南アルプスの秘湯(奈良田温泉別館 源氏の湯)から

 南アルプスの秘湯にいる。車がすれ違えない、小さな部落の細い一本道を走ったドンツキにある静かな温泉である。奈良田温泉別館、十谷上湯(源氏の湯)。昨夜の宿泊客はわたしを入れて4組だけ。わたし以外は年寄りの夫婦ばかり。



 お料理は、典型的な山の献立。岩魚の塩焼き、鹿肉のおさしみ、山菜の天ぷら(たらの芽)。ほうとう風のスイトン。寒いので、地酒の熱燗をお願いしてみた。南アルプス(北岳)が冠雪するくらいなので、部屋の中がひんやりとしている。宿泊客は、まだ石油ストーブのお世話になっているくらいの気候だ。

 露天風呂は混浴だった。お一人さま限定の吊橋をゆらゆら揺らして渡らないと、露天風呂に入れない。脱衣所だけは別々だが、中に入ると男ばかり10人ほど。
 バイクツアーの立ち寄り客だろう。上りでもヘルメットのお兄さんたち数組とすれ違った。岩風呂の近くを滝が流れている。勇壮な谷あいの湯である。切り立った山が、露天風呂の際まで迫って来ている。

 昨日は、笛吹桃の里マラソンを走った。20、5KM。中途半端な距離だが、高低差が200Mもある。行きの10KMは、ほとんどが上りで、アップダウンがすごい。
 5年ぶりに参加したのだが、5回目にして初めて、桃の花が咲いてないコースを走った。タイムは、1時間49分03秒。壮年40代以上男子259位(709人中)、総合426位(1287人中)。
 これで8週間連続で公式レースに出ている。来週は、東京大田区の10KM。6月末までに、16週間分をエントリー済みである。

 桃の里マラソンは、冠雪の南アルプスを望みながら走った。ゴールしてから、北岳の勇姿を写真に撮ろう思っていたが、走り終わったら忘れてしまっていた。残念だった。宿についてから、写真に納めよう。
 しかし、到着してみたら、当たり前のことに気がついた。ここは南アルプスのふもとではない。すでに山中なのだ。冠雪の山並みは撮影できるはずがない。登山道の入口が、この秘湯はあるのだった。うっかりものである。

 さて、朝の6時である。朝風呂に浸かりに行くことにしよう。
 まじめに働く都会のビジネスマンには申し訳ないくらいだ。秘湯の手前に、かじかの湯、という部落民の共同風呂があった。川音がうるさいくらいにはげしい。
 タオルはどこだろう?もう乾いているかな。