本日、フラワーバレンタイン推進委員会が開かれる。議論になりそうな案件がひとつ。それは、2011年から二年間使用してきた「店頭ポスター」の基本デザインを変更すべきかどうかで、委員の間で判断が分かれそうなことである。
昨年までのポスターは、主としてキャンペーンの参加企業(JFTD加盟店の小売店を含む)の店頭に貼られていた。タグなどのキットと一緒に、参加小売店には事前にポスターが配布されていた。ただし、貼るか貼らないかは、小売店に任されている。
ポスターのデザインは、恋人ふたりが向き合っているピンクの色調である。初年度は、ふたりの距離が離れていたが(笑)、若者(男性)が花束を抱えて、女性にそれを渡そうとタイミングを見計らっている様子をモチーフにしたポスターだった。
さて、来年度(2013年)に向けて、ワーキングチームが最終段階まで残してくれた案はふたつだった。ひとつは昨年度のものを踏襲したデザインである。もう一案として、「少女マンガちっくな昨年までのとはちがって、ややおとなっぽくデザインしたもの」(小川典子リーダー)を用意していた。
ワーキングチームの多数は、後者の案を支持している様子だった。前回の会合(7月)でも、今回の最終候補案と似たようなふたつの案が残っていた。それぞれの案を修正したうえで、本日のフラワーバレンタイン推進委員会に並べて提出されるらしい。
議論のポイントは、デザインの基本を踏襲すべきか。それとも、人物も含めて、デザインに変化を求めるどうかである。最終決断は、それほど簡単ではなさそうだ。
<これ以降は、委員会の終了後に書いています・・・>
いろいろと議論があったが、最終的にはワーキングチームが推奨した案(多少の変更あり)が採用になった。今年のポスターでは、基本デザインのテイストを変えることになったわけである。
デザインの継続に賛成した委員のロジックは、「ややべたな感じであっても、店頭でよりインパクトがあって目立つ方がよい」、「3年くらいは、同じようなモチーフ(人物)を使ってテイストが似通ったポスターにしたほうが一貫性がある」などであった。
たしかに、その通りだろう。わたしも、基本的には、デザインの継続を主張する意見に賛成であった。しかし、基本デザインや登場人物の属性をいじった案も、捨てがたいとは思っていた。遠くから見ると、コピーの文字が小さいのに、第二案のほうが視認性が高そうだった。落ち着いていて、シンプルなのである。
どちらのポスターでも、背景色となるピンクの色合いは共通である。キャッチコピーも、来年度の「フラワーバレンタイン、はじまっています」は、昨年度までのコピー(「本物のバレンタイン、はじまっています」、「新しいバレンタイン、はじまっています」)とよく似ている。一貫性は担保されている。
ワーキングチームの説明を聞いて思った。彼らがデザインのテイストを変えたいと思った理由は、ふたつあるように見えた。
一番目には、ポスターを受け取った花やさんから、「(わたしたちが)貼りたいと思うデザインにしてほしい」という要望が出ていたこと。これは、事後調査のフリーアンサーに10件ほど出ていたらしい。センスのよい花屋さんからしてみたら、「べたな感じ」が貼りにくい理由なのだろう。
二番目は、これはわたしの想像なのだが、ターゲットが20代~30代の男性であるにしては、ポスターのテイストがやや子供っぽいことだろう。さらに言えば、ワーキングチームの押している第二案は、MUJIの広告に出てきそうなレイアウトの色遣いになっている。
よく言えば、都会的である。シンプルでセンスがよい。悪く言えば、おとなしめで、ややインパクトに欠けるかもしれない。第一案を支持する委員の意見の中に、「参加企業には田舎の花屋さんもあるので、花束も多色で文字が大きく目立つほうがよいのでは」というのがあった。
以下は、わたしの感想である。解釈はちがっているかもしれないが。
似たような事例に、昨年度(2011年春)、スターバックスがむかしから使用していたロゴを変えた事例がある。人魚姫(セイレン)だけを残して、「STARBACKS COFFEE」の文字をロゴマークからは消去したのである。「いまやスタバはCOFFEEだけを扱う企業ではなくなった」という認識が、多くの経営陣の中にあったからだろう。
事業領域を変えようと思った時には、当然のことながら、経営者は社名やロゴマークを変えようとする。トップの意思である。だから、今回のデザインテイストの変更も、キャンペーンの性質を変えたがっているワーキンググループの意思だとわたしには読みとれた。
わたし自身の意見はあるにしても、実際にプレイしている選手たちのやりたいようにしてあげたいと思ったわけである。WT内でも、さんざん議論を戦わせたのだろう。
思うに、MIJI(無印良品)を利用するような男性を、フラワーバレンタインのイメージターゲットにしたいのでは?視認性よりも、花を贈ろうとするときの心理のシンプルさを表現したかったのでは?花を贈る行為は、大人がふつうにすることで、決して大げさな出来事としては場面を描きたくない?
わたしの解釈は正しいだろうか?二番目のデザイン案を選んだことは、この先のフラワーバレンタインのキャンペーン活動に大いに影響するように思う。世の中の現実を見ると、案外と形式が意識を作り出すものだから。