時事通信の配信記事で、つぎのようなニュースを見かけた。「カーネーションの輸入ピーク=「母の日」に向け―成田空港 11日の「母の日」に向けたカーネーションの輸入がピークを迎えている。成田空港に近い運送会社の物流拠点では1日、輸入業者が検品作業に追われた」(時事通信 [5/1 14:48])
ご存知のように、今年の母の日は、5月11日である。5月1日は、ピークの10日前である。何気なく発信された記事を見て、花事情に詳しくない人は、「輸入のカーネーションは、10日以上も冷蔵庫の中にいるのか!」と思うのではないだろうか?
種々な消費者調査によると、一般の人は、切り花の日もちがそれほど長いとは思っていない。せいぜい5日(バラ)~2週間(カーネーション、キク)である。花を長持ちさせる方法を知っていても、コロンビアや中国(昆明)から、母の日に向けて輸入されるカーネーションが十分な前処理がなされていることは知らないだろう。
だから、ふつうの感覚では、「輸入のカーネーションは、10日以上も冷蔵庫の中にいて、当日に買うと、すぐに枯れてしまうのでは?」と心配するのが一般人ではないだろうか。そのことに対して、安心を促す努力をわたしたちはしているか?
どこかで、たとえば「切り花輸入協会」が主導して、広報活動をすべきではないのか?新聞記事に出たから、これ幸いと思うのは、甘い考えなのではないのか。
「きちんと前処理をして、飛行機でもその後もエチレンを除去して冷蔵保管しているから、カーネーションは安心してお買い求めいただいても大丈夫です」と別にPRすべききだろう。この記事を見て心配してしまった。
農水省は、国内農家を守るために、輸入カーネーションのために広報活動はできない。しかし、花業界全体としての利益を考えると、輸入品であれ国産品であれ、花を安心して買い求めていただくことが業界人としての使命である。
日持ち性について、国産と輸入に区別はない。われわれの調査からも、それがわかっている。切り花に対しては、国産の野菜と違って、消費者はいまのところ国産と輸入品を区別して買っていない。
こうした記事を見るにつけても、「日持ち性に関する疑念を払しょくするため」の広報活動が必要だと痛切に感じるのである。