本日の午後(13時半)から、法政大学大学院(新一口坂校舎)で、JFMAの新春セミナーが開催される。「JFMAニュース」の新年号に、会長挨拶を掲載した。その内容を事前にブログでアップする。創業から12年目。会長として、最終コーナーに差し掛かっている。この運動を次世代につなげるかどうかの瀬戸際である。
『JFMAニュース』「アジアの時代、二年目」
2012年1月10日号の「巻頭言」 JFMA会長 小川孔輔
新しい年を迎えた。今年度は、「アジアの時代、二年目」になる。二年目の課題を、以下で示す。基本的には、昨年度の繰り返しである。ただし、この一年で、多くの成果を得たことも事実である。同時に、そのことも確認していきたい。
(1) 国内業界基盤の強化によりアジアの盟主に
アジアのセンターになれるには、日本国内の産業基盤を強固なものにしていかなければならない。国内基盤がぜい弱なままでは、日本がアジアの盟主にはなりえない。IFEX(国際展示会)もMPS(環境認証子会社)も、そのために作った仕組みである。IFEXをアジアの「拠点見本市」として維持していくために、国内産地とアジアの生産基地を、育種や栽培体系的に一体化して結びつけなればならない。生産者にとっても市場人にとっても、また、育種会社や育種家にとっても、もはや日本だけを活動領域と考える時代は終わったように思う。
オランダ人は、アフリカ大陸と欧州大陸をひとつのものとして考えている。米国の花産業で働く人たちは、「北米と南米は、ひとつの経済大陸としてつながっている」と思っている。同様に、わたしたち日本人は、アジアをひとつの市場と考えるべきだろう。
国内花産業のインフラを整備するために、引き続き、「日持ち保証」と「MPS」を軸に、小売(花と資材)と効率の良い鮮度物流の達成に挑戦していく。その萌芽は、この産業に新しく参入してくる企業の中から見え始めている。新しい動きに注意を向けよう。
(2) 次世代後継者の育成をスタート
設立から10年が経過して、JFMA理事会のメンバーは確実に10歳年齢が上がった。若い世代に仕事を託すときを迎えている。幸いなことに、例えば、MPSに加入している若手の生産者や、日持ち保証販売に協力してくれている市場・小売業者の若手の中から、次世代を担ってくれそうな後継者が育ちつつある。
昨年度に始まった「フラワーバレンタイン」(2月14日を男性から女性に花を贈る日に!)の推進委員会ワーキングチームで活躍している若手(小売や資材関係)の中から、花業界の未来を担える人材が生まれてきている。設立メンバーとしては、うれしい限りである。
そして、小売業の経営者と若手の生産者の中から、国際的に活躍できるJFMAの新しいメンバーが登場することを期待したい。そのためには、業界内で教育・訓練の仕組みをつくる必要がある。マネジメントレベル、ミドルクラス、ラインスタッフのすべての階層で、教育訓練とそれによる技能の向上が求められている。
(3) 他業界とのコラボレーション
2020年から先の10年間(第3期)は、JFMAが花業界から飛び出していくと予見していた。そのタイミングが、思ったよりも早く到来している。2011年からは、MPS・ジャパンが先陣を切って、韓国や台湾などアジアの国に進出することになった。園芸産業の認証制度としては、二年前から、野菜と果樹を扱えるようになった。業界と地理的な境界がしだいに広がっている。
フラワーバレンタインの動きは、花業界が他の業界(メディア、雑貨アパレル、コンビニ、フードビジネスなど)と接点を持つ場を増やしている。資金力のない中で、プロモーションを実行するには、他業界との協力が必要である。
他業界とのコラボレーションにより、新たに花が取り扱われる場が広がっている。従来の花店ではなく、その他小売業態での販売が増えていくだろう。また、そのように、業界人が努力しなくてはならない。昨年度は、フードビジネス(小売)からの花部門の買収劇が数件あった。
アジアへの地理的展開やここに掲げた(1)~(3)の項目は、わたしたちが目指すべき最終目的ではない。あくまでも、そのための手段である。昨年の繰り返しになるが、わたしたちの最終的なゴールは、①「顧客価値の向上」と②「従業員価値の向上」と、③「花業界人としての誇りの醸成」である。今一度、わたしたちが目指すべき最終到達点を確認しておこう。
① 「顧客価値の向上」=ひとびとを幸せにするために、花のある生活をもたらすこと、
② 「従業員価値の向上」=人時生産性を引き上げることで、花業界で働くひとたちの生活を豊かにすること、
そして、
③ 「業界人としてのプライドの醸成」=花の仕事に携わっていることを誇りに思える業界に変えていくこと。