2011年6月10日「とことんオーガニックシンポジウム2011」(小川も共同司会者として参加)以来、徳江倫明さんから不定期にメルマガが届いている。今回(8月1日号)では、気になる3つのトピックスが取り上げてられていた。マグロの絶滅問題、みつばちの話(ネオニコチド系農薬)、モンサントのEUからの撤退。
徳江さんのメルマガを、小川が勝手に再編集しています。
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オーガニック通信
有機農業、オーガニック、食の安全
環境問題等の情報を配信
vol.29号 Organic Review from M. Tokue
2013年8月1日号 オーガニックマーケティング協議会
一般社団法人フードトラストプロジェクト
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小川 孔輔 様
国内では新たな遺伝子組み換え作物の認可が検討され始めています。一方海外では、EUがGM作物に強い統制をかけ始めていて、GM開発関連企業はEUへのアプローチを一旦納め、矛先をアジアや南米にシフトしつつあります。ネオニコチノイド系農薬問題を含め、EUの「予防の原則」での対応が明確です。こうした状況下、TPP問題も絡み、日本も曖昧ではいられなくなります。
もう一つ、ウナギのレッドリスト化やマグロの資源量の問題など考えると、 国をあげて日本食の輸出、日本食レストランの海外展開方針などと首相自らの パフォーマンスを見るにつけ、「日本食は世界の海洋資源を食いつくす」と いうイメージと重なってしまいます。日本食は万物の霊に感謝しつつ、一物全体、素材を大切にすべてを活かす、再生出来るように少しずついただくなどの 精神世界を具体化した生活規範と表裏一体。日本食はそういうものとして、ゆっくり、じっくり世界に広げたいものです。
それこそアメリカ型のファストフードのチェーン展開と一つの素材に特化した日本食が結び付くと、日本人の飽食を食品ビジネスが助長して生物種を絶滅させるということになりかねません。昨今の資源管理に関する国際的常識からは受け入れられにくい構図が見えてきます。TPP反対というよりは脱TPPということですかね!?
徳江倫明
■ N E W S ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……
■モンサント、欧州から撤退。栽培申請を取り下げ
ロイターは7月17日、モンサントが欧州での栽培承認手続き中の遺伝子み換え作物について、順次取り下げると報じました。モンサント社の公表資料では、2012年に遺伝子組み換え作物を商業栽培している国は28カ国で合計約1億7千万ha。このうちヨーロッパ圏では5カ国約13万haときわめて少ない状況です。有機農業ニュースクリップによると、すでにスペインなどで栽培されているGMトウモロコシMON810をのぞき、EUに栽培許可を申請中のGMトウモロコシなど5品種の申請を順次取り下げ、新たな申請を行わないとのことです。この一報の6日前の7月12日には、イタリア政府がモンサントのGMトウモロコシMON810についてセーフガードを発動し、イタリア国内における栽培禁止を決定、EU当局に通知していました。
参考:モンサント社の遺伝子組み換え作物の国別栽培状況
http://www.monsanto.co.jp/data/countries.html
■EU、新たなネオニコ系農薬の使用を制限
欧州委員会は16日、「ミツバチをさらに保護するための追加対策」として、5月に使用禁止が決定したネオニコチノイド系農薬3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)に加え、ネオニコチノイド系農薬フィプロニルの使用を制限すると発表しました。フィプロニルとは、ネオニコチノイド系農薬同様、水溶性で作物に吸収される浸透性農薬で、残効性が高く、神経系に作用する農薬としてシロアリ駆除、ペットのノミとり、ダニ、ゴキブリ退治などを目的に使用されています。日本での使用規制はなく、2008年までの状況では生産は増加傾向にあります。
参考:ネオニコチノイド系農薬とは?
http://no-neonico.jp/kiso_index/
http://no-neonico.jp/pdf/binran.pdf
■太平洋クロマグロの資源量最低に
日本や米国などが参加する国際機関「北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)」の作業部会が7月16日までにまとめた評価報告書によると、太平洋のクロマグロの過剰な漁獲が続き、2010年の資源量が、過去最低レベルにまで落ち込んでいたことがわかりました。