2012年度JFMA新春セミナー・パネルディスカッション「わたしたちは、いまどう変わらなければならないか」(メモ)

 2012年新春セミナーのパネルディスカッションでは、若い生産者が二人(折原くん、富樫くん)と、小売店チェーン「モンソーフルール」のオーナー(柴崎くん)が登壇してくれた。司会だったので、手元にメモが残っていない。ただし、松島さんがいつものように記録をとってくれていた。

 以下では、わたしの記憶にしたがって、松島メモに肉付けをしてみた。昨日のパネル討議は、パネラーが若いことと、同じ部門から複数のパネラーが登壇していたことが特徴だった。
 モンソーの柴崎くんは、なんと29歳だった。わたしの年齢の半分以下!である。頼もしいぞ。若者たちはmm

 「JFMA新春セミナー」(パネルディスカッション PM16:10~17:15)

 小川(JFMA会長):
 テーマは、「2012年の花き業界を占う われわれはどう変わらなければならないか」である。
花産業の各部門から、今日は2人ずつ参加していただいた。生産者がふたり、チェーン店から2名ずつ。これはきわめて、珍しいjことだ。たとえば、小売店の店舗のカラーをイメージして。イメージは、モンソ-:ネイビー、青フラ:オレンジ。際だった複数の店舗が、色で表現されるようになれば、花のチェーン業界も一流の証である。そうなってほしい。

 まず、自己紹介をお願いしたい。今取り組んでいることと一緒に。
 (当日の講演者二人は省略、ハウステンボス特別顧問、宮川さん、モンソーフラワーの柴崎さん)
 
藤澤(FAJ社長)
 60歳である(小川と同じ年!)。何も考えていない?(笑) これまでの経験で、いろいろあり過ぎた。今日は、阪神大震災の日。社員には、「元気でやれ」が合言葉である。花の市場は、いまや利益が取れなくなっている。とくに、鉢物が厳しい。切花はまだ良い方。
 出荷する方も買う方も商いが小さくなっている。カット、効率を真剣に考えていく時代になった。しかし、全て明るい話題に振って行くようにしている。売上は期待していない。2011年は、対前年比で、売上95%。経費を10%カットしている。

小川(コメント) 増収増益はよいが、増収減益は大変である。

井上(青山フラワーマーケット社長)
 (花き産業振興室長の綿谷室長の報告を受けて、) 年末、北海道から九州まで回った。青山フラワーマーケットの店頭では、若い男性が花を買っている姿をみた。しかも20時以降では、半分が男性である。間違いなく、男性客が増えてきている。男性は花を選ばなかったが、自分で花を選ぶようになってきた。
 この動きをフラワーバレンタインにつなげていきたい。売り損じしないように仕入れていこう。なお、自社の秋葉原店では、45%が男性客だった。 
 TEAハウス(青ふらのカフェ)は、テレビで紹介されてからは、行列できるくらいだ。感度の良いディベロッパーがいて、角に花屋を配置してくれた。わが社は、増収増益である。

折原(折原園芸)
 房総で、規模の大きな若手生産者である。温室が4700坪、露地を1ヘクタール経営。

富樫(新潟のバラ生産者)
 新発田でバラを生産。1977年生で34歳。50%をバラ切花生産で、50%がバラの苗を生産している。栽培面積は2400坪。毎年新品種50品種位を試作している。異業種の付合いが増えている。菓子店や電気工事屋とのコラボをしている。何をと思われるかもしれないが? 

小川(コメント)
 電気工事屋さんは、住宅に入り込んでいる。わたしの弟子でも、営業ネットワークで販売しているので、花・観葉植物とコラボも可能ですよ。

 次の海外調達について議論をしてみた。

小川
 皆さん海外経験者です。日本の生産者の状況を、そして海外をどのように見ていますか? わたしは、すでに日本も国産と海外産の切り花は、棲み分けの時代に入った、と思っています。

宮川
 中国青島で4万坪で菊などをいまでも栽培している。すでに10数年。しかし、ようやく事業として成り立ち始めた。利益率が39%。5年は赤字、6年目から地元に任せていいものだけ買うようにした。そそして、黒字に転換した。

柴崎
 海外ものを毛嫌いの傾向があった。しかし、最近では、海外も良い物はよい。日本は高級を求めて行けばよい。 高い物は国内産で、外に置いてある手ごろな花は輸入物。

小川
 フランスから、花店のブランドを持ってきたメリットは?

柴崎
 日本人は舶来モノが好きだ。システムとしては50年の歴史がある。そこが魅力だった。

藤澤
 花でも野菜でも国がなくなってきている。20~25%は輸入である。葉物は80%が輸入に代わった。輸送技術が進んでいる。地球が狭くなっている。それは、コンピューターの発達と歴史的な円高による。昔、ユーロは180円だったが、今は100円。もっとも、逆に触れることも心配ではある。
 輸入増加で、国内生産者が心配である。高齢者はどんどん辞めている。花屋も高齢者が辞めている。チェーン店、量販は大きくなっていく。
 鉢物に関しては、最終製品(ラン、シンビジウム)の輸入が出てくるのではないか。コストが合えば、やれる。胡蝶蘭は台湾や中国から入っている。シンビジウムも、中国で作って入っているのでは?

井上
 今回、海外移住を考えたので、NY、サンフランシスコを廻ってきた。オーガニックなんか当たり前で、マルシェ(市場)では、「ローカル」が流れ(トレンド)となっている。目の前の畑から買ってレストランで出すなど。
 量は少なくても良いモノを買う。「見る花」と「見られない花」とがある。たとえば、スタンド花は、みなさん見ていない。その一方で、お花を自分でお金を出して買うひともいる。バラが1輪あれば良い。輸入では厳しい。ちょっと高くとも国産で、感動する花に価値がある。
 水でも国産を飲みたい。ローカルを大事にしたい。
 
小川
 国産と輸入ボルビックの価格は変わらない、ですよ。それは、国内の物流コストが高いから。
 井上さんが言った流れは、CSA(コミュニティ・サポート・アグリカルチャー)と言います。日本では、昔から「提携」という名前で呼ばれてきた。それが、いまや欧米で言われだした。

折原
 2年間アメリカに行っていたけど、日本が好き。千葉が好き。今のところは地道に、輸入が入ってこないもの(草花やハーブ類など)を生産している。南房総は暖かいので、それを生かしたい。

小川
 アメリカでも、最後まで残るのは、草花(ひまわりやケイトウなど)、球根切り花。

富樫
 可能なら国内でやっていきたい。バラ栽培=エネルギー依存である。電気と油をたくさん使う。10年前にオランダに研修でいた。機械化農業で収量を上げる方法を見た。環境対応を見てきたので、MPSに日本でも加入した。でも、人と同じことはやりたくない。
 
宮川
 青島の経験。朝早くから、タイムカードに並ぶ様子を見た。それで、中国人にオペレーションを任すことにした。自分たちで農場を経営しないで、「1本いくらで買い取る」(出来高制)に変えたら、夜中でも家族を連れて仕事している。
 最近は、輸入も商品になっている。60%は葬儀用で、花を使わなくなっている。トルコは高い。輸入で、花の裾野を広げる意味がある。その場面に輸入物も活用していく。かといって、海外も爆発的に増えるとは思わない。設備、資金力がないと花の栽培はできない。

 さらに、小川が坂崎さん(育種家:彦根在住)を指名して、、

坂嵜 今日の出席者はほとんど都市の人。日本には、地方もある。日本経済や農業がどうなっていくか。この場は、花を「都市のひとの感覚」だけで議論している。ように思える。日本の地方(生活)をどのように考えるのか?

小川 都市と田舎の関係について、議論をしてみよう。ご意見を。

宮川
 HTB(ハウステンボス)は、正に田舎です。東京から飛行機の便が少ない。だから、来るための交通費も高い。それでも人は集まっている。なぜか?
 花がある場所を作ればやれる。花だけでは駄目だが、何かくっつければ、(地方でも)採算は取れるものだ。

柴崎
 仙台ですでに2号店を開いた。地方都市の力強さがある。とくに仙台は、前年比130%(復興景気も入っている?) 地方にも商店街に花屋があって売れている。しかし、会津にモンソ-は売れない。地方はお金を出して買ってくれないからだ。

藤澤
 フラワーバレンタイン、今年はこれだと思っている。セリ前にFVを言わせている。5年、10年のスパンでやっていけばものになる。わたしたちには、大きなチャンスだ。 
 今このチャンスを逃したらもう花き業界は駄目である。去年、チョコは1個しか来なかった(会場から(笑))。もう、チョコは終わりだ。朝起きたら「フラワーバレンタイン」と言って欲しい。

小川
 FV(フラワーバレンタイン)も、地方でのイベントが始まっている。

折原
 南房総では、花育もやってきた。花組合が中心で、予算を出してもらう。1週間で企画を決める。公民館は、花育教室で、人がいっぱい集まった。フラワーバレンタインをアピール

小川
 今年はそうした話を良く聞く。

宮川
 HTB(ハウステンボス)に畑を作れ、宮川社長に言われている。畑はプロセスがあるからだ。新潟で、宿泊施設をもってワインを作っているワイナリーがある。イベントで集客できている。年間20万人。

折原
 花業界フットサル大会や地域の横の連携をしている。

富樫
 フラワーバレンタインは、素晴らしい取組みです。 生産者がもっと参加すべき。バラ業界でも呼び掛けています。新潟でも、行政にお願いして広げていくつもりです。地元の広報にも出てきている。 

井上
 青フラの従業員は、地方にあこがれている。花作りに行った人もいる。都会生活は、直線と丸の世界で、曲がったものがない。自然が綺麗だから、人工的なものがないものにあこがれるのだろう。
 田舎=花と緑があるところ、花屋が要らない生活。都会=花屋が要る世界。みずからが花と緑を置く。

小川
 今どう変わらなければには、あまり応えていないかも。わたしの決意は、JFMAを11年やってきたが(25年花をやってきた)、しかし、この産業を復活して。本気でやりたい。
 月並みな締めになったけど、新たな気持で若い人とやっていきたい!