【学習の手引き】 2013年度IM研究科「マーケティング論」(#1)

 2013年度「マーケティング論」の授業で事前に配布してある資料の「手引き」である。必読文献をさらに深く読む込むためのガイドとなる「質問文」である。本日は、6月中旬までの講義で使用する資料の分をアップしておいた。

2013年
<学習の参考> 5月8日

□嶋口論文:学習のためのポイント
(Q1): 嶋口の言う「仕組み(革新)」とは、通常のマーケティングとどのように異なるのか? また、それは充分に意味のある定義と思うか?

(Q2): マーケティング思想の発展過程を整理せよ。3段階で説明できるか?
 嶋口の説明とテドローの説明は一貫しているか?

(Q3): インターネットの登場によって、マーケティングの本質は変わったのだろうか? 「仕組み」(ビジネスモデル)は、われわれの現実をどの程度説明できるだろうか?

□レビット論文:文献理解のポイント
「マーケティング近視眼」を定義して分かりやすく説明せよ。
(Q1):「マーケティング近似眼」に含まれているマーケティング概念のエッセンスは何か? いまやクラシックとなったレビット論文は、その後どのようなアイデアに発展していったのか?

(Q2):「市場の定義」をどのように考えるか?
産業や商品カテゴリーの例をあげて、狭い定義と広い定義を実行せよ。

(Q3):石油産業と自動車産業は、論文発表後の40年で考え方を変えられただろうか?
変わらずにそのままだとしたら、考え方を変える障害はなにか?

<学習の参考> 5月16日
□テドロー論文:学習のポイント
(Q1): 産業革命以降の「マーケティングの歴史的な発展」を3つの段階に区別せよ。そして、時代を転換させた要因を整理せよ。(WHY?)

(Q2): それぞれの段階の代表的な企業を列挙せよ。「伝統的な企業」(OLD)は「新興企業」(NEW)にどのようにして乗り越えられていったのか?

(Q3): マーケティングの歴史に「第4段階」があるとすれば、それは何か? 現代が持つ時代的な意味は何か?

(Q4): 嶋口の説明(日本の戦後史)とテドローの説明(米国の現実)は、論理的に首尾一貫しているか?

<学習の参考> 5月22日

□岡本論文: 学習のポイント
(Q1):「技術のブランディング」を定義せよ。その効果にはどのようなものがあるか?3つの効果を

(Q2):「要素技術のブランド化」に関して、具体的な製品・サービスの事例をあげよ。また、それぞれの製品・サービスは、ブランドに対してどのようなカテゴリーの効果を与えているだろうか?

(Q3): 乗用車の「衝突安全技術」の事例で、意外と思われる実証結果がえられている。それは何か? また、その理由を推測せよ。

(Q4): 要素技術のブランディングは、ブランド拡張で希薄化が起こりにくいといる。それはなぜだろうか? 筆者のロジックを解説せよ。

□網倉・新宅論文: 学習のポイント
(Q1):自分なりに、「(経営)戦略」とは何かを定義せよ。

(Q2):「ヤマト運輸」と「北米ホンダ事業」の違いはなにか? 筆者たちの解釈(事前計画としての戦略と事後的なパターンとしての戦略)は正しいだろうか?

(Q3):自分が関与している企業(自社・事業)を取り上げて、全社戦略(どこで競争するべきか?:ドメインの選択)、事業(競争)戦略(いかに競争すべきか?)、機能戦略(各機能分野で何をなすべきか)を明確に記述せよ。

(Q4):「競争優位」を持っている企業は、競合企業とのどのような点が異なっていると考えられるか? 組織的な要因とプロセスに分けて議論せよ。

<学習の参考> 5月29日

□長崎論文: 学習のポイント
(Q1): パッケージ(Package)は、5番目のマーケティング・ミックス要素と言われている。マーケティング手段として、なぜパッケージ(ング)がそれほど重要なのだろうか?

(Q2): 長崎の実験を見て、パッケージの作り方(外側)とブランドの内容評価(内側)に、実際的に相関があると思うか? もし相関があるとしたら、パッケージのどのような側面がブランド価値(この場合は「味」)を上下させていると考えられるか? 心理学的に説明せよ。また、相関がほとんど確認できないとした場合は、因果法則が成立しないことを理論的に説明せよ。

(Q3): 優れたパッケージによって、ブランド価値が上がっているメーカーの製品例を3つあげよ。その場合は、当該メーカーのパッケージのどの部分が、ブランド価値の向上に寄与しているのか?(ヒント:視認性、差別性、独自性など)

(Q4): 長崎のもう一つの論文(拙著『ブランド・リレーションシップ』所収)に、「ブランド・アイデンティファイ」に関する研究がある。パッケージのキーとなる視覚的要素(BI)を一部分で変容させたパッケージ画像を提示して、消費者がそのブランドを識別できるかどうかを調べた実験である(授業にて配布します)。長崎(第二)論文の理論的な貢献はなんだったのか?

<学習の参考> 6月5日

□小川(2005)論文: 学習のポイント
(Q1): 消費者が行動を変える理由を、最適刺激水準理論(OSL)から説明せよ。OSLでは説明できないマーケティング現象としては、どのような事例をあげることができるだろうか?

(Q2): 小売業者が、商品をバンドル販売の方式を選択する理由を、消費者のバラエティ・シーキング行動とオペレーションコストのトレードオフという視点から説明せよ。「プレバンドリング」と「フリーバンドリング」に分けて議論せよ。

(Q3): Ratner and Kahn(2002)が提示した仮説:「公的な消費の場面では、バラエティ・シーキングの行動がより顕著になる」という観察は実感として正しいだろうか? そうだとしたら、なぜ「私的な消費の場面」に比べて、「公的な消費の場面」では購買・消費で多様性が追求されるのだろうか?

(Q4): 「属性飽和理論」とは何か? 具体的な現象をあげて説明せよ。

 
<学習の参考> 6月12日

□梅沢の書籍(2005):学習のポイント
(Q1):グループインタビューの流れを説明せよ。

(Q2):グループインタビューの結果を、どのように商品提案に反映させるべきか?

(Q3):実際に具体的なテーマを挙げて、グループインタビューを企画してみよう


<学習の参考> 6月19日

□竹内・野中(1999)論文: 学習のポイント
(Q1):製品開発における対照的な二つの方式(「リレー方式」と「ラグビー型」)を識別せよ。それぞれの特徴はなにか?また、どのような場合にそれぞれが優位性を発揮できるか?

(Q2):インタビュー(日本の耐久消費財6部門)から抽出された6つの特徴は何か?それぞれの要因が、製品開発をスピードアップすることにどのように貢献しているか?また、“ブレークスルー型”の製品開発を引き起こすのはなぜか?

(Q3):オリジナル論文の発表から25年が経過している。ふたりが主張した「(日本流の)ラグビー型製品開発モデル」はいまだに有効だろうか? 有効性に限定がつくとすれば、それはどのような環境変化によるものか? たとえば、「モジュラー型」の製品タイプであれば、NASAの「リレー方式」がより適合性が高いと言われている。その推論は正しいだろうか?

(Q4):ソニー、パナソニック、シャープの3社は、2011年度の決算で大幅な赤字に転落している。この現状を見て、竹内・野中(1999)が主張していた製品開発力の強みが、いまや日本企業からは失われてしまったと考えるのが妥当だろうか?それとも、家電製品という耐久消費財のライフサイクル特性が現状を説明していると考えるべきだろうか?

 

<学習の参考> 6月26日

□ウズニエ他(2011)図書: 学習のポイント
(Q1):「文化」を定義せよ。文化的な要素の中の一つである「象徴的生産」という概念は、近代マーケティングでどのように機能しているだろうか? 例をあげて述べよ。

(Q2):文化のダイナミックスを説明するために、著者が用いている「時間」「空間」「自己―他者」、「相互作用モデル」「(他者に対する)態度」という分類概念は、国際マーケティングを実行する上で有用だろうか? もし有用だとしたら、どのように有益だろうか?

(Q3):ホフステッドの5つの文化次元は、日本国内の地域文化的な差異を説明することができるだろうか? たとえば、「関西人は、交通ルールを守らない、百貨店でも値段交渉をする」など。