おめでとうございます! 石川康晴社長(クロスカンパニー)が、この春、岡山大学経済学部を卒業していました。

 一昨日(11月20日)、東京赤坂(草月会館内)にあるクロスカンパニー東京本社を訪問した。現在執筆中の『ホワイト企業(仮)』(生産性出版)のインタビューのためである。従業員にやさしい企業を、わたしは「ホワイト企業」と呼んでいる。代表的な8社のうちの一社として、石川社長の会社を指名させていただいた。


クロスカンパニーは、日本の大企業としは初めてだと思うが、全社員が正社員である。この雇用形態は、世界的にも例がないかも知れない。社内には、フルタイムの正社員に混じって、「4時間社員」や「6時間社員」がごろごろいる。今度のインタビューでは、社長の想いと女性たちの働きぶりの実際をたずねてみた。
 日本人の女性たちは、妊娠や出産、介護や子育て、場合によっては連れ合いの転勤のために、仕事をやめなければならない状況に追い込まれる。長い間働いて現場を熟知している女性たちは、企業にとって戦力として貴重な存在である。しかし、小売業だから、家庭をもってしまった女性には、従来の雇用形態では働く場所が提供できない。
 石川社長(社員番号1)によると、今の事業を一緒にはじめた女性(社員番号2)が、家庭の事情で仕事を辞めざるを得なくなったことが「時短正社員」の制度を設ける動機だったという。有能なしごと仲間を失いたくはなかったが、起業したばかりだったので、その余裕はなかった。
 
 そのあとで約1時間強にわたって、石川さんから聞いた話の詳しい内容は、来春刊行予定の本に譲ることにする。これで、インタビューは4回目になる。最新のものが、『販売革新』の2012年土新春号に掲載されている。主として、海外戦略についてであった。

 最後に、うれしい話を石川社長から聞いた。お会いするたびに、わたしが石川さんにたずねる決まり文句は、「(岡山)大学は卒業できたのですか?」である。急成長の企業の創業者社長だから、授業にでることができなくなっているようだった。いつも申し訳なさそうに、「まだ、4年生なんですよ」と苦笑いする石川さん。
 ところが、今回は、「卒業できました!」とうれしそうに話してくれた。卒業研究のテーマは、自社店舗(クロスカンパニー)を題材にして、「店舗の生産性についての研究」だという。ご存知のように、クロスカンパニーの各ブランド(アース・ミュージック・エコロジーなど)は、競合(たとえば、ポイントのローリーズファームなど)と比べると、小型の店舗が多い。
 そのサイズで生産性を上げることができている理由を、卒業研究では分析している。詳しく伺う時間はなかったが、基本は、IE(Industorial Engineering)の手法を用いた研究の様子だった。指導教官が経営工学が専門の方なのだろう。推測ではあるが。

 それにしても、まあ何年かかった(6年?7年?)のかはわからないが(笑)。ご卒業おめでとうございます。
 つぎは、海外の経営大学院ですね。たぶん、石川さんはそう思っているのではないだろうか。