欧州の経済危機にも関わらず、オランダのフラワーオークションの業績は改善している。フローラホランド市場から送られてきた「ニュースレター」(2012年7月)によれば、「花き類の供給減ー7%、価格上昇+12%、取引額+6%」となっている。
オランダのフローラホランド市場から、月に一回、ウエブ版の「ニュースレター」が届く。このメールマガジンは、グローバルな花産業のトレンドがよく分かる構成になっている。7月号のトップニュースは、「half year」(半年間の成果)というタイトルで、フラワーオークションの価格が上昇したということを明るく伝えていた。
「フローラホランド市場、2012年前半の成果」 オークション価格が+12%上昇、市場取引額が+6%アップである。この間に、オランダ市場への切り花の供給量は、-7%減少している。欧州の経済危機にも関わらず、オランダのフラワーオークションの業績は改善しているのである。「半年の成果」と題したトップ記事の内容を、簡単に訳してみる。
2012年の前半は、フローラホランドに出荷している多くの生産者にとって、きわめて良好な結果となった。 期待以上の成果だった。市場の販売額は、2011年に比べて、全体で+6% アップ(切り花は、+7.8%)。切り花の平均価格は、前年度比で+12%上昇した(輸入切り花は、+13%)。ただし、市場への切り花の供給量は、前年とくらべて-7%だった(輸入は-6%)。代表的な品目について、輸入切り花の供給量とセリ価格がどのように推移したのかを示す。なお、2011年度に対する比較データは、オークション価格だけについてのものである。
添付のリスト
「フローラホランド市場」(2012年第一週から第26週まで:2011年に対する比率)
品目 供給源(国産・輸入・合算の別) 供給量の増減 価格対前年比
アスター 合計 -20% 27% *
スプレイカーネーション 輸入 -11% 15% *
スプレイカーネーション 国産 -19% 9%
デルフィニウム 輸入 -16% 39% **
ユーカリ 輸入 -8% 29% **
トルコキキョウ 合計 -8% 27% *
カスミソウ 輸入 -16% 21% *
ヒペリカム 輸入 -15% 28% *
リュウカデンドロン 輸入 -24% 19%
オニソガラム輸入 -19% 19%
バラ(大輪) 輸入 -4% 9% **
バラ(大輪) 国産 -16% 9%
バラ(中小輪)輸入 -26% 12%
バラ(中小輪)国産 -39% 21%
ソリダコ 輸入 1% 35% **
ワックスフラワー 輸入 5% 29% **
注釈:*は、供給量減少が価格上昇によって相殺されている品目、**は、さらに、供給減で価格が二倍を超えて上った品目。
結論:経済の不安定さを考慮すると、われわれは良好な半年を迎えることができた。この先も、楽観的に将来を見通すことができると考えられる。**は、輸入の草花類が多いことがわかる。
<解説>
オランダのオークション価格は、軒並み2ケタ上昇している。供給量が10~20%ほど減少したからである。根本的な理由は、天候不順(供給不足)と採算性(ユーロ安)である。ユーロ安がEU域内での物価を押し上げている。日本は、同じ時期に、切り花の価格が暴落している。春先から夏場に供給量が増えたからである。冬場のエネルギー上昇を想定した生産者の対応を反映している。基本的には、円高で輸入物価が安くなっているからである。国内の生産者は、欧州との事情とは逆に、価格面で不利な立場に立たされている。来年にかけて、輸入切り花はさらに増加すると思われる。