6月15日から「新宿K’s Cinema」で公開されている日本モンゴル国交40周年記念映画「モンゴル野球青春記 バクシャー」を見た。ペーソスあふれるオカマ映画「エデン」に続いて、豊田剛さんから推薦いただいた映画の二作目である。不覚にも、上映中に3度も泣いてしまった。
昨日は、K’Sシネマに、武監督が登壇して、撮影現場でのエピソードなどを話してくれた。撮影後の「音入れ」の方法論など、ふだんは聞けない話である。得した感があった。
なんといって、この作品の良いところは、モンゴル代表野球チームが明るいことだろう。アジア大会では全敗を続けているのだが、まったく臆することなく、次の戦いに胸を張って出ていく。戦後の何もなかったところからはじまった日本国のかつての希望のあり場所を思い出させてくれる。
貧しい国(モンゴル)での方が、全く知られていないスポーツ(野球)が、魅力的に輝いて見えるのが不思議だ。野球というスポーツの原点を見ているような気がして、全編を見ていた。
ちなみに、この作品は、鉄道マニア(乗り鉄)のわたしには、たまらない光景が続く。
映画の導入部は、主人公の元高校球児セキネマコトが、ウランバートルにあるモンゴル大学に入学する場面から始まる。雪が降りしきる中を列車が駅のホームに滑りこむ。この到着のシーンは、上空からのアングルで撮影されている。
そして、最後の場面では、シカゴの国際大会に出ていくモンゴル代表野球チームが列車に乗り込む場面で終わる。雨が降りしきる中、マコトと結婚することになるモンゴル人の彼女が、相合傘でチームを見送るシーンが最終場面になる。
上りの雪と下りの雨。出会いと別れの二つの場面が、同じ駅のホームで終始する。
野球好きでなくとも、モンゴルに興味がないひとでも、絶対に見てくださいな。たいていは、最低2度は泣くと思います。上映中に、わたしのように3回以上泣く人もいるかもしれません。
参考までに、公式サイトの物語説明をアップします。
【ストーリー】
敗戦試合の最後の打者となったという苦い経験を持つ元高校球児の関根淳。ひょんなことから、社会主義崩壊直後のモンゴルに野球を教えに行くことになる。
大草原の中、もう一度、野球ができることに、魅力を感じる淳であったが、現実はそう甘くはなかった。モンゴルで野球は全くのマイナースポーツ。野球を知っているモンゴル人はほとんどいなかった。淳の理想は、指導するチームのマグワン監督との確執や数々の困難により崩れ去っていく。
そんな中、ついにモンゴル代表チームは、1998年AAAアジア野球選手権大会で松坂大輔(現コロンバス・3A)、杉内俊哉(現巨人)、村田修一(現巨人)らが名を連ねる日本チームと対戦する事となる。しかし、さらなる問題が勃発。果たして、淳はモンゴル野球の「バクシャー(先生)」となれるのか!
【監督】 武正晴 「カフェソウル」「EDEN」
【原作】 関根淳
【脚本】 足立紳
【製作】 佐伯寛之、谷口広樹、村田亮
【製作プロダクション】 アールグレイフィルム AUM ENTERTAINMENT
【モンゴル野球青春記公式サイトURL】 http://mongolyakyu.com/