日本経済新聞(11月26日号)に、特許庁が商標法を改正すると紹介されている。色や音などを保護しようとする動きである。わたしが元委員(04~05年ごろ?)を務めていた「商標制度委員会」では、報告書にこのことを盛り込んだ。08~09年度の小委員会でも同じ結論に達したらしい。
あれからずいぶんと時間が経過して、実際的に、コカ・コーラやヤクルト(2010年)のように、デザイン(ボトル)が商標登録できるようになった。今度は、音(聴覚)や色(視覚)など、五感(味覚、触覚、嗅覚)を登録の対象にしようとする方針である。
背景の事情は、TPPへの事前対応である。米国はかなり商標として登録できる対象が広い(例えば、サロンパスのミントの匂いなど:日経の記事参照)。なので、法改正は実現しそうである。
記事に引用されている意見のひとつ(「音や色など保護対象にすべき」)は、かつてのメンバー(04~05年ごろ?)だった小川がとくに、強烈に主張した論点である。10年ほど前では、わたしの意見は完全な少数派だった。民間の企業人(法務担当)でさえ、不思議な顔をして意見を聞いていた。
ブランド論的に言えば、商品イメージの差別化に寄与している「識別子」(アイデンティファイア)は、商標法上ではすべて保護の対象になる。
問題は、認定の方法だろう。音(ジングルなど)は、五線紙に音符を書いて登録されている。匂いはどうなるのだろうか?香料の化学記号で表現するらしい。IT系の保護物としては、動画のアニメーションなども、商標登録の対象することになるだろう。
参考: 「Insight Inside: 音や色、商標に 特許庁が改正案」 『日本経済新聞社 朝刊』(2012年11月26日号)「