中棚荘滞在日記(10): 日本人の数がひとり増えた!虫の声と鳥のさえずりを聞きながらデッキで涼む

 本日から丸山さんが復帰している。朝の担当は、小林さんだった、丸山さんの娘さんくらいの若い女の子である。ふたりに年齢はたずねていないが。たぶん、親子くらいの差だと思う。



 昨夜も、夜中に目が覚めてしまった。まだ寝付きが悪いままである。8月中は、宿に来てからも、部屋の窓を開け放して眠っていた。もう今日からは二面ある窓を閉めて寝よう。

 今日は、昨日とは全く逆方向に、千曲川を上流に向かって走ってみた。小諸大橋の先にある小さな部落まで。大橋を渡ってから、崖を下りていったら行き止まりになった。農家の方と、二言三言。田舎のひとは、親切だ。
 道を走っていると、農夫さんにすれ違う。みなさん、80歳に近いか、すくなくとも70歳は越えていそうだ。元気だが、腰が曲がって、顔は皺くちゃだ。若いひとは、美容院のお姉さんだけ。
 そんなことを考えながら、いくつかの部落を通り過ぎる。このひとたちが、この村から居なくなったら、信州川辺部落などは、地図から消えてしまうのだろうか。10年後、20年後の日本の姿だ。

 本日、厚生労働省から日本の人口の減少について発表があった。2010年は、12万人ほど日本人が少なくなった。説明によれば、年寄りが、死に始めたかららしい。この説明が、なんとも直接的な表現だ。
 どんどん早死にすると、日本から高齢化の減少はなくなるかも。わたしたち世代は、危ないものをたくさん食べてきたからなあ。
 しかしである。90歳近くになって、日本に永住しに来る米国人もいる。コロンビア大学の元教授で、日本文学研究者のドナルド・キーンさん。88歳で、日本国籍の取得を申請するらしい。うれしいことだ。日本人の年寄りがひとり増えるからね。

 さて、上り坂を30分走って、行き止まりのたんぼ道から、中棚荘まで引き返してきた。帰り道は、今度は、ほとんどが下り坂だ。合計が10KM。もうこの距離は日課になった。まあしかし、慣れたとはいえ、最後の昇りはきついなあ。

 夕食の時間になった。丸山さんと再会だ。