニックに陥っておる人に何を言っても、なかなか受け入れる余裕は無さそうです。
二番目の文章は、元ゼミ生の女性からである。
2 本当に地方ではバイキン扱いです。祖母がこの夏を越せるかどうか危ないのですが、親戚一同から帰省はしないでくれと言われています。なんと現地の医者にまで、荷物や服にも付いてるからダメだと進言されたらしく。
こちらの家族は「おいおい…」と怒りを通り越して力が抜ける感覚です。
地方の近隣密着型の暮らしは周りに噂も蔓延しますし、親戚のためにも母は帰るのを諦めました。
地方の近隣密着型の暮らしは周りに噂も蔓延しますし、親戚のためにも母は帰るのを諦めました。
三番目は、東京西地区にある花屋さんから。ふたつ文章が届きました。
3(1)うちのスタッフ達に聞いたら、全員里帰りしなかったみたいです。
田舎のご両親が、東京から人が来るのを嫌がってるみたいですね。
周りの目があるから、という理由で。
(2)うちの仕事を短期で手伝ってもらう予定だった和歌山県在住の女性は、周りの人から東京には行かないように!とキツく言われて来れなくなりました。
田舎から見ると東京は怖い場所のようです。
きっとテレビのワイドショーの影響かなと思います。
田舎から見ると東京は怖い場所のようです。
きっとテレビのワイドショーの影響かなと思います。
<小川からのコメント>
コロナ騒動は、感染の仕方がよくわかっていないことが問題なことはよくわかります。しかし、普段の生活の中でどのように行動すれば感染しないのか、次第に明らかになりつつあります。Withコロナ。ワクチンができるまでは、コロナと一緒に生活するしかない。住んでいる場所に関係なく、日本人が互いに協力しあうべきなのに、そうはなっていない。
コロナ騒動は、感染の仕方がよくわかっていないことが問題なことはよくわかります。しかし、普段の生活の中でどのように行動すれば感染しないのか、次第に明らかになりつつあります。Withコロナ。ワクチンができるまでは、コロナと一緒に生活するしかない。住んでいる場所に関係なく、日本人が互いに協力しあうべきなのに、そうはなっていない。
ところが、メディアやワイドショーの番組が必要以上に、恐怖心を煽っているように感じます。その影響で、特に地方に住んでいるひとたちが、東京人をまるでばい菌のごとく扱ってくれています。自分たちは、日常生活ではマスクをしない生活をしているにも関わらずです。
わたしのたちの周辺では、そのことにあきれ果てて、結局は帰省を自主規制してしまっています。先週のわたしがそうでした。ひっそりと自宅とその周辺で生きています。ときどきは、息抜きに都心で会食をしていますが、それはごく内輪で内緒です。
こんな生活を続けていたら、人間が嘘つきになりそうです。コロナで陽性になった人が、濃厚接触者をほんとはわかっていても、明らかにしないのは、自己防衛のためでもあります。本当の移動の実態も、家族以外にはなるべく話さないようにするでしょう。
ところで、昨日の午後にみなさんに配った原稿は、来週の初めには世の中に出ます。早速、本ブログで公表することにします。お楽しみに。