中棚荘滞在日記(15): やぎとお別れ

 毎朝、食事が終ったあとで、ゆったりとして気分でメールを書いていた。ネットにつなぐのは、一日に一回である。宿の女将が飼っている、やぎのなぎ声を聞きながら、いただいたメールに返信していた。この習慣も今日で最後になる。



 9時半には、この宿を離れなければならない。もう、サイクリングロードも、高峰高原の池の平湿原までの山道も、天狗温泉への4キロの上りばかりの砂利道も、走ることができない。

 本日の午後には、イノマネの執行部会議がある。夕方からは、生産性本部で書籍(サービス関連)の打ち合わせと、JCSI関連の会議がある。
 今日からは、ふだんの生活に戻ることになる。来月に向けて、3冊の本の校正作業と、たくさんの講演が待っている。仕事は、天から降って湧いてくるようだ。原稿や講演の依頼をいただけるのは、とても幸せなことだ。

 10月の誕生日(23日)には、わたしも還暦を迎える。60年も生きたことになる。父親が亡くなった年だ。55歳を超えたときには、盟友の橋本寿朗(元法政大学教授)の年齢に達したと思ったものだ。長く生きているといいこともある。いや、長く生きないと、本当においしい人生を体験できない。

 こんな素敵な宿に、3週間も長逗留できるのだ。これからも、長く良く生きたいものだ。今回は一人合宿だった。次回は、どなたかと一緒に投宿したいものである。
 それでは、最後の朝食をいただいて、東京に向かうことにする。週末ではないから、高速道路は混んではいないだろう。