わたしは餡子が大好物である。かみさんはケーキが大好きである。甘いものといえば、「女子は洋菓子、男子は和菓子」に決まっていると思っていた。ところが、わが奥さんがあるときを境に、それまで目もくれなかった餡子もの(羊羹、桜餅、柏餅、アンパンの類)に手を出すようになった。
周囲の女性(>50歳)に聞いてみると、たしかに皆さん、若いころのケーキ(洋菓子)一辺倒から、全面的に羊羹や桜餅・柏餅に転向しているようだった。先日の授業(経営大学院「マーケティング論」)で、小川仮説とわが奥さまの「和菓子転向話」を紹介したところ、教室にいた数名の女性から賛同の返事をいただいた。
本日の早朝、個人のインスタグラム(ID:wanwanwansuke)に、昨日訪問した江東区南砂町の「ナカヤパン本店」の店頭の写真を紹介した(https://www.instagram.com/p/CO6SljggtvI/?igshid=hh7goeejdegb)。ナカヤさんは、テレビ東京の名物番組「アド街ック天国」でも紹介されている「アンパンの名店」である。アンパンの餡子部分が、全体の重量に対して7~8割を占めている。
ナカヤさんのアンパンは、「日本一の皮が薄いのよ(餡子だらけ)」と、その昔(約45年前)に「ナカヤパン立石店」でアルバイトをしていたかみさんの言葉である。しかし、わかいころの彼女は、アンパンを自慢はすれど、わたしのように目じりを下げて、アンパンを喜んで食べていたという記憶はない。
ところが、「ケーキ命」のお方が、45歳で大変身を遂げることになる。ナカヤさんのアンパンはもちろんのこと、わたしがお土産にもらってくる虎屋の羊羹にも興味を示すようになった。新緑、夜の梅、おもかげ、虎屋の羊羹とかみさんの間に何が起こったのか?
不思議に思って、周囲の50歳代~60歳代の女性に聞き取りをしてみた。そして、ネットをサーフィンして、家計調査年報などで文献なども調べてみた。証拠があるではないか! ヒアリングをかけた女性のほとんどが、小川仮説に賛意を示してくださった。そして、全菓連の「お菓子何でも情報館」の調査(家計調査年報ベース:2000年、2010年、2015年、2019年)を見てみると、世帯主年齢別の菓子消費で、年齢が上がると和菓子の消費が増えるというデータが明らかにされていた(http://www.zenkaren.net/_0800)。
たとえば、菓子類全体の消費は、家計調査の年度に関わらず、「40~49歳」が最大の消費額になっている。ところが、菓子の種類別になると、少し傾向は異なってくる。羊羹、まんじゅう、他の和菓子(アンパンなどもここに入るのだろう)、カステラは、50歳代から消費が急に増える。それに対して、ケーキ、プリン、他の洋菓子は、「40~49歳」をピークに、消費量は急激に減少する(他の洋菓子のみピークは50歳代にある)。
ちなみに、せんべい(和菓子)は、右肩上がりで消費量が増えていく。それに対して、ビスケットは、やはり消費のピークが「40~49歳」である。もちろん、消費量の絶対的な傾向は、いまだ洋菓子に軍配が上がる。時代的には、いまだに洋菓子の消費が増えていることはまちがいない。ただし、年代別の消費にみると、和菓子はU字型、洋菓子はカップ型になる。
こうした嗜好の変化は、若いころにはケーキ一辺倒の女子の方が顕著であることは、客観的なデータで確かめられている。それはどうしてそうなるのか?エイジング(加齢)や健康志向(意識的な嗜好変化)が、女性の45歳和菓子転向説を支持している。
たとえば、明らかに和菓子は、洋菓子に対してカロリーが約半分である(「世界に羽ばたく日本の食文化: 和食のつぎは、和菓子でしょ。」本ブログ2014年1月7日)に、「タニタの摂取カロリー表」が出ています(https://kosuke-ogawa.com/?eid=2867#sequel)。同じ甘味が欲しいとすれば、肥満予防を考えると油脂分が少ない和菓子に軍配が上がる。和菓子(主原材料の小豆)には、ダイエット効果があるとする研究もあるくらいである(「あんこコラム」https://www.anko-shop.jp/user_data/column_detail.php?id=129)。
というわけで、世の中の女性陣は、自然に健康な和菓子に向かうのだという結論になる。また、データ的にも、小川仮説「女性は45歳を境に、洋菓子から和菓子へ好みが変わる」は正しいということが分かる。直観から導いた仮説ではあったが、データ的に仮説は支持されたようだ。
ブログ読者の皆さん(40代から60代の女性)は、どのような体験と感覚を和菓子と洋菓子に対してお持ちだろうか?そんな個人的な体験を教えてください。