【講演レジュメ】「流通業のこれからの戦い方」(流通イノベーションフォーラム)7月13日(金)

 フューチャーアーキテクト主催の「流通イノベーションフォーラム2012」で特別講演をすることになった。テーマは、「流通業のこれからの戦い方」である。この数か月、取材や学生指導、セミナーの司会者として得た知見をフォーラムで紹介する。聴衆は200人を超えているらしい。

 【講演レジュメ】流通イノベーションフォーラム2012
特別講演「流通業のこれからの戦い方」2012年7月13日(金)
法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科教授 小川孔輔

0 はじめに
(1)今年3月19日、ある講演会での結語(メッセージ)
・財(モノ)を対象とする調査事業だけでは先が見えている。
・現代のビジネスリスクとは、「何もしないこと」にある。
(2)個人的なビジネス体験から
・花産業の事例からの教訓
 事例0-1 ヤオコーの鮮度保証販売
 事例0-2 物流会社「ムロオ」(本社:広島)の実践
 事例0-3 花業界の取り組み「フラワーバレンタイン」

 教訓1: 常識は疑ってかかるべし、やり方ひとつで常識は覆る
 教訓2: 消費者にとって喜ばしいところに、ビジネスチャンスがある
 教訓3: 行動観察とパフォーマンスの組み合わせで収益はあげられる

1 消費者行動の変化: 顧客意識の変化と購買行動の観察
(1)JCSI(日本版顧客満足度指数)の調査システム開発の経験から
 2011年度 JCSI(顧客満足度)ナンバーワン企業の特性
 ・事例1:「オルビス」(通販部門第一位)
 ・事例2:「スターフライヤー」(長距離輸送部門第一位)
 ・事例3:「劇団四季」(エンターテインメント部門第一位)
(2)サービスと財は、顧客満足を生み出すための共同インプット
 顧客満足の構図:3つのモード
 ・メーカーの顧客サービス
 ・小売業における顧客満足度
 ・サービス業の対顧客戦略
 サービス・プロフィット・チェーン
 ・ES(従業員満足)とCS(顧客満足)を連動している

(3)企業の長期的な成長は、定期的な事業構造の見直しを求める
 ・ポイントは、顧客サービス提供による付加価値の創造

2 購買行動に対する科学的アプローチ
(1)  「行動観察」の重要性
 事例2-1: ロック・フィールド
(2)  B2B企業におけるCS向上
 事例2-2: 日野自動車の販社CS測定の副産物
(3)  新しい流通ビジネスモデルの発見は「店頭実験」から
 事例2-3: クロスカンパニー(岡山)
(4)「食のSPA」(製造小売業)はどこで生まれているのか?
 事例2-4: サイゼリヤの挑戦

3 流通サービス業の戦い方
(1)顧客体験の上手なネジメント
(2)マーケティングとマネジメント
(3)ハート&サイエンスの両立
(4)効果(売上増)と効率(コスト低減)
(5)チャネル・スチュワードシップの確立