東海道新幹線のぞみ123号、同乗記

 「この電車、運転手はJR東海の小川、車掌は、、」。19分50分発、広島行きの「のぞみ123号」が東京駅のホームを離れた。4号車の窓からは、見送りに来てホームに残った妹の道子が、手を振ってくれている。



 真継(まつぎ)は、本当にひとりで、2時間30分を新大阪まで新幹線を運転するのだ。まったくひとりだから、トイレに行くことができない。おしっこが近いわたしなど、絶対に新幹線は運転できないな(笑)。

 「得点、高いわよ。お兄さん」。
 妹は、夕方の真継の出発に合わせて、東京駅まで来てくれた。さっき一号車の前で、まつぎとまさえさん、道子の4人で記念撮影をした。車掌の女の子も一緒に。そのまま、秋田の母親(おばあちゃん、ワカさん)に、道子は写真を転送したはずだ。母に、新しく携帯を買い与えたらしい。

 品川は無事に停車。当たり前か。ところが、その約10分後に、「つぎは京都です」。
 あれっ? 新横浜に着く直前に、車掌さんがアナウンスで間違いを犯してしまった。隣の乗客が、冗談で、「そんなら、早く降りにゃあ、あかんなあ」(笑)。
 車掌さんはすぐ気がついて、言い直した。「失礼しました。つぎは、新横浜です」。

 初ソロ乗務のまつぎは、停車駅のまちがいアナウンスで、一瞬あせらなかっただろうか。あとで聞いてみることにしよう。のぞみ号なので、新横浜から名古屋までは止まらない。1時間半くらいか。

 20時50分。出発から1時間。静岡駅を通過。まちがって停車で止まらなかった。馬鹿みたいだが、間違わないか、心配だ。

 21時10分。浜町駅通過。豊橋を過ぎると、いつもなら、「この電車は、三河安城の駅を定刻で通過しました」とアナウンスがある。つぎの名古屋では、ちなみファミリーが3人で乗り込んで来る。ちなみ、かいとくん、りこちゃん。わくわくしているはずだ。

 1号車から乗り込んできなさいね(笑)。一番前から、まつぎが見えるから。
 わたしたちは、指定席にいる。指定は4号車だから。まわりは満席だから、名古屋までのお客のようだ。アナウンスがあった。あと9分で、名古屋に到着。停車時間は、わずかに2分。ちなみ家族は、もうスタンバイだろうな。
 5年前に、まつぎは、ちなみの長男坊のかいと(凱人)くんに約束したのだ。初運転の新幹線にご招待!します。

 21時36分。3人が1号車から、4号車まで歩いてきた。「まつぎ兄ちゃん、手を振ってくれたよ」とかいとくん。乗り込んできた三人は、京都からそのまま上りのこだま号で名古屋に戻る。
 グランヴィアに泊まると、あしたの授業に間に合わないのだ。かいとくんは、皆勤賞を狙っているからだ。

 関ヶ原を通過。あと15分で京都。かいとくんとわたしは、1号車に移動する。一番前で、新大阪まで行くまつぎを見送る。あと10分で、先頭車両まで車内を歩く。
 名古屋駅には、スムースに停車できなかったぞ。二回ほど、ブレーキを使った。京都駅には、しっかりとまりなさいね。 
 後ろの席のかいとくんに声をかけた。「さて、自由席の1号車まで行くよ」。