約一年前の7月11日、ソフトバンクは、米国の携帯電話会社第3位の「スプリント」の買収を完了した。一年後に、「イオン」のような異業種が携帯事業に参入している。既存プレイヤー3社(au、docomo、softbank)が、料金の低額化をはじめると思いきや、実際には携帯の契約料金はほとんど変わっていない。
わたしは、1997年にJ-phone(ジェイフォン)が誕生したときからのロイヤル顧客である。カメラ付きの携帯電話(写メール)が発売されたころには、J-PHONEのシェアは業界で最低だった。初期のころは、地方へ行くとほとんどつながらない。いまでも、都市部のビル地下などでは電波状態が改善されたとは言えない。その割には料金は高い。
それでも、「判官びいき」から、業界三番手のキャリアを支援してきたのだった。白い犬が、いつかこちらに向かって駆け出してくれるものと期待してである。しかし、孫正義さんの戦略は、国内の顧客サービス重視にはないことが明らかになった。
わたしが関与している「顧客満足度調査」(JCSI)でも、ソフトバンクのサービスは、一貫して満足度が第3位である。調査開始から5年が経過しているが、最下位を脱出する気配は見られない。そろそろわたしも限界である。
奇しくも、2007年にソフトバンクがボーダフォンを買収したときの金額(約1兆7千億円)と、今回(2013年)、ソフトバンクがスプリントを買収した金額(約1兆8千億円)がほぼ同じである。つまり、1兆8千億円の海外への投資により、日本国内のサービス改善は遠のいたとわたしは判断した。
1997年からの累計で、ソフトバンク(+J-phoneとVodafone)にわたしが支払ってきた金額(顧客生涯価値)は、約600万円である(月額3万円×12か月×18年)。これには、家族の負担分、海外通話料なども含まれている。
ふつうであれば、これだけの金額を支払ってくれた顧客には、なんらかの優遇措置があってしかるべきだと思う。それが、まったく逆である。したがって、前記の海外への投資行動を含めて、顧客として「離脱」を宣言するわけである。
すでに、ひとり(次男)を除いて、わが家はすべてソフトバンクから離脱している。行き先は、全員が「au」だった。わたしは取り残された家族メンバーだったのだが、この先はどこに行くのかは不明である。もしかすると、イオン?ありえない!
いずれにしても、携帯キャリア3社のプログラムは、長期ロイヤル顧客の立場として、全社ともに類似している。暗黙の談合とも思えるくらいに、価格体系とサービスが同質である。他のサービス産業ではあまりない状況である。
言い訳は、たしかにあるだろう。どこの会社も、共通のインフラとしてNTTの回線を使っているから。コスト構造が同じだからだと。そうなのだが、サービスまで同質化しているのはおかしいではないか。それはちがうだろう。
というわけで、二台所有しているうちのひとつ、まずはスマホを乗り換える。つぎに、ガラケイのほうをどうするかを考える。こちらは、あと数か月で契約が満期になる。