コロナ2年目の「母の日」、好調の要因

 昨年5月に、わたしたち(「花の国日本協議会」のチーム)が提唱した「母の月」(Mother’s Month)は、いまだ定着できていないようだ。周囲を見渡すと、母の日3日前の店頭の混雑の様子からは、花業界のブラックさがそれほど改善されていないことが確かである。実際のところを、再度インタビューしてみたいとは思っている。

 

 本当のところは、すこし母の日前の働き方や、当日の店頭での販売方法が変わったのかもしれないからだ。確認の必要はあるだろう。近日中に、電話取材をしてみたいとは思っている。

 母の日(5月9日)が終わった直後の「JFMA理事会」(5月12日:20名参加)と、その翌々日の「MPSオンラインサロン」(91名参加)で、コロナ二年目の母の日を総括することになった。オンラインになってから、JFMAやMPSが主催する会議やセミナーに参加する会員(非会員)が随分と増えていると感じる。

 リモートワークの効用である。全国に会員が散らばっているわれわれのような団体にとって、移動時間と交通費・宿泊費がゼロのオンラインセミナーは、会員との情報交換にきわめて有効である。そのことは、昨年からはじまった「フラワービジネス講座」のオンライン教室でも同じことが言えることだ。

 全国から顧客が呼べるコンテンツと講師陣を揃えると、セミナーへの集客は従来と一桁ちがう人数を見込むことができる。わたしたちの会の運営において、情報発信面でも収益確保の面でも、いまやリモートセミナーは必須である。

 

 ところで、JFMAの理事会には20名が参加して、理事会が終了してからの時間(こちらのほうが会議よりも長かった)に、「今年の母の日」について情報交換を行った。MPSオンラインサロンのほうには、91名が参加していた。一時は、申し込みが100名を超えそうで、会社から一人、スマホとPCの同時接続を禁じるなど、盛況ならでは規制を行っていた。

 松島さんのJFMA理事会のメモから引用すると、「テーマは、母の日の振り返り。市場からは 樋口氏(東日本板橋花き)、橋本氏(名港FB)、山中氏(兵庫県生花)、小田氏(福岡花市場)、 小売からは、大瀧氏(日比谷花壇)、拝野氏(青フラ)、藤本氏(ランドフローラ)、矢澤氏(カイン ズ)からの報告になっていた。

 結果はつぎのようにまとめられていた(松島さん、適当に編集して引用します!)。

 

・花屋さんの店頭の売上は、好天にも恵まれ良かった。2019年比で+110~120%。

 東京では、周辺部(高円寺、八王子、練馬、新越谷等)で好調(+140~150%)。ECを持った花店が好調。

 客単価が上昇。花店/HCも値段が高いものから売れていった。

・自宅用のお客様も多かった。

 洋花は、カーネーション、バラ、リシアンサスが品不足。シャクヤクが良く売れた。

 鉢物ケーネーションが品不足。セリは異常な高値。アジサイは好調。

 ホームセンターは、切り花:前年比120%、鉢物は、前年比160%。園芸用品は前年比150%。

 

 5月20日発売の「JFMAニュース」(巻頭言)で、わたしは以上の結果(2021年、コロナ禍での母の日の販売好調)をもたらした要因をつぎのように分析している。

 今年の母の日に、売上が伸びた基本要因は、①ホームユースの定着と、②新しいサービスの登場である。JFMA理事会とMPSサロンでの意見を集約すると、コロナ禍で花や植物に対する生活者の態度が変わったからである。花の存在が再評価され、園芸が見直された。
 花が「必需品」に復帰したのである。これまでは花には目もくれなかった若者層や、花離れが激しかった若い女性が花屋に来店している。サブスクで花の良さに目覚めたグループも多かった。母の日は、伝統へ回帰した。定番の赤のカーネーションが高値で売れていた。カーネーションの鉢物が品薄で高値になっていた。
 象徴的な出来事は、赤いカーネーションが売れたこと。そして、「花より団子」を忘れて、人々の気持ちが花に向かっていたことがなによりの証拠だった。

 

 

 なお、6月の定例セミナー「お花屋さん活性化セミナー」が、6月15日(ZOOM開催)に実施される。

 ①テーマ:コロナ後のマーケティング ~ コロナ後のお花の売り方は?

 ②講演:「コロナ後のビジネスモデル」 小川会長

 ③パネル テーマ:コロナ後の花の売り方は?

  コーディネーター:小川会長 パネラー:樋口理事、野田理事、宍戸氏(大田花き)

 

 以上、zoomセミナーなので、会員以外も参加は自由である(100名以下の場合は、のはずである)。