新生JALの再上場、初値が公募価格(¥3810)を上回る

 日本経済新聞の全面広告(JCSI)では、JAL(日本航空)の植木社長に登場いただいた。再上場を3週間前に控えた先月末のことである。広告主となるはずの調査会社インテージの担当者に、「対談相手として、JALさんはどうでしょうかね」と提案したのは、インタビュアーのわたしである。

 
 これは、単なる思い付きではなかった。同社の経営指標として、JCSIの6指標(顧客期待、知覚品質、顧客価値、顧客満足、口コミ、継続利用)を、中期計画の目標値として採用したことを雑誌などで知っていた。しかも、JCSIの開発メンバーには、JALのCS担当者が加わっていたのも偶然とは思えなかった。
 したがって、昨日の株式市場は、いつになく緊張して見守っていた。予想の範囲ではあったが、初値は3830円だった。終日の価格は、ぼぼ公募価格の上下で変動をしていた。とりあえずは、「関係者のみなさん、ごくろうさん!」である。
 一度破たんした企業が、再上場に至る確率は、約5%である。どこかの経済記事にデータが掲載されていた。稲盛名誉会長の経営手腕のおかげだろう。それにしても、JALの再上場は稀有な例として経済史に残ることになる。

 このブログでは、JALの破たん後に、何度かJALの経営のことなどを取り上げてきた。興味のある読者は、以下の過去ログ(記事)を参考にされたい。きびいしいコメントも書いたが、基本的には、JALの再生を応援してきたつもりである。

2012.09.03 Monday
「新生JALの顧客満足経営」『日本経済新聞』(2012年8月30日)12面

2012.03.14 Wednesday
秋に再上場予定の日本航空(JAL)が、JCSIを長期経営目標に組み込む!

2011.01.26 Wednesday
「格安航空券の秘密」『Big tomorrow』連載第32回(2011年3月号)

2011.01.03 Monday
退出のルールと組織のモラル: 法政大学駅伝部は、ふたたび箱根の坂を登っていくことができるか?

2011.01.18 Tuesday
半年前の記事(「JAL鶴丸復活に一票」)に、アクセスが急に増加する

2010.08.20 Friday
(続)意見開陳: 破綻企業の株式再上場が続くのは良いことでは?

2010.08.02 Monday
意見開陳: 破綻JALが社員使ってCM再開(続、日刊ゲンダイ)

2010.07.30 Friday
JAL「鶴丸」復活に、賛成票を一票!投じます

 正直に言えば、この会社の再生は困難だと思っていた。稲盛さんが再生を引き受けたのは、民主党政権との関係だったはずだ。結果は、大きな見込み違いではあった。幸運な見通しの間違いでもある。
 再上場前、JALの旧株主から資産価値がゼロになったことについて不満と落胆のコメントが寄せられていた。だから、再上場の公募価格と初値がどうなるのかは、こうした世間一般の評価を反映したものになるはずだった。
 大方の予想の通りに、常識の範囲で価格が決まった。個人的には。インサイダーっぽくなるので、上場時には、JALの株式は購入しなかった。もうよいのではないか。ご祝儀相場が終ったら、記念に一口。わたし自身といえば、JALカードのプレミアム会員でもある。