「ワークスタイル・ファッションショー」のスポンサー企業は? アローズやLEEではなく、ワークマンやカインズ、ハニーズがおもしろいのでは?

 杉野さん(カオティック新宿社長)と「作業服のファッションショー」で盛り上がったのは、一週間前である。本日は、ヘアカットのために田谷九段店にお邪魔した。担当はいつもの半澤美和さん。杉野社長からプレゼントされる特注品のシザーケースは、半澤さんに行く。


 
 ワークスタイルとは、ガテン系の作業着(ファッション)のことである。ユニフォームの対象となる仕事は、たとえば、女性ならば、美容師さん、花屋さん、パンやさんで、道具を使う「立ち仕事」。男性ならば、とび職、大工さん、料理人(寿司職人)など、手に職をもって働く「汗をかく職業」。
 こうした職業には、典型的な作業着(ユニフォーム)が存在する。そして、仕事中はいずれも、特徴のある道具や工具(ツール)を使用する。ハサミやのこぎり、金づち、ペンチなど。道具も材料も制服も、考えてみるとホームセンター商材である。
 杉野社長との会話の中では、ユニフォームの提供は、ユナイテッドアローズやLEE(デニム)のような、プレミアム・ファッションブランドをスポンサーにしたらよい。そのように合意が出来ていた。一週間前まで、わたしもそのように考えて、コラボ組織の組み合わせなどを空想していた。
 
 ところが、本日、半澤さんにカットしてもらいながら話し込んでいるうちに、気持ちが変わった。冷静になって、ファッションショーの実現性を考えてみると、ブランドメーカーを組織したり、商品の開発や協賛を依頼するのは、かなりハードルが高そうなのである。
 であれば、むしろ、ファッションショーのスポンサー企業は、既存のブランド企業ではなく、ガテン系の職業人に対して、現在でも商材を提供している量販店が適当なのではないのか。ブランドを活用するのではなく、新しいファッションブランドを創造していくべきだと、宗旨替えをした。

 考えてみると、わたしの周りにその候補企業がいるではないか。ホームセンターや実用衣料を扱うチェーン店。例えば、同族企業だが、ホームセンターのカインズや作業着のワークマン。カジュアル衣料品のハニーズやユニクロなど。
 これらの店舗には、作業着や道具の日常的な使用者がたくさん来店している。顧客ベースがすでにある企業ばかりだ。足りないのはデザインと、「専門的な」というブランドイメージである。
 しかし、ガテン系の作業着のデザインが「かっこよく」なれば、こうした企業が販売するツール(道具)やユニフォーム(作業着)も素敵に見えるはずだ。ふだん扱っている「マス商品」とは別に、専門品を開発して、ショップを設ければよい。販売する商品は、カスタマイズや特注ができるようにするのだ。ホームセンターやファッション衣料品店に、店内コーナー展開をしてもよいだろう。
 若い女子にとっても、とび職や大工さん、農作業(ファーミング、ガーデニングのスタイルで!)のワークスタイルがかっこよくなれば、ガテン系の仕事に若者が誇りを持つことができる。彼らがしばしば行く店のセンスもよくなるはずだ。それならば、メーカーも乗ってきそうな話である。

 素敵なデザインの作業着(ワークスタイル・ユニフォーム)やツール(ハサミやシザーケース)を見せびらかす(英語では、show-off?)「ワークスタイル・ファッションショー」は、新製品の発表とトレンドの発信の場所になる。
 タレントさんのなかには、ガーデニングや工作が好きな人は多い。きっと、ファッションショーのスポンサーになるカインズやワークマンの株は上がることにまちがいなしである。
 ファッションショーの支援をしながら、新しいワークスタイルをテレビCMで打てばよい。そのうちに、若者のストリートファッションが「ワークスタイル」に変わっていくこともあるだろう。
 米国発のジーンズは、もともと農作業着だったという説もあるくらいだ。日本発のとび職ファッションや、すし職人スタイルがあってもおかしくはない。この発想は、ちょっと飛びすぎているだろうか?