オーストラリア訪問記録#4

 誕生日の翌日に、家族から「おめでとうメール」が来た。むすめの知海は、オーストラリアは時差があると思っていたらしい。ヨーロッパとカリフォルニアしか行ったことがないから、まあ仕方がないか。


朝早くに、メルボルンの花店、VASETTE FLOWERSへ。東京の原宿のような街で、大きな店構え。原産のワラタやプロティアを、みごとにボリューム陳列している。バックヤードでは、オニソガラム(球根はちもの)を、こけ玉に入れて、ハンギングに仕立てている。球根やさんの安原さんが、アマリリスに代わる商材にならないか、しきりに興味をもって見ている。輸入のランはシンガポールから、大輪の色鮮やかなバラはケニアから。昼に行った輸入商社のWAFEX経由で、1本80円で調達している。小売りでは、200円前後で売られている。
 全体的に値段は高めなのだが、演出がうまいから、高く感じさせない。ひとり、日本語の上手な男子店員さんがいた。青森で研修をしていた若者だ。この店は、従業員約30人。年商約3億2千万円。たぶん半分はイベントや業務用だ。店売りは、日販で50~60万円とみた。賃料は安そうだから、これで十分にもうかるのだろう。

 午後は、ワイナリーの近くにある鉢もの生産者へ。プロティアフローラ社。日本へは、母株を送っている。完成品は、植物検疫で輸出が難しいらしい。品質はかなりよいと見た。管理レベルが高い。谷間から風が吹き上がってきて、ブリーズが爽やかだ。人間に気持ちがよい場所は、植物もよく育つ。世界三代美人産地国は、中南米のペルー、コスタリカ、コロンビア。みな、雨が少なく、乾いた高原の地で美しい花が咲く場所だ。紫外線も強い。

 さて、メルボルン港に、スピリッツ・オブ・タスマニア号がすでに入船している。出航は午後7時。乗船時間が迫っている。10階建ての船。わたしたちは、7階の部屋に泊まる。わたしはツインにひとりだ。