【最終コーナー】 『CSは女子力で決まる!』(もくじ)

 7幕分の原稿を先ほど、編集者の村上直子さんに提出した。厳密に言えば、第5幕の「ロック・フィールド」は、商品開発のストーリーが未完である。インタビューのために週末に再度、神戸本社に行くことになっている。仕事が詰めに入ると、いつものO型から完璧主義者のQ型に変身する。



最終企画書:
小川孔輔(2014)『CSは女子力で決まる(仮)』生産性出版 (V5:20140527)
「副題:従業員にやさしい企業が高い顧客満足度を生み出す仕組みの作り方」

1 本書のねらい
 ここ10年ほど、経産省とSPRING(サービス産業生産性協議会)の仕事で顧客満足度(CS)の調査をしてきた。顧客データ分析から、CSの高い会社は、総じて従業員満足度(ES)も高いと思えるようになってきた。そのことをきちんと実証した統計データがあるわけではないが、JCSI(日本版顧客満足度)のデータベースを見ていくと、明らかにCSとESは相関がありそうなことがわかる。
 本書では、JCSIの調査データや筆者が独自に取材した企業の中から、社員にやさしい代表的な小売サービス業を7社取り上げ、従業員満足度(ES)の高い会社は顧客対応に優れた会社であることを示すことにする。つまり、従業員が働きやすい企業は顧客にもやさしいサービスが提供できており、そのことが高い収益につながるという「サービス・プロフィット・チェーン」の仕組みを、日本企業の実例で記述的に解説してみることにする。
 従業員の満足度が高い働きやすい企業は、「ホワイト企業」と呼ばれている。従業員の待遇が劣悪な企業を、それに対置して、世間では「ブラック企業」と呼んでいる。そうした企業と対象的な企業を取り上げて、CSとESが同時に実現できている仕組みの本質を明らかにする。
 本書では、米国人サービス研究者(J・フィスク)らが提唱している「劇場アプローチ」により、サービス企業の実践を記述することにした。だから、取り上げる7社を記述するにあたっては、劇(演目)、舞台、監督、女優、観客、舞台裏など、「演劇の上演」をアナロジーとして用いる。それは、演劇の上演要素を比喩として用いることで、サービスの本質と舞台と顧客とのインタラクションがより明らかに記述できると考えたからである。
 通常の書籍の「章」は「幕」に対応している。「節」は「場」と読み替えていただきたい。なお、番外編では、高い「女子力」をもった「有能な女子社員」を4人、文中のコラムで紹介する。それでは、静かに「幕」を開けることにします。

2 もくじ(取り上げる7つの企業)
 プロローグ ユニクロの変身 (埼玉県本庄市、カインズホーム)
 第一幕 クロスカンパニー(岡山県岡山市、カジュアル衣料品)
 第二幕 ヤオコー((埼玉県川越市、食品スーパー)
 第三幕 シンガポール航空(シンガポール、国際航空サービス)
 第四幕 オルビス化粧品(東京都品川区、化粧品の通信販売)
 第五幕 ロック・フィールド(兵庫県神戸市、デリカテッセン)
 第六幕 呉ベタニアホーム(広島県呉市、介護サービス))
 第七幕 劇団四季(神奈川県あざみ野、演劇の上演サービス)
 カーテンコール 島根日野自動車販売(侮れないぞ、男子力も)

3 コラム(女子力、番外編)
(1)山形新幹線のカリスマ販売員(斉藤泉さん)
(2)ABCクッキングスタジオ創業者(志村なるみさん)
(3)静岡の温泉、女将さん(大久保あかねさんの寄稿)
(4)日本のマラソンブームを拓いた元祖アマチュア女子ランナー(下条由紀子さん:月刊ランナーズの編集長)